理学療法士（PT）の職務経歴書「自己PR」例文集！採用担当者に響く書き方とアピール術

理学療法士の転職市場は、資格を持っているだけでなく「どのような経験を積み、自院（自社）にどう貢献できるか」が厳しく問われるフェーズに入っています。

職務経歴書の自己PRは、あなたの臨床能力や人柄、仕事へのスタンスを採用担当者に伝えるための最も重要なスペースです。しかし、「リハビリ業務はどこも同じだから書くことがない」「専門用語ばかりで伝わるか不安」と悩む方は少なくありません。

この記事では、理学療法士が書類選考を突破するために必要な自己PRの書き方のポイントと、施設形態や経験年数に応じた具体的な例文を紹介します。

理学療法士の自己PRで採用担当者が見ている3つの視点

具体的な例文を見る前に、採用側が何を評価基準にしているかを整理しましょう。単に「リハビリができます」だけでは不十分です。以下の3つの要素を盛り込むことで、説得力が格段に増します。

1. 臨床スキルと対象疾患の具体性

「どのような患者様（疾患・重症度）に対し、どのようなアプローチをしてきたか」が問われます。

• **急性期・回復期・維持期（生活期）**のどこを経験したか
• 運動器・脳血管・呼吸器・循環器などの得意分野
• 1日あたりの単位数や担当患者数

これらを数字や具体的な手技名とともに記載することで、即戦力性をアピールします。

2. 他職種連携とコミュニケーション能力

リハビリはチーム医療です。医師、看護師、OT（作業療法士）、ST（言語聴覚士）、ケアマネジャー、MSW（医療ソーシャルワーカー）などと円滑に連携できるコミュニケーション能力は必須です。

「カンファレンスで積極的に発言した」「家族への指導を丁寧に行った」といったエピソードは高く評価されます。

3. 組織への貢献とマネジメント視点

臨床業務以外での貢献度も見られています。

• **新人教育（プリセプター）**経験
• 委員会活動や勉強会の主催
• 業務効率化への取り組み（単位数向上、書類作成時間の短縮など）

評価される自己PRを作る「3段構成」の鉄則

読みやすく、説得力のある自己PRにするためには、以下の構成で文章を組み立てるのが基本です。

1. 結論（強みの一言化）： 「私の強みは〇〇です」と言い切る。
2. 根拠（エピソード）： その強みが発揮された具体的な場面を記述する（数字を入れる）。
3. 貢献（結び）： その強みを活かして、応募先でどう貢献したいかを伝える。

【ケース別】理学療法士の自己PR 例文集

ここからは、転職のシチュエーション別にそのまま使える例文を紹介します。ご自身の経験に合わせてアレンジして活用してください。

ケース1：回復期リハビリテーション病棟での経験をアピール

【アピールポイント】 在宅復帰率向上への貢献、多職種連携、家族指導

【チーム医療を牽引する連携力と在宅復帰支援】

私は、患者様の「家に帰りたい」という想いを叶えるため、多職種と連携した退院支援に強みを持っています。

現職の回復期リハビリテーション病棟（50床）では、脳血管疾患の患者様を中心に担当しました。単なる機能訓練に留まらず、退院後の生活を見据えた家屋調査に積極的に同行し、ケアマネジャーや家族への介助指導を徹底しました。また、病棟看護師と連携して「病棟生活内リハビリ」を定着させ、ADL向上に尽力しました。

その結果、担当患者様の在宅復帰率はチーム平均を上回る85％を達成しました。貴院においても、患者様の生活背景を深く理解し、QOL向上に直結するリハビリテーションを提供したいと考えています。

ケース2：急性期病院でのリスク管理と早期離床をアピール

【アピールポイント】 リスク管理能力、アセスメント力、スピード感

【徹底したリスク管理と早期離床へのアプローチ】

総合病院の急性期病棟にて、術後翌日からの早期離床や、ICUでの呼吸器リハビリテーションに従事してまいりました。

循環動態が不安定な患者様が多い中、バイタルサインやフィジカルアセスメントによる細やかな状態把握を徹底し、医師と密に連携を取りながら安全な離床を進めました。また、廃用症候群の予防を第一に考え、看護師へのポジショニング指導も行いました。

貴院においても、高度なリスク管理能力と迅速な判断力を活かし、安全かつ効果的な急性期リハビリテーションを実践いたします。

ケース3：整形外科クリニックへの転職（即戦力・稼働率）

【アピールポイント】 徒手療法の技術、単位数（稼働率）、接遇・患者満足度

【確かな徒手療法技術と患者満足度を高める接遇力】

整形外科クリニックにて5年間、運動器リハビリテーションに従事し、1日平均20単位以上の施術を担当してまいりました。

多忙な外来業務の中でも、患者様の訴えを傾聴し、AKA博田法やマッケンジー法などの徒手療法と運動療法を組み合わせたオーダーメイドの治療を提供しました。「痛みが取れた」「説明が分かりやすい」とご指名をいただくことも多く、リピート率の向上に貢献しました。

即戦力として多くの患者様に対応できる体力と技術力を活かし、貴クリニックの地域一番の評判作りに貢献したいと強く志望しております。

ケース4：訪問看護ステーション・介護施設への転職

【アピールポイント】 生活期リハビリの視点、判断力、環境調整

【生活の場における環境調整力と自律的な判断力】

病院勤務時代、退院後の生活に不安を抱える患者様を担当した経験から、「生活の場」での支援の重要性を痛感し、訪問リハビリテーションを志望しました。

これまでの臨床経験で培ったアセスメント能力を活かし、医師が不在の環境下でも利用者の状態変化を的確に捉え、リスク管理を行うことができます。また、限られた住環境の中で福祉用具の選定や動作指導を行い、利用者様が「できること」を増やす支援を得意としています。地域に根ざし、利用者様とご家族の安心を支える理学療法士として貢献いたします。

ケース5：リーダー・教育経験をアピール（キャリアアップ）

【アピールポイント】 マネジメント能力、業務改善、新人教育

【組織の成果を最大化するマネジメント能力と人材育成】

リハビリテーション科の主任として、スタッフ15名のマネジメントと業務効率化に取り組みました。

単位数取得の伸び悩みが課題であった際、予約システムの導入と業務フローの見直しを提案・実行し、部署全体の稼働率を90％から95％へ向上させました。また、新人教育においてはクリニカルクラークシップを導入し、実技指導とメンタルフォローを両立させることで、3年間離職率ゼロを達成しました。

プレイングマネージャーとして自ら成果を出しつつ、組織全体の質の向上に貢献したいと考えています。

ケース6：経験が浅い・第二新卒の場合

【アピールポイント】 学習意欲、素直さ、基本的なスタンス

【飽くなき探究心と患者様に寄り添う誠実さ】

臨床経験は2年と短いですが、知識不足を補うために院内外の勉強会には必ず参加し、自己研鑽に励んでまいりました。

前職では、担当した患者様一人ひとりに合わせた「自主トレメニュー」を作成し、リハビリ時間外でも意欲的に取り組んでいただけるよう工夫しました。その結果、「リハビリが楽しみになった」というお言葉をいただくことができました。

貴院の充実した教育体制のもとで専門性を高め、一日も早く戦力となれるよう、持ち前の粘り強さで業務に取り組んでまいります。

書類選考通過率を上げるためのチェックリスト

自己PRを書き終えたら、以下のポイントで最終確認を行ってください。

• 専門用語を使いすぎていないか
  • 採用担当者が事務長や人事担当者の場合もあります。「ADL（日常生活動作）」「ROM（関節可動域）」など、一般的な言葉への言い換えや補足が必要か検討しましょう。
• 「勉強させていただきます」になっていないか
  • 中途採用は即戦力が求められます。「学びたい」だけでなく、「学んだことを活かして貢献する」というスタンスで書きましょう。
• 抽象的になっていないか
  • 「コミュニケーション能力があります」だけでなく、「医師への根拠に基づいた提案ができるコミュニケーション能力」など、具体的に描写しましょう。

理学療法士の自己PRは、あなたの「技術」と「心」を伝える場所です。これまでの臨床で大切にしてきたこと、患者様との関わりの中で得た自信を、具体的なエピソードと共に職務経歴書に落とし込んでください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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