総務の職務経歴書で書類選考を突破する職務要約の書き方と業務別例文集
総務職は「会社の何でも屋」と揶揄されることもありますが、実際には企業運営の基盤を支える非常に重要なポジションです。守備範囲が広いため、職務経歴書の冒頭にある職務要約で「何ができる人材なのか」を明確に定義しないと、単なる雑用係と誤解されてしまうリスクがあります。採用担当者は、あなたがスペシャリストなのか、それとも幅広く対応できるゼネラリストなのかを短時間で見極めようとしています。ここでは、総務職への転職を目指す方が自身の経験を市場価値の高いスキルとして言語化し、書類選考を通過するための職務要約の書き方のポイントと、経験や状況に合わせた具体的な例文を紹介します。
総務の採用担当者が職務要約で重視する3つのポイント
総務の仕事は企業規模によって内容が大きく異なります。そのため採用担当者は、応募者の経験が自社のフェーズ(成長期、安定期、上場準備中など)とマッチしているかを慎重に確認します。職務要約では以下の3点を明確にする必要があります。
- 業務の守備範囲と企業規模総務といっても、ファシリティ管理(施設管理)、株主総会運営、契約書管理、社内イベント、さらには人事や労務、経理まで兼務していたのかなど、担当領域は多岐にわたります。従業員数や拠点数とともに、どこまでの業務を担当していたかを具体的に示します。
- コスト意識と改善実績(攻めの総務)ルーティンワークをこなすだけでなく、コスト削減や業務効率化にどう貢献したかという「攻めの姿勢」が評価されます。「消耗品費を20パーセント削減した」「ペーパーレス化を推進した」といった具体的な成果は、利益を生み出す総務として強力なアピールになります。
- 調整力とリスク管理能力社内のあらゆる部署や、社外の業者、時には経営陣と現場の間に入って調整を行うコミュニケーション能力が求められます。また、コンプライアンス遵守や契約リスクの回避など、会社を守るための知識や姿勢があるかも重要なチェックポイントです。
職務要約の最適な文字数と構成テクニック
職務要約の適切な文字数は200文字から300文字程度です。採用担当者が30秒程度で読み切れる分量にまとめるのが理想的です。以下の3つの要素を組み込むことで、読みやすく説得力のある要約になります。
- 誰に(どこで):勤務した企業の業種、従業員数、上場の有無、経験年数。
- 何を(業務):担当した主な業務(ファシリティ、法務、株式実務など)。
- どうやって(実績):コスト削減の工夫、制度設計、社内環境の改善。
【中小企業・ゼネラリスト】対応力と守備範囲をアピールする例文
中小企業で総務全般を広く担当していた場合は、限られたリソースの中でバックオフィス業務を回してきた対応力と柔軟性をアピールします。
例文
大学卒業後、6年間にわたり従業員100名規模の専門商社にて総務業務全般に従事してまいりました。
ファシリティ管理、備品発注、契約書管理などの総務業務に加え、給与計算や社会保険手続きといった労務業務、さらに新卒採用のサポートまで、管理部門の実務を幅広く担当しました。少人数の組織であったため、経営陣と近い距離で業務を行い、社内規程の改定やオフィスの移転プロジェクトなど、会社の変革期における重要案件にも携わりました。これまでの経験で培った「広範な業務知識」と「マルチタスク能力」を活かし、貴社のバックオフィスを支える要として貢献します。
【大手・スペシャリスト】専門性と企画力をアピールする例文
一定規模以上の企業で特定の業務(株主総会、ファシリティなど)を深く経験している場合は、その専門性と大規模案件の推進力をアピールします。
例文
東証プライム上場メーカーの総務部にて8年間勤務し、主に株式実務および取締役会・株主総会の運営事務局を担当してまいりました。
年間を通じたスケジュール管理から招集通知の作成、想定問答集の整備、当日の会場運営までを主導し、5年連続で総会を滞りなく完遂しました。また、コーポレートガバナンスコードへの対応として、社外取締役へのレクチャー体制を構築するなど、ガバナンス強化にも寄与しました。これまでの上場企業での実務経験と、正確性が求められる業務での遂行能力を活かし、貴社の総務部において専門性を発揮したいと考えています。
【コスト削減・効率化】改善実績をアピールする例文
業務改善やコストカットの実績がある場合は、具体的な数字を用いて「利益に貢献できる総務」であることをアピールします。
例文
IT企業にて5年間、総務担当として社内環境の整備およびコスト管理に従事してまいりました。
「社員が働きやすい環境づくりとコスト適正化の両立」をテーマに掲げ、複合機の契約見直しや電力会社の切り替え、消耗品の集中購買化を推進しました。その結果、サービスレベルを維持したまま、年間で約300万円の販管費削減を実現しました。また、押印申請の電子化システム導入を主導し、出社率の抑制と承認スピードの向上にも貢献しました。この「改善提案力」と「実行力」を活かし、貴社の効率的な組織運営に貢献したいと考えています。
【未経験・営業/販売から】調整力とホスピタリティをアピールする例文
他職種から総務を目指す場合は、社内調整に必要なコミュニケーション能力や、社員を顧客と見立てたホスピタリティをアピールします。
例文
人材サービス会社にて4年間、法人営業として顧客への提案活動および契約手続きに従事してまいりました。
多くのステークホルダー(顧客、派遣スタッフ、社内法務部など)の間に入り、利害を調整しながら契約を締結する業務を通じて、高い調整力と正確な事務処理能力を養いました。また、営業活動の中で顧客のオフィス環境に関する課題解決提案も行っており、総務の視点を持った提案が得意です。実務は未経験ですが、営業で培った「交渉力」と「フットワークの軽さ」を活かし、社員の皆様がパフォーマンスを発揮できる環境づくりに尽力します。
総務の職務要約を書く際の注意点
総務の職務要約を書く際によくある失敗として、単に「備品管理、電話対応、郵便物仕分けを行いました」といったルーティンワークの羅列になってしまうことが挙げられます。これでは「誰にでもできる仕事」と思われてしまいます。「備品管理」ひとつとっても、「在庫管理のデジタル化により発注ミスをゼロにした」と書けば立派な実績になります。常に「工夫した点」や「会社への貢献」をセットで書くことで、プロフェッショナルとしての能力を伝えてください。また、IPO(新規上場)準備などの特殊な経験がある場合は、強力なアピール材料になるため必ず記載するようにします。





