転職回数が多くても大丈夫!「職務要約」でキャリアの一貫性をアピールする書き方と例文
転職回数が多い方にとって、職務経歴書の作成は頭を悩ませる作業です。特に冒頭の「職務要約」は、採用担当者が最初に目にする部分であり、ここで「飽きっぽい性格なのか?」「一貫性がないのでは?」という懸念を持たれてしまうと、その後の詳細な経歴を読んでもらえないリスクがあります。
しかし、書き方一つで「転職回数の多さ」は「豊富な経験」や「高い適応能力」というポジティブな評価に変えることができます。ここでは、転職回数が多い方が書類選考を突破するために押さえておくべき職務要約の書き方と、パターン別の具体的な例文を紹介します。
転職回数が多い場合の職務要約 3つの作成戦略
職務要約は、あなたのキャリアの「あらすじ」であり「予告編」です。すべての経歴を均等に要約するのではなく、意図を持って情報を整理する必要があります。
1. キャリアの「共通点(軸)」を見つけて繋ぐ
一見バラバラに見える経歴でも、そこには必ず共通するスキルやスタンスがあるはずです。「顧客折衝」「課題解決」「業務効率化」など、職種や業界を超えて発揮してきたポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を軸にして文章を構成します。「一貫して〇〇に携わってきました」と言い切ることで、キャリアに一本の筋を通します。
2. 直近の経歴や応募先に関連する経験を「ハイライト」する
古い経歴や、今回の転職に関係の薄い経歴は思い切って簡潔にし、直近の業務や応募先で活かせる経験を重点的に記述します。すべての社名や期間を書く必要はありません(詳細は職務経歴欄にあるため)。「直近の〇〇社では~」や「主に〇〇業界において~」といった表現を使い、アピールしたい部分にスポットライトを当てます。
3. 多様な環境への「適応力」をアピールする
多くの会社を経験しているということは、それだけ多くの企業文化や業務フローに適応してきた証明でもあります。「即戦力として早期に業務を習得する力」や「多様なバックグラウンドを持つメンバーと協調する力」は、転職回数が多いからこそ説得力を持つ強みです。
【パターン別】職務要約の例文
それでは、具体的なシチュエーション別に例文を紹介します。ご自身の経歴に近いものを参考にアレンジしてください。
パターン1:同職種でキャリアアップしてきた場合(営業→営業など)
会社は変わっていても、職種が一貫している場合は「専門性の高さ」と「実績」を強調します。
【例文】
大学卒業後、一貫して10年間、法人営業に従事してまいりました。
通信回線、ITソリューション、広告代理店と3つの異なる業界を経験しましたが、いずれも新規開拓営業を中心に行い、「徹底した顧客分析に基づく提案」を強みとしております。直近の株式会社〇〇では、競合ひしめく市場において昨対比120%の売上を達成しました。これまでの多角的な業界知識と、環境を問わず成果を出せる営業力を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えております。
パターン2:職種も業界もバラバラな場合(販売→事務→営業など)
一見脈絡がないように見える経歴の場合は、共通する「スタンス(仕事への姿勢)」や「ポータブルスキル」でまとめ上げます。
【例文】
これまでの8年間、アパレル販売、一般事務、ルート営業と、お客様との接点を大切にする業務に携わってまいりました。
職種は異なりますが、一貫して「相手の潜在的なニーズを汲み取り、期待以上の価値を提供すること」をモットーに業務に取り組んでおります。販売職で培ったホスピタリティ、事務職で培った正確な処理能力、そして営業職で培った交渉力を掛け合わせ、貴社のカスタマーサクセス職として、顧客満足度の向上と業務効率化の両面から貢献いたします。
パターン3:派遣・契約社員で多くの現場を経験した場合
契約満了による転職が多い場合は、豊富な現場経験と即戦力性をアピールします。
【例文】
派遣社員として、大手メーカーや金融機関など計5社にて、通算7年間の一般事務・営業事務経験を積んでまいりました。
受発注業務、請求書作成、顧客データ管理など多岐にわたる業務を経験し、それぞれの職場で独自のシステムや業務フローに即座に適応し、即戦力として貢献してまいりました。特にExcelスキルには自信があり、VLOOKUP関数やマクロを活用した業務改善提案を複数の現場で行っております。これまでの経験で培った適応力と事務処理能力を活かし、正社員として貴社のバックオフィスを長期的に支えたいと考えております。
やってはいけないNGな書き方
逆に、評価を下げてしまう書き方も確認しておきましょう。
- 単なる社名の羅列: 「A社に入社し退社、その後B社に入社し~」と履歴書を見ればわかる事実だけを並べるのはNGです。要約になっていません。
- 退職理由を書き連ねる: 「会社の業績悪化により」「契約満了により」といった退職理由は、職務要約ではなく職務経歴詳細の欄や面接で伝えれば十分です。要約はあくまで「何ができるか」を伝える場です。
- ネガティブな表現: 「人間関係が合わず」「自分には向いておらず」といった表現は避けましょう。
まとめ:多彩な経験を「武器」に変える
転職回数が多いことは、決して恥じることではありません。それはあなたが多くの環境を見て、多くの人と関わり、多様なスキルを身につけてきた証でもあります。
職務経歴書の職務要約では、その多彩な経験の中から「今の自分を形成している核となる要素」を抽出し、自信を持ってアピールしてください。「いろいろな経験があるからこそ、御社で活躍できる」というストーリーを作ることが、書類選考突破の鍵となります。





