職務経歴書の「主な取り組み」で差をつける!採用担当者に響く書き方と職種別例文
職務経歴書を作成する際、多くの求職者が頭を悩ませるのが「主な取り組み」や「工夫した点」の欄です。担当業務や実績といった定量的なデータとは異なり、ここには仕事に対する姿勢やプロセスを記述する必要があります。
採用担当者はこの項目を通じて、あなたが仕事においてどのような課題意識を持ち、どのように解決へ導いたかという「再現性のあるスキル」を見極めようとしています。
ここでは、単なる業務説明で終わらせず、あなたの市場価値を高めるための「主な取り組み」の書き方と、職種別の具体的な例文について解説します。
主な取り組み欄が持つ重要な役割
職務経歴書において、主な取り組み欄は「あなたらしさ」を最も表現できるスペースです。
職務内容欄には「何をしていたか」という事実を書きますが、主な取り組み欄には「どのように仕事を進めたか」というプロセスを書きます。同じ営業職であっても、足で稼ぐタイプなのか、データ分析を駆使するタイプなのかによって、取り組みの内容は全く異なります。
採用担当者は、結果に至るまでのプロセスを知ることで、自社のカルチャーに合うか、同様の課題に直面した際に活躍できるかを判断します。したがって、ここは経歴の羅列ではなく、あなたのビジネスパーソンとしての思考と行動をプレゼンテーションする場であると認識してください。
評価される文章構成の基本フレームワーク
説得力のある文章を作成するためには、論理的な構成が不可欠です。思いついたことをそのまま書くのではなく、以下の流れを意識して文章を組み立ててください。
課題の特定と背景
まずは、どのような状況で、どのような課題があったのかを明確にします。例えば「チーム全体の残業時間が増加していた」「新規顧客の獲得数が伸び悩んでいた」など、取り組む前の状態を説明します。これにより、あなたが課題発見能力を持っていることを示せます。
実行したアクションと工夫
次に、その課題に対して具体的にどのような行動を起こしたかを記述します。「マニュアルを作成した」「ヒアリングシートを刷新した」など、あなた自身が主体となって行った工夫を書きます。ここでは、精神論ではなく具体的な施策を書くことが重要です。
得られた成果と結果
最後に、そのアクションによってどのような変化が起きたかを、可能な限り数字を用いて説明します。「作業時間を月間10時間削減した」「成約率が5パーセント向上した」といった定量的な成果、あるいは「顧客から感謝の言葉をいただいた」といった定性的な成果で締めくくります。
営業職の主な取り組み例文
営業職の場合は、売上目標を達成するためにどのようなプロセスを踏んだかが重視されます。
徹底した事前準備による成約率の向上
私は新規開拓営業において、アポイント前の準備に最も注力しました。単に会社概要を調べるだけでなく、業界のトレンドや競合他社の動向、さらには担当者のSNS発信までリサーチし、顧客が抱えているであろう経営課題を仮説として立てました。商談時には、その仮説に基づいた解決策を提示することで、初対面での信頼獲得に成功しました。この取り組みにより、部内平均のアポイントからの成約率10パーセントに対し、常に20パーセント以上の高い成約率を維持することができました。
既存顧客との関係深耕による単価アップ
ルート営業において、単なる御用聞きにならないよう、顧客との対話時間を質的に変化させることに取り組みました。納品時の立ち話だけでなく、定期的に業界の最新情報や他社の成功事例をまとめた資料を持参し、情報提供を行う時間を設けました。顧客のパートナーとしての地位を確立した結果、潜在的なニーズを早期にキャッチできるようになり、クロスセルによる顧客単価を前年比で115パーセント向上させました。
事務・管理部門の主な取り組み例文
事務職の場合は、正確性、スピード、業務効率化への貢献度が評価のポイントとなります。
業務マニュアルの整備による属人化の解消
私が配属された部署では、業務手順が口頭伝承となっており、担当者によって処理方法や品質にばらつきがあることが課題でした。そこで、主要な業務フローを洗い出し、スクリーンショットを用いた視覚的に分かりやすいマニュアルを作成しました。これにより、新人教育にかかる時間を従来の半分に短縮するとともに、誰が担当しても一定の品質で業務が遂行できる体制を構築しました。
Excel関数を活用した集計業務の効率化
毎月の売上集計業務において、手作業による入力や修正が多く、ミスが発生しやすい状況でした。私はExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルを活用し、データを取り込むだけで自動的に集計表が完成するフォーマットを作成しました。この改善により、月次処理にかかる時間をチーム全体で約20時間削減し、入力ミスをゼロにすることができました。創出された時間で営業担当者のサポート業務を拡充し、部署全体の生産性向上に貢献しました。
エンジニア・技術職の主な取り組み例文
技術職の場合は、技術的な課題解決能力だけでなく、チーム開発におけるコミュニケーションや品質管理への意識も重要です。
コードレビュー文化の導入による品質向上
開発チームにおいて、バグの発生率が高いことが課題となっていました。原因を分析したところ、個人のスキルに依存したコーディングが散見されたため、私はチーム内でのコードレビュー会を提案し、定期開催しました。お互いのコードをチェックし合うことで、バグの早期発見につながっただけでなく、メンバー間の技術交流が活発化しました。結果として、リリース後の不具合件数を大幅に削減し、システムの安定稼働に寄与しました。
新技術の導入と学習サイクルの確立
プロジェクトの要件に対し、従来の技術スタックではパフォーマンスが出にくいと判断した際、新しいフレームワークの導入を提案しました。導入にあたっては、自ら検証環境を構築してメリットとデメリットを可視化し、チームメンバーへの勉強会を実施することでスムーズな移行をサポートしました。この取り組みにより、処理速度を30パーセント向上させるとともに、チーム全体の技術力底上げに貢献しました。
接客・サービス業の主な取り組み例文
接客業の場合は、ホスピタリティに基づいた行動や、店舗運営の効率化に向けた工夫がアピール材料になります。
顧客視点に立った売り場作りの改善
アパレル販売員として、お客様が商品を手に取りやすい動線作りを意識しました。お客様の店内での動きを観察し、滞留時間が長いエリアと短いエリアを分析しました。その結果に基づき、主力商品の配置を変更し、関連商品を近くに陳列することで「ついで買い」を促しました。このレイアウト変更により、店舗の客単価を向上させ、エリア内での売上昨対比1位を達成しました。
混雑時のオペレーション改革
ランチタイムの混雑時において、提供遅れによるクレームが発生していました。私はホールとキッチンの連携不足が原因だと考え、インカムでの情報共有ルールを見直しました。また、オーダーテイクのタイミングを前倒しする提案を行い、お客様を席に案内する前に注文を伺うスタイルを一部導入しました。これにより、席の回転率を1.5倍に高め、お客様をお待たせする時間を大幅に短縮しました。
主な取り組みを書く際の注意点
最後に、より良い職務経歴書にするためのチェックポイントを確認します。
当たり前のことを書かない
「遅刻をしない」「挨拶をする」といった社会人として当然のことは、アピールになりません。プラスアルファの工夫や、あなたなりのこだわりを書くようにしてください。
専門用語を使いすぎない
採用担当者が必ずしもその職種の専門家とは限りません。特に異業種への転職の場合は、誰が読んでも分かる一般的な言葉に置き換えて説明することで、コミュニケーション能力の高さも伝えることができます。
嘘や誇張は避ける
面接では、職務経歴書に書かれた内容について深く質問されます。自分が行っていないことを書いたり、成果を過大に表現したりすると、面接での受け答えに矛盾が生じ、信頼を失うことになります。等身大の言葉で、事実に基づいた内容を記載してください。
職務経歴書の「主な取り組み」は、あなたの仕事への情熱や工夫を伝える絶好の機会です。日々の業務を振り返り、小さなことでも改善しようと努力したプロセスを言語化してみてください。それが採用担当者の心を動かす強力なアピールとなります。





