教員から転職。職務経歴書の書き方と経験をアピールするコツ
教員(教諭)の転職と職務経歴書の重要性
教員(教諭)の方が、民間企業など異業種への転職を目指す際、多くの方がその作成方法に悩むのが「職務経歴書」です。公務員である教員は、そのキャリアの中で職務経歴書を作成する機会がほとんどなく、また、学校現場での経験やスキルを民間企業でどのように評価してもらえるのか、分かりにくいと感じることも少なくありません。
しかし、教員として培った経験には、多くの企業で高く評価される汎用的なスキル(ポータブルスキル)が豊富に含まれています。職務経歴書は、これらの経験を採用担当者に分かりやすく「翻訳」して伝え、自身の価値をアピールするための非常に重要な書類となります。
職務経歴書の基本的な構成
職務経歴書は、履歴書とは異なり、決まったフォーマットはありませんが、一般的に「職務要約」「職務経歴」「活かせる経験・スキル」「自己PR」といった項目で構成されます。時系列に沿って職歴を記載する「編年体式」が分かりやすいでしょう。手書きではなくPC(パソコン)で作成し、A4用紙1枚から2枚程度にまとめるのが基本です。
職務要約の書き方。教員経験の概要
職務要約は、採用担当者が最初に目を通す部分です。ここでは、教員としての経験年数、勤務した学校の種類(公立・私立、小学校・中学校・高等学校など)、主に担当した教科や学年を簡潔にまとめます。その上で、その経験を通じて培った汎用的な強み(例。指導育成能力、調整能力など)を端的に示し、転職への意欲を伝えます。
最も重要な「職務経歴」の具体的な書き方(経験の翻訳)
職務経歴欄は、自身の経験を具体的に示す核となる部分です。勤務先の学校(例。〇〇市立〇〇小学校)ごとに、在籍期間、児童・生徒数、自身の役割(例。第〇学年主任、〇〇部顧問など)を記載します。
その上で、教員の業務を、民間企業でも理解・評価されやすい言葉に「翻訳」して記述することが最大のポイントです。
「授業・学習指導」経験のアピール
例えば、「授業」は、単に教科を教えたと記載するだけでは不十分です。これは、大勢の聞き手を前に論理的に説明し、理解を促す「プレゼンテーション能力」や「指導・育成能力」としてアピールできます。また、教材研究や指導案の作成は「教材開発能力」や「企画力」と言い換えられます。
「クラス運営・生徒指導」経験のアピール
「クラス運営(学級経営)」は、約30名から40名の集団を一つのチームとしてまとめ、目標(例。学級目標)に向かわせる「マネジメント能力」そのものです。生徒一人ひとりの個性や課題に向き合い、面談を通じて課題解決を図った経験は、「傾聴力」や「課題解決能力」として高く評価されます。
「保護者対応」経験のアピール
「保護者対応」は、多様な価値観を持つステークホルダー(利害関係者)との「調整能力」や「折衝能力」を示します。時には厳しい意見や要望(クレーム)に対応し、信頼関係を築いてきた経験は、民間企業の顧客対応や社内調整の場面でも大いに活かせるスキルです。
「校務分掌・委員会活動」経験のアピール
教員は授業以外にも多くの「校務分掌」を担います。例えば、行事(運動会、文化祭など)の担当責任者としての経験は、「プロジェクト管理能力」や「企画運営能力」として具体的に記載できます。校務システムの導入や業務改善に取り組んだ経験も、主体性のアピールにつながります。
実績をどのように示すか
民間企業のような「売上」といった数値的な実績を示しにくい教員のキャリアですが、工夫次第で成果をアピールすることは可能です。例えば、「担当クラスの〇〇テストの平均点を〇点向上させた」「独自の指導法を導入し、生徒の学習意欲を引き出した(アンケート結果など)」「業務フローの見直しを提案し、教員の残業時間を削減した」といった、具体的な取り組みと成果を示すことが有効です。
自己PRで「教員ならでは」の強みを補足する
自己PR欄では、職務経歴で示した汎用スキルに加え、教員として培われた「高い倫理観」「強い責任感」「マルチタスク能力(多様な業務を同時にこなす力)」、そして「常に学び続ける姿勢(成長意欲)」などを強調します。その上で、未経験の分野であっても、これまでの経験を活かして一日も早く貢献したいという熱意を伝えます。





