医療職の職務経歴書フォーマット完全ガイド。採用担当者が評価する専門性の伝え方と作成のコツ

医師や看護師、薬剤師、コメディカルといった医療従事者の転職活動において、一般的なビジネス職向けの職務経歴書フォーマットを使用することはおすすめできません。なぜなら医療現場で重視される臨床経験や保有資格、対応可能な手技といった専門的な情報が、標準的なフォーマットでは埋もれてしまうからです。医療機関の採用担当者は応募者が即戦力であるかを判断するために独自の視点を持っています。ここでは医療職に特化したフォーマットの選び方と、採用担当者の目に留まる書き方のポイントを解説します。

医療職に最適なのは逆編年体式のフォーマット

医療職の職務経歴書では逆編年体式のフォーマットを選ぶのが鉄則です。これは直近の経歴から過去に遡って記載する形式のことです。

医療技術や現場の環境は日々進化しています。そのため採用担当者が最も重視するのは、直近でどのような臨床経験を積んでいるか、最新の医療機器や電子カルテシステムを扱えるかという点です。インターネット上で無料ダウンロードできるフォーマットを探す際は、医療用または逆編年体式と明記されたものを選ぶとスムーズに作成できます。

医療系フォーマットに必須の3つの独自項目

一般的な職務経歴書にはないものの、医療職の職務経歴書では必ず設けるべき項目が3つあります。使用するフォーマットにこれらの欄がない場合は、自分で項目を追加するか、職務内容欄に箇条書きで盛り込む必要があります。

1.施設概要と規模感

勤務していた病院や施設の規模は、業務の忙しさや重症度を判断する重要な指標です。病床数、1日あたりの平均患者数や来院数、標榜科目、看護配置基準などを具体的な数字で記載します。また救急指定の有無や手術件数なども、経験の質を伝えるための重要な要素です。

2.使用機器・システム・手技

即戦力性を証明するために、使用できる医療機器のメーカー名や機種名、電子カルテやレセコンの種類、実施可能な手技（採血、ルート確保、エコー、リハビリ手技など）を一覧にします。これにより入職後の教育コストがかからない人材であることをアピールできます。

3.取得資格と認定

国家資格だけでなく、学会認定資格や研修修了歴（ACLS、BLS、認定看護師、認定薬剤師など）を漏らさず記載します。取得年月とともに正式名称で書くことが重要です。

WordとExcelどちらで作るべきか

医療職の場合、職務経歴書はExcelでの作成も推奨されます。理由は保有資格や経験した症例、使用機器などを表形式で整理して記載するケースが多いため、Wordよりもレイアウトが崩れにくく見やすい書類が作れるからです。また医療事務や管理職候補の場合は、Excelによる計数管理能力のアピールにも繋がります。もちろん文章で自己PRをしっかり書きたい場合はWordでも問題ありません。重要なのは読みやすさですので、自身のPCスキルに合わせて選択してください。

職種別フォーマットに盛り込むべきアピールポイント

医療職といっても職種によって強調すべきポイントは異なります。それぞれの専門性を際立たせる書き方のコツを紹介します。

看護師の場合

所属していた病棟（急性期、慢性期、オペ室など）や診療科を明確にします。加えてプリセプターやリーダー業務、委員会活動などの役割を記載し、組織への貢献度をアピールします。夜勤の回数や受け持ち患者数も具体的な判断材料となります。

薬剤師の場合

調剤薬局、病院、ドラッグストアといった業態の違いに加え、1日あたりの処方箋枚数や対応科目数を記載します。在宅医療の経験やかかりつけ薬剤師としての実績、疑義照会の件数など、能動的な取り組みを強調します。

リハビリ職（PT/OT/ST）の場合

担当していた疾患の割合（脳血管、運動器、呼吸器など）や、1日あたりの単位数、担当患者数を記載します。また回復期や生活期など、どのステージのリハビリに強みがあるかを示し、退院支援や家屋評価の実績も盛り込みます。

臨床検査技師・放射線技師の場合

検体検査や生理機能検査、あるいは撮影業務（CT、MRI、マンモグラフィなど）の件数と、使用していた機器のスペックを詳細に記載します。夜間救急対応の経験有無も重要なアピールポイントです。

提出時のマナーと注意点

専門用語と略語の使い分け

医療従事者同士であれば専門用語は通じますが、一次面接を行う事務長や人事担当者が医療職出身でないケースもあります。院内独自の略語や隠語は避け、一般的な医療用語を使用するように心がけます。

守秘義務への配慮

職務経歴書に具体的な成果を書くことは重要ですが、患者様の個人名や特定できるようなエピソードを書くことは厳禁です。守秘義務違反とみなされ、採用以前の問題として信頼を失います。

PDF形式での提出

作成したデータは必ずPDF形式に変換して提出します。レイアウト崩れを防ぐだけでなく、改ざん防止の観点からも重要です。

医療職の職務経歴書は、一般的なビジネススキルよりも臨床での実績と対応力が物を言います。専用のフォーマットを活用し、あなたの専門性が一目で伝わる書類を作成することで、希望する医療機関への採用を勝ち取ってください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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