転職の面接。職務経歴書を見ながら話しても良いのか
転職面接と職務経歴書に関する疑問
転職の面接は、自身のキャリアと能力をアピールする重要な場であります。その際、「面接官が職務経歴書を見ながら質問する意図は何か」、あるいは「応募者である自身が、緊張を和らげたり、正確に伝えたりするために、職務経歴書を見ながら話しても良いのか」といった疑問が生じることは少なくありません。
面接官が職務経歴書を見ながら質問する意図
まず、面接官が面接中に職務経歴書を熱心に見ながら質問するのには、明確な意図があります。一つは、応募書類に記載されている内容、例えば在籍期間、担当業務、役職、実績などが事実であるかを、本人の口から直接確認するためであります。
二つ目は、記載されている内容をさらに「深掘り」するためです。職務経歴書には要点しか記載できません。そのため、「〇〇というプロジェクトでの具体的な役割は何か」「〇〇という実績を上げた際、どのような課題があり、どう乗り越えたのか」といった具体的なエピソードや、応募者の思考プロセスを知ろうとしています。
三つ目は、応募者の人柄や仕事へのスタンスを確認するためです。同じ業務経験であっても、それをどのように説明するか(主体的に取り組んだか、チームでどう貢献したか)を通じて、応募者の価値観やコミュニケーション能力を見ています。
面接官からの質問に備える準備
面接官が職務経歴書を見ながら質問してくること、特に「深掘り質問」が行われることを前提とした準備が不可欠です。自身が提出した職務経歴書の内容は、完璧に把握しておく必要があります。記載した全ての業務内容や実績について、「なぜそれを行ったのか」「どのような工夫をしたのか」「結果どうなったのか」を、具体的なエピソードとして自身の言葉で説明できるように整理しておきます。特に数値で示した実績については、その根拠や背景、自身の貢献度を明確に説明できる準備が求められます。
応募者が職務経歴書を見ながら話すことの是非
一方、応募者自身が面接中に職務経歴書を見ながら話すことは、原則として避けるべきであります。面接は、応募書類の内容を読み上げる場ではなく、採用担当者と「対話」を通じてコミュニケーションを図る場であります。
書類を見ながら話す姿勢は、たとえ緊張からくるものであったとしても、面接官には「準備不足である」「自身の経歴を把握していない」「コミュニケーション能力に懸念がある」といった、マイナスの印象を与えかねません。
例外的に資料の確認が許容されるケース
ただし、例外もございます。例えば、過去のプロジェクトに関する非常に詳細な数値や、専門的なデータを正確に伝える必要がある場合などです。そのような場合でも、黙って見るのではなく、「詳細な数値について、手元の資料(職務経歴書)を拝見してもよろしいでしょうか」と、必ず面接官に一言断りを入れるのがビジネスマナーであります。
面接は「対話」の場であるという意識
転職の面接において、職務経歴書は「面接官が応募者を理解するための資料」であり、応募者にとっては「自身の経験を面接官に伝えるための準備(台本)」であります。面接官が職務経歴書を見ながら質問する意図を理解し、その深掘り質問に対して、自身の言葉で具体的に回答すること。そして、応募者自身は職務経歴書に頼らず、自信を持って「対話」に臨む姿勢が、転職成功の鍵となります。





