英語の職務経歴書(Resume)のフォーマットと書き方。日本語の直訳では通用しない作成のルール
外資系企業や海外現地法人への転職を目指す際、避けて通れないのが英語の職務経歴書(Resume/CV)の作成です。多くの人が陥りやすい間違いは、日本語の職務経歴書をそのまま英語に翻訳してしまうことです。しかし、英語のレジュメと日本の職務経歴書では、求められる役割やフォーマットのルールが根本的に異なります。日本のものが「経歴の記録」であるのに対し、英語のレジュメは「自分を売り込むための広告」です。ここでは、書類選考を通過するために知っておくべき英語レジュメの標準的なフォーマットと、採用担当者の目に留まる書き方のコツについて解説します。
英語レジュメに決まった規格はないが「型」はある
日本の履歴書にはJIS規格のような標準様式がありますが、英語のレジュメには決まった用紙やフォーマットが存在しません。A4サイズ1枚から2枚程度に収まるのであれば、レイアウトは自由です。しかし、採用担当者が読み慣れている「標準的な型」は存在します。奇をてらったデザインにするよりも、以下の基本構成に沿って作成することが、情報の伝わりやすさを高める近道です。
最も一般的な「Chronological Resume(逆編年体式)」
現在の転職市場において最もスタンダードな形式です。直近の職歴から過去に遡って記載します。採用担当者が一番知りたい「今、何ができるか」を即座に伝えられるため、キャリアに一貫性がある方や、直近の経験を活かしてステップアップしたい方に最適です。
スキル重視の「Functional Resume(職能別)」
時系列ではなく、スキルや経験したプロジェクトごとにまとめる形式です。転職回数が多い方や、キャリアチェンジを目指す方、あるいはブランク期間がある方が、特定のスキルを強調したい場合に有効です。ただし、時系列が見えにくいため、採用担当者によっては敬遠されることもあります。
英語レジュメを構成する5つの必須項目
どのようなデザインにするにせよ、以下の5つのセクションは必ず盛り込む必要があります。
- Header(ヘッダー:個人情報)最上部に氏名、住所、電話番号、メールアドレス、LinkedInのURLなどを記載します。注意点として、日本の履歴書とは異なり「顔写真」「年齢(生年月日)」「性別」「配偶者の有無」「家族構成」は記載しません。これらは採用判断における差別につながる要素として、欧米企業では履歴書への記載を禁止、または不要としていることが一般的です。
- Summary / Objective(サマリー:要約)ヘッダーの直下に、自分のキャリアのハイライトや強み、応募ポジションでどのように貢献できるかを3行から5行程度で要約します。採用担当者はここを読んで、続きを詳しく読むかどうかを判断します。
- Work Experience(職歴)メインとなるパートです。企業名、所在地(都市・国)、在籍期間、役職を記載し、その下に具体的な業務内容と実績を箇条書きにします。ここでは「I(私)」を主語にするのではなく、動詞(Action Verb)から書き始めるのがルールです。(例)Managed a team of 10…(10名のチームを管理した)(例)Increased sales by 20%…(売上を20%増加させた)
- Education(学歴)最終学歴から順に、学校名、取得学位、卒業年月、所在地を記載します。職歴がある程度ある場合は、学歴は職歴の下に配置するのが一般的です。
- Skills(スキル・資格)業務に関連するスキル(PCスキル、プログラミング言語、語学力など)を箇条書きで記載します。語学力については、Japanese(Native)、English(Business Level)のようにレベル感も併記します。
日本語の直訳がNGである理由と「Action Verb」の重要性
日本語の職務経歴書では「営業部にて新規開拓を担当」のように、所属や担当業務を淡々と書くことが一般的です。しかし、これをそのまま英訳して「In charge of new business development」としても、英語圏の採用担当者には響きません。彼らが見ているのは「担当したこと」ではなく「達成したこと(Achievement)」だからです。
英語レジュメでは、「Action Verb(アクション動詞)」と呼ばれる力強い動詞を使って、実績をアピールする必要があります。
「担当した」という受動的な表現ではなく、「Created(創出した)」「Led(主導した)」「Launched(立ち上げた)」「Improved(改善した)」といった言葉を使い、さらに「売上を〇〇ドル達成した」「コストを〇〇パーセント削減した」という具体的な数字(Quantifiable Results)とセットで記載します。
フォントとレイアウトの黄金ルール
英語レジュメは見た目の美しさ(Readability)も評価対象です。以下のルールを守って作成してください。
- フォントTimes New Roman、Arial、Calibri、Helveticaなどの標準的なフォントを使用します。サイズは本文なら10ポイントから12ポイント、見出しは14ポイントから16ポイント程度が見やすい大きさです。
- ビュレットポイント(箇条書き)長文をダラダラと書くのではなく、ビュレットポイントを使って箇条書きにします。一つの項目は1行から2行以内に収めるのが理想です。
- ファイル形式作成はWordで行いますが、提出する際は必ずPDF形式に変換します。海外とのやり取りではOSやソフトのバージョンが異なることが多く、Wordのまま送るとレイアウトが崩れるリスクが高いためです。
英語の職務経歴書は、単なる翻訳作業ではありません。異文化のビジネス習慣に合わせて、自分のキャリアを「再構築」する作業です。日本の謙遜の文化は一旦忘れ、Action Verbと数字を駆使して、「私を採用すればこれだけのメリットがあります」と堂々と主張するフォーマットを作成してください。





