マーケティング職の職務経歴書 例文と書き方ガイド 採用担当者に響く実績のアピール戦略
マーケティング職の転職において、職務経歴書は単なる経歴の記録ではありません。あなた自身という商品を企業に売り込むための、最初のマーケティング施策そのものです。採用担当者は、提出された書類の構成や表現方法から、あなたのマーケターとしての企画力やプレゼンテーション能力を厳しく評価しています。
実績をどのように数値化し、どのようなロジックで成果をアピールすればよいのか。ここでは、マーケティング職の書類選考を突破するために不可欠な書き方のポイントと、領域別・状況別の具体的な例文について解説します。
マーケティング職の採用担当者が重視する3つの評価軸
職務経歴書を作成する前に、採用側が求めている要素を整理します。マーケターの評価は、どれだけ論理的に成果を説明できるかにかかっています。以下の3点を意識して記述してください。
定量的な実績とKPIの設定
マーケティング活動の成果は、客観的な数字で示すことが鉄則です。単に売上が上がったとするのではなく、担当したプロジェクトの予算規模、設定したKPI(重要業績評価指標)、そして達成率を具体的に記載します。CPA(獲得単価)、CVR(コンバージョン率)、LTV(顧客生涯価値)、ROAS(広告費用対効果)など、専門用語を用いて具体的な数値を出すことで、実務能力の高さが伝わります。
課題解決のプロセスと仮説思考
数字と同じくらい重要なのが、その結果に至るまでのプロセスです。どのような課題に対し、どのような仮説を立て、どのような施策を実行し、どう改善したのかというPDCAのサイクルを記述します。たまたま成果が出たのではなく、再現性のあるロジックで成果を出せる人材であることを証明するためです。
使用ツールとテクニカルスキル
マーケティング業務は多岐にわたるため、使用できるツールや環境を明記することで即戦力性をアピールできます。Google Analytics、Search Consoleなどの解析ツール、SalesforceやHubSpotなどのMA・CRMツール、PhotoshopやIllustratorなどのクリエイティブツールなど、使用経験のあるものは漏れなく記載してください。
【領域別】Webマーケティング・デジタルマーケティングの職務経歴書 例文
Webマーケターの場合、担当領域(SEO、広告運用、SNS、CRMなど)を明確にし、改善幅を数値で示します。
職務要約
Web専業代理店にて5年間、デジタルマーケティングコンサルタントとして従事しました。主にECサイトやSaaS企業のクライアントを担当し、SEO対策およびリスティング広告の運用代行を行いました。徹底したキーワード分析とLP(ランディングページ)の改善提案により、担当クライアントのCV数を平均120パーセント向上させました。データ分析に基づく戦略立案と実行力を強みとしています。
職務詳細
期間
20XX年4月から現在
会社名
株式会社〇〇(デジタルマーケティング事業)
担当業務
クライアントのWebサイトにおける集客およびCV最大化施策の立案・実行
Google・Yahoo!リスティング広告、ディスプレイ広告の運用管理(月額予算500万円から1000万円規模)
SEO内部対策の指示書作成およびコンテンツマーケティングのディレクション
Google Analyticsを用いたアクセス解析および月次レポート作成、定例会での報告
実績と取り組み
CPAの改善とCV数の最大化
担当した美容ECサイトにおいて、広告のターゲット設定とクリエイティブのABテストを繰り返し実施しました。また、離脱率の高いLPのエントリーフォーム改善(EFO)を提案しました。その結果、CPAを維持したままCV数を昨対比150パーセントへ引き上げ、月商1000万円アップに貢献しました。
SEOによる自然検索流入の増加
BtoB向けSaaS企業において、検索ボリュームと競合性を分析したコンテンツ戦略を策定しました。半年間で50記事を公開し、主要キーワードでの上位表示を獲得。自然検索経由のリード獲得数を月間10件から50件へ増加させました。
【領域別】広報・PR・ブランディングの職務経歴書 例文
広報やPR職の場合、メディア掲載実績やイベント動員数など、認知拡大への貢献度をアピールします。
職務要約
ITベンチャー企業にて広報・PR担当として4年間勤務しました。新サービスのリリースに伴うプレスリリースの作成・配信、メディアキャラバン、自社オウンドメディアの運営に従事しました。戦略的なメディアアプローチにより、日経新聞やWebビジネス誌への掲載を獲得し、サービスの認知拡大とブランド価値向上に寄与しました。
実績と取り組み
メディア掲載獲得による認知拡大
新機能リリースに合わせてストーリー性を持ったプレスリリースを作成し、ターゲットメディア30社へ個別アプローチを行いました。その結果、主要Webメディア5社および新聞1社での掲載を獲得し、掲載月のサイトアクセス数を前月比300パーセントに急増させました。
社内広報の活性化
組織拡大に伴う理念浸透の課題に対し、社内報のWeb化を提案・運用しました。社員インタビューや経営層のメッセージを定期発信し、社内エンゲージメントスコアの向上に貢献しました。
【未経験・異業種】営業職からマーケティングへ転職する場合の例文
未経験の場合は、営業職などで培った顧客理解や市場分析のスキルを、マーケティングの業務に変換して伝えます。
職務要約
専門商社の法人営業として5年間、新規開拓および既存顧客への深耕営業に従事しました。徹底した顧客ヒアリングと市場調査に基づき、顧客の課題解決に直結する提案を行うことで、2年連続で部内トップの売上実績を達成しました。営業現場で培った顧客インサイト(購買心理)の理解と、数字に基づく分析力を活かし、貴社のマーケティング職として事業成長に貢献したいと考えています。
活かせる経験とスキル
市場分析とターゲティング
新規開拓において、成約確度の高い業界や企業規模を分析し、リストを作成してアプローチを行いました。このターゲット選定の経験は、マーケティングにおけるペルソナ設計やセグメンテーションに活かせると考えています。
企画提案力とプレゼンテーション能力
顧客の潜在的なニーズを引き出し、自社商品のメリットを分かりやすく伝える資料作成とプレゼンテーションを行ってきました。相手に響く訴求ポイントを見極める力は、販促企画やコンテンツ制作において発揮できます。
自己PR
私は、現場感を持ったマーケティング施策の立案に自信があります。
営業職として数多くの顧客と対話する中で、商品が売れる理由と売れない理由を肌感覚で学んできました。机上の空論ではなく、顧客のリアルな悩みや購買動機に基づいた施策を打つことで、実効性の高いマーケティング活動を行いたいと考えています。現在はGoogle Analyticsの個人認定資格を取得し、Webマーケティングの基礎知識習得に励んでおります。
自己PRで伝えるべきマーケターとしてのスタンス
職務経歴書の最後にある自己PRでは、スキルだけでなく、マーケターとしての思考特性をアピールします。
論理的思考力と仮説検証能力
データに基づいて現状を正しく把握し、課題に対する仮説を立て、実行結果から検証を行うロジカルな思考プロセスを持っていることを伝えます。
最新トレンドへの感度と学習意欲
移り変わりの激しいマーケティング業界において、常に新しい手法やプラットフォーム、世の中のトレンドをキャッチアップし続ける情報感度の高さは必須の資質です。
全体最適の視点
マーケティングは単独で完結するものではありません。営業や開発、カスタマーサクセスなど他部署と連携し、事業全体の利益最大化を目指す視座の高さを示します。
マーケティング職の職務経歴書は、あなた自身のマーケティング力を証明する最初の成果物です。読み手である採用担当者をターゲットと捉え、彼らが求めている情報を、最も響く形で提供するプレゼンテーション資料として作成してください。





