一般事務の職務経歴書で書類選考を突破する職務要約の書き方とパターン別例文集

一般事務は有効求人倍率が低く、非常に人気が高い職種であるため、1人の採用枠に対して数十人から百人以上の応募が集まることも珍しくありません。このような激戦区において、採用担当者は多数の応募書類を短時間でさばく必要があります。そのため、職務経歴書の冒頭にある「職務要約」で、事務職としての実務能力や適性を瞬時に伝えられなければ、詳細な経歴を見てもらえない可能性があります。ここでは、一般事務への転職を目指す方が書類選考を通過するために知っておくべき職務要約の書き方のポイントと、経験や状況に合わせた具体的な例文を紹介します。

一般事務の採用担当者が職務要約で重視する3つのポイント

事務職の採用において企業が求めているのは、特別な才能ではなく、業務を正確かつ効率的に遂行できる堅実な実務能力です。採用担当者は職務要約を通じて以下の3点を確認しています。

1. パソコンスキルと実務レベルワードやエクセルなどのオフィスソフトをどの程度使いこなせるかを見ています。単に入力ができるだけでなく、関数を使って集計ができるか、ビジネス文書をゼロから作成できるか、パワーポイントで資料作成ができるかといった具体的なレベル感を確認します。
2. 正確性とスピードの両立事務処理においてミスがないことは大前提ですが、同時に処理スピードも求められます。大量のデータを扱った経験や、業務効率化のためにショートカットキーを活用したりマニュアルを作成したりといった工夫が含まれていると評価が高まります。
3. コミュニケーション能力と調整力一般事務は、電話応対や来客対応、郵便物の管理など、社内外の多くの人と関わる仕事です。周囲と連携して業務を円滑に進めるためのコミュニケーション能力や、イレギュラーな事態に対応する調整力があるかを見ています。

職務要約の最適な文字数と構成テクニック

職務要約の適切な文字数は200文字から300文字程度です。採用担当者が30秒程度で読み切れる分量にまとめるのが理想的です。以下の3つの要素を組み込むことで、読みやすく説得力のある要約になります。

1. 誰に（どこで）：経験した企業の業種や規模、勤務年数。
2. 何を（業務）：担当した具体的な業務内容（受発注、請求書発行など）とパソコンスキル。
3. どうやって（実績）：効率化や正確性を高めるために行った工夫と成果。

【経験者・正社員】効率化と正確性をアピールする例文

一般事務の経験者は、幅広い業務に対応できる柔軟性と、パソコンスキルを活用した業務改善の実績をアピールします。

例文

大学卒業後、5年間にわたり食品メーカーの一般事務として勤務してまいりました。

主に請求書発行、データ入力、電話応対、来客対応などを担当しました。エクセルのブイルックアップ（VLOOKUP）関数やピボットテーブルを活用して売上集計業務を自動化し、月次の集計時間を10時間短縮しました。また、社内文書のフォーマットを統一してマニュアル化することで、部署全体の業務効率化に貢献しました。これまでの経験で培ったパソコンスキルと事務処理能力を活かし、貴社のバックオフィス業務を正確かつ迅速にサポートしたいと考えています。

【営業事務寄り】調整力とサポート力をアピールする例文

営業部門での事務経験がある場合は、営業担当者が動きやすいように先回りして動くサポート力や、顧客との納期調整などの折衝能力をアピールします。

例文

IT系商社にて4年間、営業部のアシスタントとして受発注業務および営業サポートに従事してまいりました。

見積書作成や納期管理、在庫調整を担当し、営業担当者10名のサポートを行いました。急な納期変更やトラブルの際には、関係部署と迅速に連携して調整を行うことで、顧客への納品遅延を防ぎました。また、顧客からの問い合わせに一次対応することで営業担当者の負担を軽減し、チームの売上目標達成に貢献しました。正確な事務処理と臨機応変な対応力を活かし、貴社の営業活動を円滑に支える縁の下の力持ちとして貢献します。

【派遣・契約社員】適応力と即戦力性をアピールする例文

派遣などで複数の企業を経験している場合は、環境変化への適応力の高さと、即戦力として多様な業務に対応できる幅広さをアピールします。

例文

約8年間にわたり、派遣社員として大手通信会社や物流企業など計3社にて、一般事務および部内アシスタント業務に従事してまいりました。

専用システムを使用した受発注業務や、パワーポイントによる会議資料作成を得意としており、即戦力として業務遂行が可能です。また、異なる企業文化や新しい業務フローに即座に適応し、就業開始直後からチームの一員として円滑に業務を回す適応力には自信があります。これまでの豊富な実務経験を活かし、貴社の事務部門において安定した業務遂行と効率化に貢献したいと考えています。

【未経験・販売職から】ポータブルスキルと学習意欲をアピールする例文

未経験から事務職を目指す場合は、前職で培ったコミュニケーション能力に加え、パソコン操作への不安がないことを学習状況とともにアピールします。

例文

アパレル販売員として3年間勤務し、接客販売および店舗の在庫管理を担当してまいりました。

店舗運営においては、正確なレジ操作や日報作成を通じて数字を扱う責任感を養いました。また、顧客の要望を汲み取るヒアリング能力は、社内での円滑なコミュニケーションに活かせると考えています。事務職は未経験ですが、現在はモス（MOS）資格の取得に向けて学習しており、ワードでの文書作成やエクセルの基本的な関数操作は習得済みです。持ち前の明るい対応力と学習意欲で、早期に業務を習得し貴社の業務に貢献します。

一般事務の職務要約を書く際の注意点

一般事務の職務要約を書く際によくある失敗として、単に「データ入力を行いました」や「電話対応をしました」といった作業内容の羅列になってしまうことが挙げられます。これでは他の応募者との差別化ができません。「月間何件処理したか」というスピード感や、「ミスをなくすためにダブルチェックを徹底した」という工夫を盛り込むことで、事務のプロフェッショナルとしての能力を伝えてください。また、具体的なパソコンスキル（VLOOKUP関数、ピボットテーブルなど）を明記することで、採用担当者がスキルレベルを判断しやすくなります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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