訪問看護の職務経歴書 例文と書き方完全ガイド 採用担当者が会いたくなるアピール術
訪問看護師への転職は、病院勤務とは異なる視点やスキルが求められるため、職務経歴書の書き方に悩む看護師の方は少なくありません。採用担当者は、臨床経験の有無だけでなく、「一人で訪問し判断できる自律性があるか」「利用者様やご家族の生活に寄り添えるか」という点を厳しくチェックしています。
ここでは、訪問看護ステーションへの転職を成功させるための職務経歴書の書き方と、経験者・未経験者別の具体的な例文を紹介します。
訪問看護の採用担当者が職務経歴書で重視する3つのポイント
具体的な例文を見る前に、訪問看護の現場で何が求められているかを整理することが重要です。以下の3点を意識して書類を作成することで、採用担当者の評価はぐっと高まります。
1. 一人で判断し完結する「自律性」と「判断力」
訪問看護は基本的に一人で利用者様宅へ向かいます。急変時や予期せぬトラブルが発生した際、マニュアル通りにいかない場面でも冷静にアセスメントし、医師や管理者へ適切に報告・連絡・相談(ホウレンソウ)できる判断力が求められます。病棟時代にリーダー業務や急変対応を経験している場合は、その実績が大きな安心材料となります。
2. 幅広い疾患への対応力と生活を支える視点
在宅には、小児から高齢者、精神疾患、難病、ターミナル期まで、多様な利用者様がいらっしゃいます。特定の診療科だけでなく、幅広い知識や処置経験(バルーン管理、ストーマケア、褥瘡処置、点滴管理など)があることは強みになります。また、単に医療処置を行うだけでなく、食事・排泄・入浴といった生活全般を支える視点を持っているかどうかも重要です。
3. 接遇マナーとコミュニケーション能力
利用者様のプライベートな空間にお邪魔する仕事であるため、病院以上に接遇やマナーが重視されます。「あなたに来てほしい」と言っていただけるような信頼関係を築く力や、ご家族の精神的なケア、ケアマネジャーや医師との多職種連携を円滑に行うコミュニケーション能力は必須のスキルです。
【ケース別】訪問看護の職務経歴書 例文
ご自身の経験や状況に合わせて、以下の例文をアレンジして活用してください。具体的な数字やエピソードを盛り込むことで、説得力が増します。
ケース1:病棟看護師から訪問看護へ転職する場合(未経験)
ポイント
病棟で培った臨床経験やアセスメント能力をアピールしつつ、在宅ケアへの熱意と適応力を伝えます。
■ 職務要約
総合病院の消化器内科および外科混合病棟にて5年間勤務しました。周術期の管理から化学療法、ターミナルケアまで幅広い看護に従事しました。退院支援に関わる中で、患者様が住み慣れた自宅で最期までその人らしく過ごすための支援がしたいと強く思い、訪問看護を志望しました。病棟で培ったアセスメント能力と急変対応力を活かし、安全で安心できる在宅療養を支えます。
■ 活かせる経験・知識・技術
- 医療処置全般: 採血、点滴、吸引、酸素療法、経管栄養、CVポート管理、褥瘡処置、ストーマケア
- ターミナルケア: 疼痛コントロール、ご本人・ご家族への精神的ケア(エンゼルケア経験あり)
- 退院調整: MSWや地域のケアマネジャーと連携した退院支援カンファレンスへの参加
■ 自己PR
私の強みは、患者様の微細な変化を見逃さない「観察力」と「アセスメント能力」です。
病棟勤務では、受け持ち患者様のバイタルサインや表情の変化から異常の予兆を早期に察知し、医師へ迅速に報告・提案を行うことで重症化を防いできました。訪問看護は医師がそばにいない環境ですが、これまでの経験を活かして的確な判断を行い、利用者様とご家族が安心して過ごせるようサポートいたします。また、普通自動車免許を所持しており、地域内の移動もスムーズに行えます。
ケース2:訪問看護経験者がキャリアアップする場合
ポイント
訪問件数、対応した事例の難易度、オンコール対応、管理者・リーダー経験などを具体的に記載し、即戦力であることを強調します。
■ 職務要約
訪問看護ステーションにて4年間勤務し、常勤として1日平均5件から6件の訪問を担当しました。脳血管疾患後遺症や神経難病、小児、精神科訪問看護など多様なケースに対応し、年間約10件の看取りも経験しました。直近1年間は管理者代行として、スタッフの訪問スケジュール調整やレセプト業務の補助、新人教育にも携わりました。これまでの現場経験と運営視点を活かし、貴ステーションの質の高いサービス提供とチーム作りに貢献したいと考えています。
■ 職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
勤務先: 医療法人〇〇会 〇〇訪問看護ステーション(スタッフ数:15名)
担当業務:
- 訪問看護業務全般(健康状態の観察、医療処置、保清、リハビリ)
- オンコール対応(月7~10回担当、実働出動 平均月1回)
- 医師、ケアマネジャー、薬剤師等との連携・調整
- 訪問看護計画書・報告書の作成(電子カルテ使用)
- 新人スタッフへの同行訪問・指導
■ 実績・取り組み
- 看取りケアの充実ご本人とご家族の「家で最期を迎えたい」という希望を叶えるため、24時間体制での連絡相談に応じ、不安の軽減に努めました。ご家族からは「最期まで自宅で過ごせて本当によかった」とのお言葉をいただきました。
- 業務効率化記録業務のICT化推進チームに参加し、タブレット端末での入力フローを整備。ステーション全体の残業時間を月平均5時間削減しました。
■ 自己PR
私は「その人らしい生活」を最優先に考え、環境調整を行う応用力に自信があります。
在宅という限られた資源の中で、工夫してケア環境を整えたり、ご家族の介護負担を軽減するための介助指導を行ったりしてきました。また、多職種連携においては、医療の専門用語を使わず分かりやすい言葉で伝えることを心がけ、チーム全体の連携強化に努めてきました。即戦力として、利用者様のQOL向上に貢献いたします。
ケース3:ブランクあり・子育て中の復帰の場合
ポイント
ブランクがあっても基本的な手技に問題がないことや、限られた時間内で効率的に業務を遂行できることをアピールします。
■ 職務要約
整形外科および内科病棟にて通算6年間の臨床経験があります。出産・育児により3年間のブランクがありますが、その間も地域の看護協会が主催する研修に参加するなど、知識の維持に努めてまいりました。自身の子育て経験を通じ、ご家族の生活を支える大変さと重要性を再認識しました。限られた時間内ではありますが、テキパキと業務をこなし、利用者様に明るく寄り添う看護を提供したいと考えています。
■ 自己PR
私は、限られた時間の中で優先順位をつけて行動する「タイムマネジメント能力」があります。
以前の職場では、多忙な業務の中でもチームメンバーと声を掛け合い、残業を極力減らす工夫をしてきました。ブランクはありますが、採血や点滴などの基本的な手技には自信があります。また、子育てを通じて培った忍耐力と柔軟性は、様々な事情を抱える在宅の現場でも必ず活かせると確信しています。まずはパート勤務からスタートし、早期に感覚を取り戻してチームの一員として貢献できるよう努力いたします。
職務経歴書の質を高めるためのチェックポイント
専門用語と一般的な言葉のバランス
医療従事者同士であれば通じる用語でも、読み手(事務長や人事担当者)によっては伝わりにくい場合があります。「ADL(日常生活動作)」「褥瘡(床ずれ)」など、文脈に合わせて分かりやすく記載する配慮があると、コミュニケーション能力の高さが伝わります。
具体的な処置経験の羅列
「一般的な看護業務」とまとめるのではなく、「人工呼吸器管理」「腹膜透析」「IVH管理」「麻薬管理」など、対応可能な処置を具体的にリストアップしてください。ステーションによって受け入れている利用者様の医療依存度が異なるため、マッチングの重要な指標になります。
運転免許と運転スキル
訪問看護では車やバイクでの移動が必須となるケースが多いです。運転免許の有無だけでなく、「ペーパードライバーではないか」「普段から運転しているか」といった運転スキルについても特記事項や自己PRで触れておくと、採用側の不安を払拭できます。
訪問看護は、病院とは違ったやりがいと責任がある仕事です。あなたのこれまでの臨床経験と、「在宅で暮らしたい」と願う人々を支えたいという熱意を職務経歴書にしっかりと込め、希望するステーションへの転職を成功させてください。





