職業訓練は立派なキャリア。職務経歴書の職務要約で「学ぶ姿勢」を武器にする書き方と例文
離職期間中に職業訓練校(ハロートレーニング)に通っていた場合、職務経歴書の「職務要約」にそのことを書いても良いのか、あるいはどのように書けばプラス評価になるのか悩む方は少なくありません。結論から言えば、職業訓練の経験は職務要約に書くべきです。単なるブランク期間とするのではなく、「スキルアップのための充電期間」として位置づけることで、学習意欲の高さや新しい業務への適性をアピールできるからです。ここでは、職業訓練で得たスキルを効果的に伝え、書類選考を通過するための職務要約の書き方のポイントと、コース別の具体的な例文を紹介します。
採用担当者は職業訓練の期間をどう見ているか
採用担当者は、直近の離職期間に何をしていたかを必ずチェックします。この期間が「ただの空白」である場合と、「職業訓練で専門スキルを学んでいた」場合とでは、印象が大きく異なります。
- 基礎スキルの保証独学とは異なり、カリキュラムに沿って体系的に学んでいるため、一定の基礎知識や操作スキル(PCスキル、CAD、簿記など)が身についていると判断します。
- 就労意欲と目的意識決して楽ではない訓練期間を経て再就職を目指している姿勢は、高い就労意欲と目的意識の表れとしてポジティブに評価されます。
- 前職との相乗効果「前職の経験」に「訓練で得たスキル」が加わることで、単なる未経験者ではなく、付加価値のある人材として評価される可能性があります。
職業訓練を職務要約に盛り込む3つのステップ
職務要約の文字数は200文字から300文字程度が目安です。前職の経験と訓練内容をバランスよく組み合わせるのがポイントです。
- 前職のキャリア概要(過去)「大学卒業後、5年間にわたり販売職に従事してまいりました。」
- 訓練受講の理由と習得スキル(転機)「バックオフィス業務への転身を目指し、職業訓練校にて6ヶ月間、簿記およびPCスキルを習得しました。」
- 貢献の意思(未来)「前職で培ったコミュニケーション能力と、訓練で学んだ正確な事務処理能力を活かし、貴社の経理事務として貢献します。」
【Webデザイン・IT系】作品とスキルをアピールする例文
Webデザインやプログラミングの訓練を受けた場合は、習得した言語やツール、制作物(ポートフォリオ)があることを示し、実務への接続を強調します。
例文
アパレル販売員として4年間勤務し、店舗運営およびECサイト用の商品撮影補助を担当しました。
EC運営に関わる中でWeb制作への関心が高まり、退職後に職業訓練校にて6ヶ月間、Webデザインおよびコーディング(HTML/CSS/JavaScript)を習得しました。訓練期間中に架空のカフェサイトなど計5つのサイトを制作し、PhotoshopやIllustratorの操作スキルも身につけました。販売職で培った「顧客視点」と、訓練で得た「制作スキル」を活かし、ユーザーに響くWebサイト制作に貢献したいと考えています。
【事務・経理系】資格と実務への適応をアピールする例文
パソコンスクールや経理事務のコースを受講した場合は、取得した資格(MOSや簿記)と、前職の経験をどう事務に活かすかをアピールします。
例文
飲食店にて3年間、ホールスタッフおよび店舗管理補佐として勤務してまいりました。
店舗運営の中で計数管理の重要性を感じ、事務職へのキャリアチェンジを決意しました。職業訓練校にて3ヶ月間、OA事務コースを受講し、Word・Excelの実践的な操作スキル(関数・ピボットテーブル)を習得するとともに、日商簿記2級を取得しました。接客業で培った「臨機応変な対応力」と、訓練で身につけた「正確なPCスキル」を活かし、貴社の一般事務として即戦力となれるよう尽力します。
【介護・医療系】異業種からの転身理由をアピールする例文
介護職員初任者研修や医療事務の訓練を受けた場合は、なぜその道を選んだかという動機と、対人スキルの高さをアピールします。
例文
一般企業の営業職として5年間勤務し、顧客との信頼関係構築に従事してまいりました。
祖母の介護を経験したことを機に、高齢者支援の仕事に強く惹かれ、退職後に職業訓練校にて介護職員初任者研修を修了しました。実習においては、営業時代に培った「傾聴力」を活かして利用者様と積極的にコミュニケーションを図り、スムーズな介助を行いました。未経験ではありますが、社会人としてのビジネスマナーと訓練で学んだ介護技術を活かし、利用者様に安心していただけるケアを提供します。
【CAD・ものづくり系】技術習得と熱意をアピールする例文
機械加工やCADオペレーターの訓練を受けた場合は、専門ソフトの習熟度や、ものづくりに対する熱意をアピールします。
例文
物流倉庫での軽作業スタッフとして4年間勤務し、正確な作業遂行能力を養いました。
以前よりものづくりに関心があり、設計・製造分野への就職を目指して職業訓練校に入校しました。6ヶ月間、機械製図の基礎および2次元・3次元CAD(AutoCAD、SolidWorks)の操作を習得しました。課題制作においては、図面の正確性だけでなく、加工のしやすさを考慮したモデリングを心がけました。前職で培った体力と集中力、そして訓練で得た専門知識を活かし、貴社の設計補助業務にて貢献したいと考えています。
職業訓練を職務要約に書く際の注意点
職業訓練の経験を書く際、「訓練校に通いました」という事実だけを書いて終わらせないように注意してください。企業は学校ではないため、「勉強しました」だけでは不十分です。「訓練を通じて〇〇ができるようになった(Can)」というスキルベースで書くことが重要です。また、「教えてもらう姿勢」が強すぎると受け身な印象を与えるため、「自ら課題を見つけて取り組んだ」といった主体的なエピソードを盛り込むと、より評価が高まります。





