ブランク期間があっても書類選考は通過する。職務経歴書の職務要約で空白期間をプラスに変える書き方と例文集

転職活動において、離職期間（ブランク）があることは決して珍しいことではありません。しかし、職務経歴書を作成する際、この空白期間をどのように扱うべきか悩む方は非常に多くいます。「ブランクがあるだけで落とされるのではないか」と不安になるかもしれませんが、採用担当者が見ているのは空白の長さそのものではなく、「現在の就業意欲」と「業務への適応能力」です。書き方を工夫し、空白期間を「次のキャリアに向けた準備期間」としてポジティブに伝えることができれば、書類選考を通過することは十分に可能です。ここでは、ブランクがある方が自信を持って提出できる職務経歴書を作成するために、職務要約の書き方のポイントと理由別の具体的な例文を紹介します。

採用担当者がブランク期間のある応募者に懸念している3つのこと

企業側が空白期間のある応募者に対して抱く懸念は、主に以下の3点に集約されます。職務要約では、これらの懸念を先回りして払拭する内容を盛り込むことが重要です。

1. 働く意欲と即戦力性
   長期間仕事から離れていたことで、仕事への勘が鈍っていないか、ビジネスのスピード感についていけるかという懸念です。これを払拭するには、ブランク期間中も情報のキャッチアップをしていたことや、現在は万全の状態で働けることを伝えます。
2. 健康面や勤怠の安定性
   体調不良による退職の場合、採用してもまたすぐに休んでしまうのではないかという不安を持たれます。「完治している」「業務に支障がない」ことを明記し、健康面での不安がないことを保証する必要があります。
3. 計画性とキャリアの一貫性
   ただ漫然と休んでいたのではなく、資格取得や家庭の事情など、やむを得ない理由や目的があったことを伝えます。これにより、計画的にキャリアを考えている人物であるという印象を与えます。

ブランクをマイナスに見せない職務要約の構成テクニック

職務要約の最適な文字数は200文字から300文字程度です。ブランクがある場合は、以下の構成で文章を組み立てることで、ネガティブな要素を最小限に抑え、ポジティブな印象を残すことができます。

1. 過去のキャリア（8割）：これまでの経験と実績をメインに書きます。
2. ブランクの理由と現状（1割）：離職理由を簡潔に述べ、現在は働ける状態であることを伝えます。
3. 未来への意欲（1割）：復帰への熱意と貢献の意思で締めます。

【転職活動・資格取得】学習意欲をアピールする例文

資格取得や自己研鑽のために期間が空いた場合は、その成果を具体的に示し、実務への接続を強調します。

例文
大学卒業後、5年間にわたり専門商社の経理部門にて、月次決算および年次決算補助業務に従事してまいりました。
業務効率化のためにエクセルマクロを活用し、請求書発行業務の時間を20パーセント削減した実績があります。直近の半年間は、より専門性を高めるために退職し、日商簿記1級の取得に向けた学習に専念しておりました。資格取得を通じて深めた会計知識と、前職で培った事務処理能力を活かし、貴社の経理財務部門にて即戦力として貢献したいと考えています。

【体調不良・療養】完治と業務への支障がないことをアピールする例文

体調不良で退職した場合は、現在は回復しており、フルタイムでの勤務に問題がないことを明確に伝えることが最も重要です。

例文
IT企業にて4年間、システムエンジニアとして金融系システムの開発および保守運用に従事してまいりました。
詳細設計から実装、テストまでを担当し、納期遵守率100パーセントでプロジェクトに貢献しました。前職は体調不良により退職し、1年間の療養期間をいただきましたが、現在は完治しており医師からも就業の許可を得ております。業務への支障は一切ありません。ブランク期間中も最新の技術動向をキャッチアップしており、これまでの開発経験と回復した体力を活かして、貴社のプロジェクト推進に尽力します。

【介護・育児】環境が整ったことをアピールする例文

家庭の事情で離職していた場合は、現在はその問題が解決し、仕事に集中できる環境であることをアピールして安心感を与えます。

例文
アパレル販売員として6年間勤務し、接客販売および店舗運営、スタッフ指導に従事してまいりました。
顧客ニーズを汲み取る提案力を強みに、個人売上目標を連続して達成し、副店長として店舗マネジメントにも携わりました。家族の介護のため2年間のブランクがありますが、現在は施設への入所が決まり、フルタイムで残業も含めて勤務可能な環境が整っております。接客業で培ったコミュニケーション能力と、ブランクを感じさせない責任感を持って、貴社の営業職として成果に貢献します。

【留学・ワーキングホリデー】得られた経験と語学力をアピールする例文

海外渡航によるブランクは、単なる思い出作りではなく、語学力の向上や異文化適応力など、ビジネスに活かせる成果として伝えます。

例文
広告代理店にて3年間、法人営業として新規開拓および既存顧客への企画提案に従事してまいりました。
グローバルな環境で活躍したいという思いから退職し、1年間カナダへ語学留学を行いました。現地では多国籍なチームでのボランティア活動に参加し、TOEICスコアを600点から850点まで向上させました。営業時代に培った「提案力」に加え、留学で得た「語学力」と「多様な価値観を受け入れる柔軟性」を活かし、貴社の海外営業部門において市場開拓に貢献したいと考えています。

職務要約を書く際の注意点

ブランクがある場合の職務要約で最も避けるべきなのは、言い訳がましく長々と事情を説明してしまうことです。採用担当者が知りたいのは「過去の事情」よりも「現在の能力」です。ブランクについての記述は最小限にとどめ、あくまで「私は御社で活躍できるスキルを持っています」という自信を見せることが、書類選考突破の鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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