転職回数が多いことを強みに変える職務経歴書の書き方と実例
転職回数が多い方にとって職務経歴書の作成は大きな悩みの一つです。採用担当者に飽きっぽいと思われるのではないか、すぐに辞めてしまうのではないかと不安になる方も多いでしょう。しかし転職回数の多さは見方を変えれば豊富な経験や高い環境適応能力という強力な武器になります。企業が求めているのは過去の回数そのものではなく、その経験を経て自社で何ができるかという未来の可能性です。ここでは転職回数の多さをポジティブな実績として変換し、書類選考を突破するための職務経歴書の書き方と具体的な例文を紹介します。
転職回数が多い人が選ぶべき職務経歴書の形式
職務経歴書のフォーマットには大きく分けて編年体式とキャリア式の2種類があります。転職回数が多い場合、時系列に沿って記述する編年体式では社名の羅列が目立ち、読む側に経歴が散漫な印象を与えてしまうリスクがあります。そこでおすすめなのがキャリア式です。
キャリア式とは会社ごとではなく業務内容や職種ごとに経歴をまとめる形式です。たとえばA社、B社、C社と3社経験していても、すべて営業職であれば営業経験としてひとまとめにして実績を記載します。これにより転職回数の多さを目立たなくさせると同時に、その職種における経験の深さや専門性を強調することが可能です。職種が一貫していない場合でも、接客業務や事務処理業務といった業務のカテゴリーでまとめることで、スキルを軸としたアピールが可能になります。
採用担当者を納得させる職務要約の書き方
職務経歴書の冒頭に記載する職務要約は、キャリアのあらすじを伝える重要な部分です。転職回数が多い場合は、ここでキャリアの一貫性(軸)を示すことが合否を分けます。
すべての経歴を均等に説明するのではなく、共通するスキルやスタンスを抽出して文章を構成します。たとえば職種がバラバラであっても、顧客の課題を解決するという点では共通している、あるいは新しい環境に即座に適応し成果を出してきたという点を強調します。直近の経験や応募先企業に関連する経験をハイライトし、過去の転職がすべてスキルアップのための前向きな選択であったと感じさせるストーリー作りが重要です。
【パターン別】職務要約と自己PRの例文
転職回数が多いといっても、その背景は人それぞれです。ここでは代表的な2つのパターンにおける例文を紹介します。
パターン1 同職種でキャリアアップ・転職を重ねてきた場合
営業職やエンジニアなど、職種は変えずに会社を変えてきたケースです。環境が変わっても成果を出せる再現性と即戦力性を強調します。
職務要約の例文
大学卒業後、一貫して12年間、法人営業に従事してまいりました。通信回線、ITソリューション、広告代理店と3つの異なる業界を経験しましたが、いずれも新規開拓営業を中心に行い、徹底した顧客分析に基づく提案を強みとしております。直近の株式会社〇〇では、競合ひしめく市場において昨対比120%の売上を達成しました。これまでの多角的な業界知識と、環境を問わず成果を出せる営業力を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
自己PRの例文
私の強みは、どのような環境下でも目標を達成する再現性のある営業力です。扱う商材や顧客層が異なる複数の企業で経験を積んだことで、商材に依存しない本質的な課題解決能力を身につけました。また、新しい組織やシステムに短期間で順応し、入社初月から成果を出すための行動量を担保できるタフさも持ち合わせています。即戦力として、貴社の営業目標達成に貢献いたします。
パターン2 異業種・異職種への転職が多い場合
販売から事務、そして営業へなど、職種が変わっているケースです。ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)と多角的な視点を強調します。
職務要約の例文
これまでの8年間、アパレル販売、コールセンター、ルート営業と、形は異なりますが顧客との接点を大切にする業務に従事してまいりました。職種は異なりますが、一貫して相手の潜在的なニーズを汲み取り、期待以上の価値を提供することをモットーに業務に取り組んでおります。販売職で培ったホスピタリティ、コールセンターで磨いた傾聴力、そして営業職で身につけた交渉力を掛け合わせ、貴社のカスタマーサクセス職として顧客満足度の向上に貢献いたします。
自己PRの例文
私の強みは、相手の立場に立って物事を考える多角的な視点と高い環境適応能力です。複数の職種を経験したことで、前後の工程や他部署の動きを想像しながら業務を進める全体俯瞰の視点を持つことができました。また、未経験の環境に飛び込むことへの抵抗がなく、常にゼロから学ぶ姿勢で早期に業務を習得してきました。この柔軟性とコミュニケーション能力を活かし、社内外の調整役として貴社の円滑な業務運営に寄与したいと考えております。
退職理由をポジティブに変換するテクニック
転職回数が多い場合、面接だけでなく職務経歴書上でも退職理由について触れる必要があるケースがあります。その際は、ネガティブな理由をポジティブな目的に変換して記載します。
人間関係や給与への不満で辞めたとしても、それをそのまま書くのは避けます。より高いレベルの営業に挑戦したかった、チームで成果を出す働き方を求めていた、専門スキルを深めるための決断だったというように、未来に向けた前向きな理由であることを伝えます。一貫してキャリアアップを目指してきた結果としての転職回数であることを印象づけることで、採用担当者の懸念を払拭することができます。
最後に全体の一貫性を確認する
書き上げた職務経歴書を見直し、全体を通して一貫性があるかを確認してください。転職回数が多くても、そこにあなたなりのキャリアの軸が見えれば、それは立派な実績となります。いろいろな経験があるからこそ御社で活躍できるという自信を持ち、堂々とした内容で職務経歴書を仕上げてください。





