職務経歴書の職務要約には何を書くべきか。採用担当者に響く構成と鉄板の書き方
職務経歴書の冒頭に位置する「職務要約」は、採用担当者が最初に目にする最も重要な項目です。ここで「自分は何者で、何ができる人材なのか」を簡潔に伝えられなければ、その下に続く詳細な経歴や自己PRを熟読してもらえない可能性もあります。しかし、いざ書き始めようとすると「具体的に何を書けばいいのか分からない」「長くなりすぎてしまう」と悩む方は少なくありません。職務要約には、採用担当者の心を掴むための「書くべき要素」と「黄金の構成」が存在します。ここでは、職務要約に書くべき内容の選び方から、書類選考を通過するための具体的な文章構成までを解説します。
職務要約に必ず盛り込むべき3つの要素
職務要約とは、あなたのこれまでのキャリアの「あらすじ」であり「予告編」です。採用担当者はここを読んで、自社に必要な人材かどうかを瞬時に判断しています。効果的な要約にするためには、以下の3つの要素を必ず盛り込む必要があります。
- 誰に(キャリアの全体像)まず最初に、あなたが「どのような業界・職種で」「何年くらい経験を積んできたか」という身分証明となる情報を書きます。(例:大学卒業後、5年間にわたり食品商社にて法人営業に従事してまいりました)
- 何を(コアスキルと実績)次に、そのキャリアの中で「どのような成果を出したか」「何が得意か」という強みを書きます。ここは数字を用いて客観的に書くことが重要です。(例:既存顧客への深耕営業を中心に担当し、昨対比120パーセントの売上目標を達成しました)
- どうしたいか(貢献の意思)最後に、これまでの経験を活かして「応募企業でどう活躍したいか」という未来への意欲で締めます。(例:培った提案力を活かし、貴社の新規事業拡大に即戦力として貢献します)
読みやすさを決める最適な文字数と構成
職務要約の最適な文字数は「200文字から300文字程度」です。行数にすると3行から5行程度に収めるのが理想的です。短すぎるとアピール不足になり、長すぎると多忙な採用担当者に敬遠されてしまいます。
構成としては、前述した3つの要素を以下の順序で組み立てると、論理的で説得力のある文章になります。
- 導入(過去):これまでの経歴の要約
- 展開(現在):保有するスキルや具体的な実績
- 結び(未来):応募先企業での活かし方
具体的な書き方と職種別例文
実際に書く際は、応募する企業の求人内容に合わせて「何を書くか(アピールポイント)」を取捨選択することが重要です。
基本の型(同職種への転職)
経験をそのまま活かせる場合は、実績の数字やマネジメント経験を具体的に書きます。
例文
新卒で入社したIT企業にて、7年間にわたりシステムエンジニアとして金融系システムの開発に従事してまいりました。
要件定義から設計、開発、テストまでを一貫して担当し、直近の3年間はプロジェクトリーダーとして5名のメンバー管理を行いました。特に品質管理に注力し、納期遅延ゼロでプロジェクトを完遂させた実績があります。これまでの開発経験とマネジメント能力を活かし、貴社のプロジェクト推進に貢献したいと考えています。
異業種への転職(未経験)
未経験の職種へ応募する場合は、専門スキルではなく「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」を書きます。
例文
アパレル販売員として4年間勤務し、接客販売および店舗運営業務に従事してまいりました。
顧客のニーズを汲み取るヒアリングを徹底し、個人売上目標を連続して達成しました。また、店舗の在庫管理や売上日報の作成を通じて、正確な事務処理能力とPCスキル(Word・Excel)を身につけました。事務職は未経験ですが、接客業で培ったコミュニケーション能力と責任感を活かし、貴社の業務を円滑にサポートできるよう尽力します。
転職回数が多い場合
社歴を羅列するのではなく、キャリア全体に通底する「軸」や「共通点」を書きます。
例文
これまで約10年間にわたり、食品、人材、ITと異なる業界の計3社にて、一貫して「法人営業」に従事してまいりました。
取扱商材は異なりますが、どの業界においても「顧客の課題解決」を最優先に行動し、信頼関係の構築に努めてまいりました。特に直近のIT企業では、新規開拓においてエリアトップの成績を収めました。多様な業界で培った適応力と提案力を活かし、貴社のソリューション営業として即戦力で貢献します。
書いてはいけないNG項目
職務要約のスペースは限られています。以下のような内容は書かないように注意してください。
- 退職理由の言い訳「残業が多く体調を崩したため」「人間関係が合わず」といったネガティブな退職理由は、要約には不要です。
- 意気込みだけの抽象的な文章「一生懸命頑張ります」「コミュニケーションには自信があります」といった精神論だけでは、実務能力が伝わりません。必ず「根拠となる経験」とセットで書いてください。
- 社名の単なる羅列「A社に入社し、次にB社に入社し、現在はC社にいます」といった内容は、職務経歴の年表を見れば分かることです。要約としての意味を成しません。
職務要約は、あなたのキャリアのダイジェスト版です。「この人の話を詳しく聞いてみたい」と思わせるために、自身の強みを端的に表現し、採用担当者の期待に応える内容を作成してください。





