Web業界の職務経歴書は「ポートフォリオへの導線」が命。書類選考を通過するフォーマットの選び方と必須項目
Webデザイナー、Webディレクター、マーケターといったWeb業界の職種は、一般的な事務職や営業職とは異なり、職務経歴書に求められる要素が特殊です。単に時系列で経歴を並べただけの標準的なフォーマットでは、クリエイティビティや実務スキルが伝わらず、書類選考で不採用になってしまうリスクがあります。Web業界の採用担当者は、紙面上の文字だけでなく「実際に何を作ったか」「どのような数値成果を出したか」を重視するからです。ここでは、Web業界への転職を成功させるために選ぶべき職務経歴書のフォーマットと、必ず盛り込むべき必須項目について解説します。
Web業界用フォーマットに不可欠な3つの要素
Web業界向けの職務経歴書を作成する際は、市販の履歴書のような定型的なフォーマットではなく、以下の3つの要素を目立つ位置に配置できる「Web特化型」または「プロジェクト型」のフォーマットを選ぶ必要があります。
1.ポートフォリオサイトへのURL
Webクリエイターやデザイナーの場合、職務経歴書はポートフォリオ(作品集)へ誘導するための「案内状」です。氏名や連絡先のすぐ下など、最も目立つ位置にポートフォリオサイトのURLとパスワードを記載します。採用担当者がクリックひとつで作品にアクセスできる状態を作ることが、選考通過の最低条件です。
2.使用ツールと技術スタック(スキルセット)
デザインツール(Figma, Adobe XD, Photoshop, Illustrator)、言語(HTML, CSS, JavaScript, PHP)、分析ツール(Google Analytics, Search Console)、CMS(WordPress)など、使用できるツールとバージョン、習熟度を一覧表にします。Web業界はツールへの依存度が高いため、ここを見るだけで即戦力かどうかが判断されます。
3.担当プロジェクトと数値成果(KPI)
「Webサイトのリニューアルを担当」と書くだけでは不十分です。「担当範囲(デザインのみか、コーディングも含むか)」「サイトの規模(ページ数、月間PV)」「成果(CVR改善率、流入増加数)」をプロジェクトごとに記載できるレイアウトを選びます。
【職種別】採用担当者が注目する記載ポイント
Web業界といっても、職種によってフォーマットで強調すべきポイントは異なります。
Webデザイナー・UI/UXデザイナーの場合
「何を作れるか」を直感的に伝えることが重要です。職務経歴書自体をIllustratorなどで作成し、デザインスキルをアピールするのも有効ですが、ビジネス文書としての可読性を損なわないよう注意が必要です。各プロジェクトの欄には、単なる制作物だけでなく「どのような課題を解決するためのデザインか」という意図(コンセプト)を記載してください。
Webディレクター・プロデューサーの場合
「プロジェクト進行能力」と「予算管理能力」が問われます。フォーマットには、プロジェクトの予算規模、チームの人数(社内メンバー・外部パートナー)、制作期間を明記します。また、進行管理ツール(Jira, Backlogなど)の使用経験や、要件定義からリリースまでのどのフェーズを担当したかが分かるように記述します。
Webマーケターの場合
徹底的に「数字」で見せることが求められます。運用した広告予算の月額、CPA(獲得単価)、ROAS(広告費用対効果)、SEOでの検索順位上昇実績など、具体的な指標を盛り込めるフォーマットを選びます。使用したMAツールやCRMツールの種類も必須項目です。
提出時は「クリックできるPDF」にするのが鉄則
Web業界の書類選考は、ほぼ100パーセントPC画面上で行われます。そのため、提出する職務経歴書は必ずPDF形式にし、記載したポートフォリオや参考サイトのURLが「ハイパーリンク(クリックして飛べる状態)」になっているかを確認してください。
URLをコピーしてブラウザに貼り付けるという一手間を相手にかけさせるのは、ユーザビリティ(使いやすさ)を重視するWeb業界では「配慮が足りない」と判断される致命的なミスになりかねません。
「Notion」や「Webレジュメ」を活用する動き
最近のWeb業界、特にベンチャー企業やスタートアップ企業では、従来のWord形式の職務経歴書ではなく、「Notion」で作成した経歴ページや、「Wantedly」などのWebレジュメのURLを送付することが許容されるケースが増えています。
これらは動画や画像を埋め込むことができ、リッチな表現が可能です。ただし、企業によっては「社内管理のためにPDFで提出してほしい」と求められることも多いため、Web上のレジュメと、提出用のPDFフォーマットの両方を準備しておくのが最も安全で確実な戦略です。
Web業界の職務経歴書は、あなたの「実力」と「センス」をプレゼンテーションする場です。標準フォーマットにとらわれず、自身のスキルが最も輝くレイアウトを選び、リンクへの導線を最適化することで、面接への切符を勝ち取ってください。





