事務職の職務経歴書における職務要約の書き方と例文ガイド
転職活動の第一関門である書類選考において、採用担当者が最初に目を通すのが「職務要約」です。特に人気が高く競争率の激しい事務職においては、この数行の要約がいかに魅力的であるかが、その後の詳細な経歴を読んでもらえるかどうかの分かれ目となります。
職務要約は単なる経歴のあらすじではありません。あなたの事務処理能力や業務への取り組み方を凝縮し、短時間で「会ってみたい」と思わせるためのプレゼンテーションスペースです。ここでは、事務職の転職を成功させるための職務要約の書き方と、状況別の具体的な例文について解説します。
職務要約が書類選考の合否を左右する理由
採用担当者は日々の業務の中で、膨大な数の応募書類に目を通しています。1通あたりにかける時間はわずか数分とも言われており、冒頭の職務要約で興味を持たれなければ、その下にある詳細なスキルや自己PRまで深く読み込まれない可能性があります。
事務職は成果が見えにくい職種と思われがちですが、だからこそ要約部分で「どのような規模の組織で」「どのような業務範囲を」「どれだけの正確性とスピードで」こなしてきたかを端的に伝える必要があります。適切な要約は、あなたの文書作成能力や要点をまとめる力の証明にもなり、事務職としての適性をアピールする最初の機会となります。
採用担当者に響く職務要約の基本構成と文字数
評価される職務要約を作成するためには、読み手の知りたい情報を適切なボリュームでまとめることが重要です。
まず、文字数は200文字から300文字程度、行数にして3行から5行程度に収めるのが理想的です。短すぎると熱意やスキルが伝わらず、長すぎると要点をまとめる力がないと判断されてしまいます。
構成要素としては、以下の3点を意識して文章を組み立てます。
第一に、これまでのキャリアの概略です。最終学歴卒業後から現在に至るまで、どのような業界・業種で経験を積んできたかを簡潔に述べます。
第二に、主要な業務内容と実績です。担当した業務の規模感や、業務効率化などの具体的な成果を数字を用いて示します。
第三に、応募先企業で活かせる強みと意欲です。これまでの経験が、新しい職場でどのように貢献できるかという接続詞で締めくくります。
一般事務経験者の職務要約例文
一般事務は業務範囲が広いため、何でも屋になりがちです。具体的な業務内容と、主体的な工夫を盛り込むことで差別化を図ります。
例文
新卒で食品メーカーに入社し、5年間にわたり一般事務として支店運営をサポートしてまいりました。受発注データの入力(月間約500件)、請求書発行、電話・来客対応に加え、備品管理や会議資料の作成を担当しました。正確かつ迅速な処理を心がけるとともに、部内の文書ファイリング方法を見直して検索時間を短縮するなど、業務効率化にも注力しました。これまでの経験で培った事務処理能力とサポート力を活かし、貴社の円滑な業務運営に貢献したいと考えております。
営業事務経験者の職務要約例文
営業事務は、営業担当者との連携や数字への意識、顧客対応力が評価のポイントとなります。
例文
IT商社にて4年間、営業事務として10名の営業担当者のサポートに従事しました。見積書・契約書の作成、納期管理、売上データの集計業務を担当し、営業担当者が商談に専念できる環境作りに尽力しました。特に、Excel関数を活用して売上集計フォーマットを自動化し、月次作業時間を20%削減した実績があります。また、顧客からの問い合わせには迅速な一次対応を行い、顧客満足度の向上にも貢献しました。正確性と先回りする行動力を活かし、貴社の営業活動を後方から強力に支えます。
経理事務経験者の職務要約例文
専門性が求められる経理事務では、担当していた業務の深さと保有資格、使用ソフトなどを具体的に示します。
例文
大学卒業後、建設会社の経理部門にて6年間勤務し、日次業務から月次・年次決算の補助業務までを担当しました。仕訳入力、現預金管理、経費精算、買掛金・売掛金管理を正確に遂行し、決算期にはチームと連携して早期開示に貢献しました。また、日商簿記2級を保有しており、会計ソフトは勘定奉行とfreeeの使用経験があります。これまでの実務経験と会計知識を活かし、貴社の経理体制の強化と業務効率化に即戦力として貢献したいと存じます。
総務・人事・労務経験者の職務要約例文
バックオフィス全般を担当していた場合は、幅広い業務対応力と、社員に対するホスピタリティをアピールします。
例文
従業員数100名規模の製造業にて、総務・人事・労務の実務を5年間担当しました。給与計算、社会保険手続き、勤怠管理といった定例業務に加え、新卒・中途採用の面接調整や入社手続き、社内イベントの企画運営など、組織運営に関わる業務を幅広く経験しました。法改正への迅速な対応や、社員からの問い合わせに対する丁寧なサポートを心がけ、働きやすい職場環境の整備に努めてきました。マルチタスク管理能力と対人調整力を活かし、貴社の管理部門の中核として活躍したいと考えています。
未経験から事務職を目指す場合の職務要約例文
実務経験がない場合は、前職で培った「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」を事務職の業務に変換して伝えます。
例文
アパレル販売員として3年間勤務し、接客販売および店舗運営業務に従事しました。顧客のニーズを汲み取る傾聴力と提案力を磨き、店舗の売上目標達成に貢献しました。また、副店長として売上管理や在庫管理、シフト作成などのバックヤード業務も担当し、正確な計数管理とPC操作(Excel・Word)のスキルを習得しました。販売職で培ったホスピタリティと、業務を正確に遂行する責任感を活かし、未経験ではありますが貴社の事務職として早期に戦力となるよう努力いたします。
派遣社員から正社員を目指す場合の職務要約例文
複数の企業で勤務した経験がある場合は、環境適応能力の高さや、一貫して磨いてきたスキルを強調します。
例文
派遣社員として、大手通信会社や金融機関など計3社にて、通算7年間の事務経験を積んでまいりました。データ入力、電話応対、資料作成など多岐にわたる業務を経験し、それぞれの職場で即戦力として業務フローに早期に適応しました。特にExcelスキルには自信があり、VLOOKUP関数やピボットテーブルを用いた集計業務を得意としています。これまでの経験で培った適応力と事務スキルを活かし、正社員として貴社に長く貢献し、安定した業務基盤を支えたいと考えております。
職務要約をブラッシュアップするためのポイント
作成した職務要約をさらに魅力的なものにするためには、客観的な視点での見直しが不可欠です。
まずは「数字」を入れることです。担当していた業務量や、改善によって削減できた時間、管理していた人数などを具体的な数字で示すことで、スキルのレベル感が伝わりやすくなります。
次に「キーワード」を意識することです。応募する企業の求人票を確認し、そこで使われている言葉(例えば「正確性」「スピード」「柔軟性」「PCスキル」など)を自然に盛り込むことで、求めている人物像とのマッチング度を高めることができます。
最後に、文章の「リズム」を整えます。一文が長くなりすぎていないか、接続詞を使いすぎていないかを確認し、読み手がストレスなく頭に入れられる文章に仕上げます。職務要約はあなたのキャリアのダイジェスト版です。推敲を重ね、自信を持ってアピールできる文章を作成してください。





