訪問介護の職務経歴書 例文と書き方完全ガイド 採用担当者が会いたくなるアピール術

訪問介護（ホームヘルパー）の仕事は、利用者様の自宅というプライベートな空間に入り、一対一でケアを行う責任の重い仕事です。そのため、採用担当者はスキルや経験だけでなく、「この人なら安心して利用者様を任せられるか」という人間性や信頼性を厳しくチェックしています。

施設介護とは異なる「訪問介護ならでは」のアピールポイントを押さえなければ、いくら経験があっても書類選考で落とされてしまうこともあります。

ここでは、訪問介護への転職を成功させるための職務経歴書の書き方と、経験者・未経験者・サ責（サービス提供責任者）候補など、状況別の具体的な例文を紹介します。

訪問介護の採用担当者が職務経歴書で重視する3つのポイント

具体的な例文を見る前に、訪問介護の現場で何が求められているかを整理しましょう。以下の3点を意識して書くことで、評価がぐっと高まります。

1. 「一人で判断し、完結する力」があるか

施設とは異なり、訪問介護は基本的に一人で現場に向かいます。急な体調変化やトラブルがあった際、マニュアル通りにいかない場面でも冷静に判断し、管理者や医療職へ適切に報告・連絡・相談（ホウレンソウ）できる「自律性」が求められます。

2. 「生活援助（家事）」のスキルと適応力

身体介護の技術はもちろんですが、訪問介護では調理・掃除・洗濯といった「生活援助」の比重も高いです。特に「冷蔵庫にある食材で手早く調理できる」「利用者様の好みに合わせた味付けができる」といった家事スキルは、即戦力として非常に重宝されます。

3. 利用者様やご家族との「信頼関係構築力」

利用者様の生活空間にお邪魔する仕事であるため、マナーや気配りが欠かせません。「あなたに来てほしい」と言っていただけるような、誠実なコミュニケーション能力や接遇マナーが重視されます。

【ケース別】訪問介護の職務経歴書 例文

それでは、具体的なシチュエーション別に職務経歴書の例文を紹介します。ご自身の経験に合わせて、数字やエピソードを調整して活用してください。

ケース1：施設介護（特養・老健など）から訪問介護へ転職する場合

【ポイント】

施設で培った「重度化対応」や「チームケア」の経験を活かしつつ、これからは「一人ひとりの生活に寄り添いたい」という在宅への意欲をアピールします。

■ 職務要約

特別養護老人ホームにて5年間、介護職員として勤務しました。平均介護度4.0の重度利用者様50名を担当するフロアにて、食事・入浴・排泄介助などの身体介護全般に従事。また、看取りケアや事故防止委員としての活動も経験しました。施設での経験を通じ、利用者様が住み慣れた自宅で過ごすための支援がしたいと強く思い、訪問介護を志望しました。確かな介護技術と観察力を活かし、安全で安心できる在宅生活を支えます。

■ 活かせる経験・スキル

• 身体介護技術： 重度者の移乗、体位変換、排泄介助、機械浴・個浴対応
• 急変時対応： バイタルチェックによる状態観察、看護師への迅速な連携
• 看取りケア： ご本人とご家族の精神的ケア、安楽な姿勢の保持

■ 自己PR

私の強みは、利用者様のわずかな体調変化を見逃さない「観察力」です。

前職では、言葉で訴えることが難しい利用者様の表情や食事量の変化から体調不良を早期に察知し、誤嚥性肺炎の重症化を防いだ経験があります。訪問介護においても、限られた訪問時間の中で全身状態を把握し、管理者やご家族へ的確に報告することで、在宅生活の安全を守り抜きます。

ケース2：訪問介護経験者がキャリアアップする場合（サ責候補など）

【ポイント】

対応件数、難易度の高い事例への対応、書類作成能力、ヘルパー間の調整力をアピールします。

■ 職務要約

訪問介護事業所にて4年間、登録ヘルパーおよび常勤ヘルパーとして勤務しました。1日平均5～7件の訪問を行い、独居高齢者や認知症の方、ターミナル期の方など、多様なケースに対応してまいりました。直近1年間はサービス提供責任者の補助として、手順書の作成やヘルパーへの同行指導も担当しました。これまでの現場経験を活かし、質の高いサービス計画の立案とチーム運営に貢献したいと考えています。

■ 職務詳細

期間： 20XX年4月 ～ 現在

勤務先： 株式会社〇〇 訪問介護ステーション（ヘルパー数：20名）

担当業務：

• 身体介護（入浴、排泄、清拭、通院介助）および生活援助（調理、掃除、買物）
• 認知症利用者様（要介護3～5）への対応
• サービス実施記録の作成、モニタリング情報の報告
• 新人ヘルパーへの同行訪問・技術指導

■ 実績・取り組み

• 調理スキルの向上による満足度アップ糖尿病や高血圧などの疾患を持つ利用者様に対し、制限内でも楽しめるメニューを考案・調理しました。「食事が楽しみになった」との声をいただき、信頼関係の構築と栄養状態の改善に寄与しました。
• 困難事例への対応介護拒否のある認知症利用者様に対し、否定せず受容する姿勢で粘り強く関わり、入浴介助を受け入れていただける関係性を築きました。

ケース3：未経験・異業種から訪問介護へ転職する場合

【ポイント】

家事能力、接客経験（コミュニケーション力）、責任感をアピールします。資格（初任者研修など）は必須です。

■ 職務要約

飲食店にて3年間、接客および店舗運営業務に従事しました。幅広い年齢層のお客様に対し、丁寧な言葉遣いと相手の立場に立ったサービスを心がけてまいりました。実務は未経験ですが、介護職員初任者研修を取得済みです。接客業で培ったホスピタリティと、主婦として10年間培った家事スキル（特に調理）を活かし、利用者様の生活を尊重したサポートを行います。

■ 活かせる経験・スキル

• 家事スキル： 一般的な家庭料理（冷蔵庫の食材での調理）、掃除、洗濯
• コミュニケーション能力： 相手の要望を先回りして察知する「気づき」の力
• 保有資格： 介護職員初任者研修、普通自動車第一種運転免許（AT限定）

■ 自己PR

私は「相手の生活習慣や価値観を尊重すること」を大切にしています。

訪問介護は利用者様のプライベートな空間に入る仕事です。前職の接客業では、マニュアル通りではなく、お客様一人ひとりに合わせた柔軟な対応で信頼を得てきました。介護技術はこれから磨いていきますが、利用者様が「自分らしい生活」を続けられるよう、生活歴やこだわりを尊重した丁寧な生活援助を実践いたします。

採用担当者に響く「自己PR」のキーワード

訪問介護の自己PRでは、以下のキーワードをエピソードに絡めると評価が高まります。

1. 「調理スキル」生活援助の中で最も個人差が出るのが料理です。「限られた時間でおいしいものを作れる」ことは強力な武器になります。
2. 「臨機応変な対応力」訪問先では物品が足りなかったり、利用者様の機嫌が悪かったりと、想定外のことが起こります。そこでパニックにならず対応できる柔軟性をアピールしましょう。
3. 「責任感と時間厳守」一人で訪問するため、遅刻や欠勤はサービスの穴に直結します。社会人としての基本的な規律を守れることは、最も重要な信頼の証です。
4. 「自転車・車の運転」移動手段として、自転車や車での移動に慣れていること、無事故無違反であることも立派なアピールポイントです。

訪問介護は、超高齢社会を支えるエッセンシャルワークです。あなたのこれまでの経験や生活スキルが、誰かの在宅生活を支える力になります。自信を持って職務経歴書を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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