病院への転職、または病院からの転職における職務経歴書の書き方

病院が関わる転職と職務経歴書の役割

転職活動において、職務経歴書は自身のキャリアとスキルを具体的に伝えるための重要な書類です。特に「病院」が関わる転職、つまり病院から別の病院や異業種へ、あるいは異業種から病院へと転職する場合、その専門性や環境の特殊性を採用担当者にどう伝えるかが鍵となります。

採用担当者は、履歴書だけでは分からない、応募者の具体的な実務能力、組織への適応性、そして即戦力性を、この職務経歴書を通じて判断しようとしています。

【ケース1】病院（医療・福祉施設）間での転職

看護師、医療技術職（理学療法士、作業療法士、臨床検査技師など）、医療事務などが、別の病院やクリニック、介護施設などへ転職する場合です。このケースでは、これまでの経験が次の職場でどう活かせるか、その「専門性」と「経験の深さ」を具体的に示す必要があります。

勤務先（施設）の概要の明記

職務経歴欄には、まず勤務した法人名、病院（施設）名、在籍期間を記載します。その上で、採用担当者が業務の規模感や特性を把握できるよう、勤務先施設の概要を補足することが重要です。例えば、「病床数（〇〇床）」「病院の機能（急性期、回復期、慢性期、クリニックなど）」「所属部署（〇〇科病棟、リハビリテーション科など）」「1日の平均外来患者数」といった情報を明記します。

専門スキルと担当業務の具体化

単に「看護業務に従事」と記載するだけでは、応募者のスキルは伝わりません。担当した具体的な業務内容を詳細に記述します。例えば、「〇〇病棟（循環器内科）における術後患者の全身管理、急変時対応」「〇〇（医療機器）の操作」「外来での〇〇科の診療補助」「リハビリ計画書の作成と実施（対象疾患。脳血管疾患、運動器疾患など）」といった形で、自身の専門性が伝わるように記載します。リーダーや新人指導（プリセプター）の経験、委員会活動なども重要なアピールポイントとなります。

【ケース2】病院から異業種（民間企業）への転職

病院での勤務経験を活かし、一般の民間企業（例。医療機器メーカー、製薬会社、ヘルスケアIT企業、保険会社など）へ転職する場合です。この場合、医療現場の専門的な経験を、ビジネスシーンでも通用する「汎用スキル（ポータブルスキル）」に「翻訳」して伝える工夫が求められます。

専門経験の「汎用スキル」への変換

採用担当者は、病院での経験が自社でどう活かせるのかを知りたがっています。例えば、「患者様やご家族への対応」は、「多様な背景を持つ顧客のニーズを傾聴し、信頼関係を構築する高度なコミュニケーション能力」と言い換えられます。「医師や他職種との連携（チーム医療）」は、「利害関係の異なる複数の部署や担当者との調整能力、折衝能力」としてアピールできます。また、緊迫した現場での「冷静な判断力」や「ストレス耐性」、「正確な業務遂行能力」も、多くの企業で高く評価される強みです。

【ケース3】異業種から病院（事務職など）への転職

民間企業での経験を活かし、病院の運営を支える事務職（総務、人事、経理、経営企画、IT、広報など）へ転職する場合です。このケースでは、これまでの職務経験が、病院という組織のどのような課題解決に貢献できるのかを、具体的に結びつけてアピールする必要があります。

前職経験と病院運営への貢献

例えば、一般企業で培った「業務改善（カイゼン）のスキル」は、病院内の事務プロセスの効率化に貢献できます。「営業職」で培った折衝能力や提案力は、地域の診療所との連携（病診連携）や、広報活動（増患対策）で活かせる可能性があります。「IT部門」での経験は、院内システムの導入・運用・保守といった、医療の質と安全性を支える重要な役割に直結します。前職でどのような工夫をし、どのような成果（例。コスト削減、時間短縮）を出したのかを具体的に示し、それを病院の運営にどう応用できるのかを伝えることが重要です。

自己PR。応募先への貢献意欲と適応力

いずれのケースにおいても、自己PR欄では、これまでの職務経歴で示した経験やスキルに基づき、自身が応募先でどのように貢献できるのかを具体的に述べることが求められます。特に、異なる環境へ移る場合は、新しい組織のルールや文化を尊重し、早期に戦力となるための学習意欲や適応能力があることも併せてアピールすることが、採用担当者の信頼を得る鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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