第二新卒の職務経歴書で書類選考を突破する職務要約の書き方と例文集
社会人経験が3年未満の「第二新卒」として転職活動をする際、職務経歴書の作成で最も悩むのが「職務要約」です。「経験が浅くて書く実績がない」「早期離職をどう説明すればいいか分からない」と不安を感じる方は少なくありません。しかし、企業の採用担当者は第二新卒に対して、ベテランのような豊富な実績は求めていません。求めているのは「基礎的なビジネススキル」と「将来の伸びしろ(ポテンシャル)」です。ここでは、経験が浅くても自身の強みを効果的に伝え、書類選考を通過するための職務要約の書き方のポイントと、職種別・状況別の具体的な例文を紹介します。
第二新卒の採用担当者が職務要約で見ている3つのポイント
企業が第二新卒を採用するメリットは、新卒のような教育コストがかからず、かつ特定の企業文化に染まりきっていない柔軟性があることです。職務要約では以下の3点をアピールすることで、採用メリットを感じさせることができます。
- 基本的なビジネスマナーと基礎スキル名刺交換、電話応対、メール作成などの基本的なビジネスマナーや、Word、ExcelなどのPCスキルが身についているかを確認します。「教育の手間がかからない人材」であることを示すのが第一歩です。
- 仕事に対するスタンスと意欲実績の大きさよりも、業務に対してどのように向き合い、どう工夫したかという「プロセス」を重視します。失敗から学び改善する姿勢や、新しいことを吸収しようとする意欲(学習能力)があるかを見ています。
- キャリアの一貫性と転職理由の整合性「なぜ短期間で辞めるのか」という懸念に対し、単なる不満ではなく「自身のキャリアプランを実現するための前向きな選択である」ことを伝えます。前職の経験と志望動機に一貫性を持たせることが重要です。
経験が浅くても魅力的に見せる構成テクニック
職務要約の適切な文字数は200文字から300文字程度です。実績が少ない場合は、以下の要素を盛り込むことで内容を充実させます。
- 誰に(どこで):在籍企業の業種、職種、経験年数(「1年半」など具体的に)。
- 何を(業務):担当した業務内容と、習得したスキル(PCスキルや専門知識)。
- どうやって(工夫):業務の中で工夫した点、心がけたこと、得られた学び。
【営業職】行動量と学習意欲をアピールする例文
営業経験が短い場合は、売上金額などの大きな成果よりも、行動量(訪問件数や架電数)や、顧客との信頼関係を築くために行った工夫をアピールします。
例文
新卒で入社したOA機器商社にて1年半、法人向けの新規開拓営業に従事してまいりました。
担当エリアの企業に対し、1日平均50件の電話アプローチと20件の飛び込み訪問を行いました。断られることが多い中で、顧客の課題を聞き出すヒアリングシートを自作し、ニーズに合わせた提案を行うことで、新人賞(月間売上1位)を獲得しました。この経験を通じて、粘り強く行動する力と相手の立場に立って考える重要性を学びました。貴社の営業職においても、持ち前の行動力と学習意欲で早期に成果を出せるよう尽力します。
【事務職】正確性とPCスキルをアピールする例文
事務職の経験者は、正確な業務遂行能力や、PCスキル(Excel関数など)を活用した業務効率化への意識をアピールします。
例文
物流企業にて2年間、一般事務としてデータ入力および電話応対、請求書作成業務に従事してまいりました。
膨大な配送データを扱う中で、ダブルチェックを徹底し、ミスゼロを継続しました。また、ExcelのVLOOKUP関数を活用して入力作業を自動化し、作業時間を20パーセント短縮するなど、業務効率化にも能動的に取り組みました。基本的なビジネスマナーとPCスキルは習得済みです。これまでの経験で培った「正確性」と「改善意識」を活かし、貴社のバックオフィスを支える即戦力として貢献したいと考えています。
【販売・サービス】数字意識と対応力をアピールする例文
販売職の経験者は、接客スキルだけでなく、店舗の売上目標に対する意識や、在庫管理などのバックヤード業務経験をアピールしてビジネス基礎力を証明します。
例文
アパレルブランドの販売員として1年10ヶ月勤務し、接客販売および店舗運営業務に従事してまいりました。
単に商品を販売するだけでなく、顧客の潜在ニーズを引き出すコーディネート提案を行い、個人売上目標を12ヶ月連続で達成しました。また、在庫管理や店内ディスプレイの変更も担当し、チームで協力して店舗売上の最大化に取り組みました。接客業で培ったコミュニケーション能力と目標達成へのこだわりは、貴社の営業職においても活かせると確信しています。未経験の業界ですが、早期に戦力となれるよう努力します。
【IT・エンジニア】基礎技術とポテンシャルをアピールする例文
ITエンジニアとしての経験が浅い場合は、業務で使用した技術に加え、業務外での自己研鑽(資格取得や個人開発)をアピールして技術への関心の高さを伝えます。
例文
新卒で入社したSIerにて2年間、Javaを用いた業務系システムの詳細設計およびプログラミング、テスト業務に従事してまいりました。
小規模な改修案件が中心でしたが、可読性の高いコード記述と納期の遵守を徹底しました。業務外では基本情報技術者試験を取得し、現在はAWSなどのクラウド技術についても学習を継続しています。指示待ちではなく自ら技術をキャッチアップする姿勢には自信があります。今後はより上流工程や新しい技術に挑戦できる貴社にて、エンジニアとして成長し貢献したいと考えています。
【未経験職種へ】ポータブルスキルで挑戦する例文
全く異なる職種へチャレンジする場合は、前職で身につけた「持ち運び可能なスキル(ポータブルスキル)」を新しい仕事にどう活かすかを書きます。
例文
住宅メーカーの営業職として1年半勤務し、個人のお客様への提案営業に従事してまいりました。
一生に一度の買い物である住宅販売を通じて、顧客の不安を取り除き、信頼関係を築く「傾聴力」と「誠実な対応力」を磨きました。また、契約書類の作成やスケジュール管理も正確に行ってまいりました。営業活動の中で企業の課題解決に関心を持ち、IT業界への転職を決意しました。営業で培ったコミュニケーション能力とバイタリティを活かし、貴社のエンジニアとして顧客の課題を解決できるシステム開発に貢献します。
第二新卒が職務要約を書く際の注意点
第二新卒の職務要約において、最も避けるべきなのは「前の会社が合わなかった」というネガティブな退職理由を書くことです。たとえ事実であっても、「環境のせいにする他責思考がある」と判断されてしまいます。「より専門性を高めたい」「顧客と深く関わりたい」といった前向きな理由(Will)に変換して記載してください。また、経験が浅いことを「未熟ですが」と卑下する必要はありません。社会人としての基礎があることを自信を持って伝え、ポテンシャルを感じさせる内容に仕上げることが重要です。





