職務経歴書の職務内容の書き方と職種別例文
転職活動における職務経歴書は、自身のキャリアを証明し、採用担当者に会ってみたいと思わせるための重要な書類です。その中でも職務内容は、具体的にどのような業務を遂行し、どのようなスキルを身につけてきたかを伝える核となる部分です。単なる業務の羅列にならず、自身の実力を正しく評価してもらうための職務内容の書き方と、職種別の具体的な例文について解説します。
採用担当者が職務内容欄で確認している視点
職務経歴書を作成する前に、読み手である採用担当者が何を求めているかを理解しておくことが大切です。採用担当者は職務内容を通じて、応募者が自社で即戦力として活躍できるスキルを持っているか、そして自社の業務環境に適応できるかを見極めようとしています。
具体的には、担当していた業務の範囲と深さが注目されます。例えば営業職であれば、誰に対して、何を、どのように提案していたのかという詳細です。事務職であれば、どのような処理を、どれくらいの量とスピードでこなしていたかという実務能力です。また、組織の中での役割や立ち位置も重要な判断材料となります。リーダーとしてチームをまとめていたのか、ソロプレイヤーとして専門性を発揮していたのかによって、任せたいポジションが変わってくるからです。したがって、職務内容はこれらを採用担当者がイメージできるように具体的に記述する必要があります。
評価される職務内容を書くための基本テクニック
読みやすく、かつ説得力のある職務内容にするためには、いくつかの基本ルールがあります。これらを押さえることで、情報の伝わりやすさが格段に向上します。
まずは5W1Hを意識して情報を整理することです。いつ(期間)、どこで(勤務先・部署)、誰に(顧客・社内関係者)、何を(商品・サービス)、なぜ(課題・目的)、どのように(手法・役割)業務を行ったかを明確にします。特に誰にと何をは、業務の難易度や専門性を伝える上で不可欠な要素です。
次に、数字を用いて客観的な事実として伝えることです。多い、広いといった主観的な表現ではなく、月間100件の対応、部員15名のマネジメント、売上昨対比120パーセント達成といった具体的な数値を盛り込みます。数字は業界や職種を超えて通用する共通言語であり、スキルのレベルを正確に伝える助けとなります。
そして、専門用語の使い分けに注意することです。同業種への転職であれば専門用語を使うことで知識の深さをアピールできますが、異業種への転職の場合は、誰にでもわかる一般的なビジネス用語に変換する配慮が必要です。
営業職の職務内容書き方と例文
営業職の場合は、取り扱っていた商材、顧客の属性、営業スタイル、そして実績を明確にすることが重要です。プロセスと結果の両面を記述します。
例文として、法人営業のケースを紹介します。
担当業務としては、既存顧客へのルート営業および新規開拓営業に従事しました。担当エリアは東京都内全域で、顧客層は従業員数50名から100名規模の製造業が中心です。商材は自社開発の生産管理システムで、導入による業務効率化を提案しました。
営業スタイルとしては、テレアポによるアポイント獲得から商談、見積書作成、クロージング、納品後のフォローまでを一貫して担当しました。月間の行動目標として訪問件数30件を設定し、顧客の決裁権者へのアプローチを徹底しました。
実績としては、202X年度の売上目標5000万円に対し、実績6000万円(達成率120パーセント)を記録しました。これは部内営業担当者20名中2位の成績です。
事務および管理系職種の職務内容書き方と例文
事務職の場合は、担当していた業務の幅広さと、正確性、スピード、使用できるツールなどを具体的に記述します。業務改善への取り組みも評価の対象となります。
例文として、営業事務のケースを紹介します。
担当業務としては、営業部における受発注処理、見積書および請求書の作成、納期管理、電話応対などを担当しました。1日あたりの伝票処理件数は平均約50件で、専用の販売管理システムを使用しました。また、営業担当者10名のサポート役として、プレゼンテーション資料の作成補助やスケジュール調整も行いました。
工夫した点としては、従来手作業で行っていた集計業務に対し、Excelの関数やマクロを活用した自動集計フォーマットを作成しました。これにより、月次の集計作業時間を約10時間短縮し、部署全体の業務効率化に貢献しました。
使用可能なソフトは、Word(文書作成)、Excel(VLOOKUP関数、ピボットテーブル、マクロ修正)、PowerPoint(スライド作成)です。
エンジニアおよび技術職の職務内容書き方と例文
技術職の場合は、参画したプロジェクトの概要、使用した技術(言語や環境)、担当した工程、チーム内での役割を詳細に記述します。
例文として、システムエンジニアのケースを紹介します。
プロジェクト内容は、大手金融機関向け基幹システムの刷新プロジェクトです。期間は202X年4月から202X年3月までの1年間で、プロジェクト規模は全体で50名、自身の所属チームは5名でした。
担当業務としては、詳細設計、製造(コーディング)、単体テスト、結合テストまでを担当しました。
開発環境は、言語がJava、フレームワークがSpring Boot、データベースがOracle、OSがLinuxです。バージョン管理にはGitを使用しました。
実績としては、詳細設計フェーズにおいて仕様の矛盾点を早期に発見し、手戻りを防いだことでスケジュールの遅延を回避しました。また、若手メンバー2名のコードレビューを担当し、品質の均一化に努めました。
販売およびサービス職の職務内容書き方と例文
販売職やサービス職の場合は、店舗の規模、接客スタイル、取扱商品、そして売上や顧客満足度への貢献を記述します。店長やリーダー経験があればマネジメント実績も重要です。
例文として、アパレル販売スタッフのケースを紹介します。
勤務店舗は、都内百貨店内のレディースアパレルブランド店舗です。店舗規模は面積30坪、スタッフ数8名、月商平均1000万円です。
担当業務としては、店頭での接客販売、コーディネート提案、顧客管理、在庫管理、店内ディスプレイの変更(VMD)、レジ業務を行いました。
実績としては、顧客一人ひとりのライフスタイルに合わせた提案を徹底し、個人売上目標を12ヶ月連続で達成しました。また、顧客のリピート率向上を目指し、手書きのサンクスカード送付を励行した結果、指名客数を店舗内で最も多く獲得することができました。副店長として新人スタッフの教育指導も担当し、接客ロールプレイングを定期的に実施しました。
書類選考通過率を上げるための最終チェック
職務経歴書を一通り書き終えたら、採用担当者の視点に立って見直しを行うことが大切です。
まず、レイアウトが見やすいかどうかを確認します。文字が詰まりすぎていないか、適度な改行や見出しが使われているかをチェックします。次に、具体的なエピソードが含まれているかを確認します。単に業務名を羅列するだけでなく、その業務を通じてどのような課題を解決したのか、どのような工夫をしたのかというプロセスが見えるようにします。最後に、誤字脱字や数字の間違いがないかを入念に確認します。正確な書類作成能力も、実務能力の一つとして評価されるからです。
職務内容は、あなたのキャリアを証明する最も重要な証拠です。自身の経験を過不足なく、かつ魅力的に伝えることで、希望する企業への扉を開いてください。





