転職面接と職務経歴書。同じ内容を話す際の注意点と深め方
面接と職務経歴書の基本的な関係性
転職活動の面接は、多くの場合、応募者が提出した職務経歴書に基づいて行われます。職務経歴書は「過去の実績やスキル」といった事実を示す書類であります。対して面接は、その書類に記載された内容が事実であるかを確認すると同時に、書類だけでは分からない応募者の人柄や思考プロセス、コミュニケーション能力を「対話」によって深く理解するための場であります。
なぜ面接官は職務経歴書と同じ内容を質問するのか
面接官が、職務経歴書に既に記載されている内容、例えば「前職の業務内容について教えてください」といった質問をあえてすることは珍しくありません。これは、単に内容を確認するためだけでなく、応募者が自身の経歴や実績を「どのように理解し、自身の言葉で説明するか」を見ているためであります。文章として書かれた内容と、対話の中で語られる内容から、その経験の具体性や再現性、そして応募者の論理性を確認しようとしています。
職務経歴書と「同じ内容」を話す際の注意点
面接において、職務経歴書に記載した事実と「同じ内容」を話すこと自体は、全く問題ありません。むしろ、記載内容と面接での発言が矛盾していること(食い違っていること)の方が、応募者の信頼性を損ねる重大な問題となります。
ただし、最も注意すべきは、職務経歴書に書かれた文章をそのまま暗記し、面接の場で「読み上げる」だけになってしまうことです。これは、採用担当者に「準備不足である」「応用力や対話能力に懸念がある」といった、マイナスの印象を与えかねません。
同じ内容を「深める」とは。具体的な回答方法
転職面接で求められるのは、職務経歴書という「骨子」に対して、対話を通じて「肉付け」をすることです。同じ内容(事実)を話す際にも、その事実の背景にある「なぜそれを行ったのか(動機や課題意識)」、「どのように乗り越えたのか(具体的な工夫やプロセス)」、「その結果、何を学び、どう貢献したのか」といった、職務経歴書には書ききれなかった具体的なエピソードや思考の過程を付け加えることが、「内容を深める」ということであります。
職務経歴書と面接内容の一貫性が信頼の基盤
職務経歴書は、面接官にとっては応募者を理解するための「資料」であり、応募者にとっては面接での対話の「基盤」となります。この基盤となる事実(在籍期間、役職、実績の数値など)について、職務経歴書と面接での発言とで一貫性があることが、採用担当者との信頼関係を築く上での大前提であります。その一貫性のある事実に、面接ならではの具体的なエピソードや熱意を加えることが、転職成功の鍵となります。





