書類選考を有利に進めるメール件名の書き方と採用担当者に好印象を与えるマナー
転職活動において、履歴書や職務経歴書の中身を磨くことには多くの時間をかけますが、それらを送る「メールの件名」にまで気を配れているでしょうか。採用担当者のメールボックスには、日々膨大な数のメールが届きます。その中で埋もれず、確実に開封してもらい、さらに「仕事ができそうだ」という印象を与えるためには、件名の付け方に工夫とマナーが必要です。たかが件名と思わず、ビジネススキルをアピールする最初のチャンスと捉えることが大切です。ここでは書類選考の各フェーズにおける適切なメール件名の書き方や、返信時のマナー、やってはいけないNG例について詳しく解説します。
採用担当者が開封したくなる件名の鉄則とNG例
採用担当者にとって「良い件名」とは、メールを開封しなくても「誰から」「何の用件で」送られてきたかが瞬時に理解できるものです。これを満たすための鉄則は、「具体的な用件」と「氏名(フルネーム)」を必ずセットで記載することです。
例えば、「応募の件」や「履歴書送付」といった件名では、どの職種への応募なのか、誰からのメールなのかが判別できず、後回しにされてしまうリスクがあります。また、「お世話になります」や「こんにちは」といった挨拶のみの件名も、ビジネスメールとしては不適切であり、スパムメールと間違われる可能性すらあります。
理想的な件名は、【】などの記号を効果的に使い、視認性を高めたものです。「【応募書類送付】中途採用への応募につきまして(氏名)」や「営業職への応募の件/氏名」のように記述することで、担当者は優先順位をつけて処理することができます。件名はメールの「顔」であり、相手の時間を奪わないための配慮を示す場所であると認識しましょう。
【ケース別】そのまま使えるメール件名の例文テンプレート
転職活動のシーンごとに、適切な件名の付け方は異なります。ここではそのまま使える実践的な例文を紹介します。
1. 履歴書・職務経歴書を新規で送付する場合
初めて企業にコンタクトを取る場合や、指示通りに応募書類を送付する場合は、何が添付されているかを明確にします。
- 件名:【応募書類送付】中途採用への応募につきまして(氏名)
- 件名:営業職(正社員)への応募書類のご送付/氏名
2. パスワード付きファイルを送った後の通知メール
セキュリティ対策としてファイルをパスワード付きで送った場合、直後に送るパスワード通知メールの件名は、どのメールに対応するものか分かるようにします。
- 件名:【パスワード通知】応募書類のご送付(氏名)
3. 日程調整や質問など、企業からのメールに返信する場合
企業から届いたメールに返信する場合は、基本的に件名を変える必要はありません。
- 件名:Re: 書類選考通過のご連絡(氏名)
- 件名:Re: 面接日程の調整につきまして※自分の名前が件名に含まれていない場合は、末尾に括弧書きで(氏名)を追加すると、誰からの返信かが一覧画面で分かりやすくなり親切です。
4. 面接のお礼メールを送る場合
面接終了後に送るお礼メールは、感謝の気持ちを伝えるものですが、件名はあくまで事務的に分かりやすくします。
- 件名:本日の面接のお礼(氏名)
- 件名:【面接御礼】中途採用選考の件/氏名
返信時の「Re:」は消すべき?件名の書き換えに関するマナー
企業からのメールに返信する際、件名に自動的につく「Re:」を消して丁寧に書き直すべきか迷う方がいますが、ビジネスシーンにおいては「Re:」を残したまま返信するのが正解です。
採用担当者は多くの応募者と同時並行でやり取りを行っています。「Re:」がついていることで、それが「過去のメールへの返信」であり、一連のスレッド(やり取りの流れ)の一部であることが一目で分かります。もし件名を書き換えてしまうと、過去の経緯が分断され、担当者が「これはどの件についてのメールだったか」を確認するために履歴を検索する手間が発生してしまいます。
件名を書き換えるのは、話題が全く別の新しい用件に変わる時だけです。それ以外は「Re:」がついた状態でやり取りを続けることが、相手の業務効率を妨げないためのマナーとなります。「Re:」が増えすぎて件名が見えなくなった場合のみ、適宜削除して1つか2つ残す程度に留めると良いでしょう。
件名一つでビジネススキルは判断されている
メールの件名は、単なるタイトル以上の意味を持っています。分かりやすい件名をつけることができる人は、「相手の立場に立って物事を考えられる人」「情報を整理して伝える能力がある人」と評価されます。逆に、件名が雑であったり要領を得なかったりすると、「仕事も雑なのではないか」「コミュニケーションコストがかかる人ではないか」という懸念を抱かせてしまいます。
特に書類選考の段階では、まだ会ったことのないあなたを判断する材料は書類とメールしかありません。多忙な採用担当者への配慮を行き届かせた件名を作成することは、あなたの実務能力を証明する小さな、しかし確実なアピールとなります。送信ボタンを押す前に、もう一度「この件名で中身が伝わるか」を確認する習慣をつけましょう。





