エンジニア特有の職務経歴書の書き方と、そのまま使える職種別の例文
エンジニアの転職活動において、職務経歴書は単なる「経歴の記録」ではありません。あなたの保有する技術スキル、プロジェクトでの立ち位置、そしてビジネスへの貢献度を証明する「仕様書(スペックシート)」です。
採用担当者や現場のエンジニアは、限られた時間の中で「この人は即戦力になるか」「自社の開発環境にマッチするか」を見極めようとしています。
この記事では、書類選考を確実に突破するために必要なエンジニア特有の職務経歴書の書き方と、そのまま使える職種別の例文(Web系、インフラ系、PM)を紹介します。
エンジニアの職務経歴書で採用担当者が見ている3つのポイント
具体的な例文を見る前に、エンジニアの採用において何が重視されているかを押さえておきましょう。
- 技術スキルの具体性と鮮度単に「Java経験あり」ではなく、「Java 17 (Spring Boot 3)」「AWS (ECS/Fargate)」のように、バージョンや周辺技術まで具体的に記載されているか。
- 担当工程と役割要件定義から携わったのか、実装のみか。リーダー経験はあるか、メンバーの規模はどれくらいか。
- 課題解決のプロセスと実績「作った」だけでなく、「どのような技術的課題を、どう解決したか」「パフォーマンスをどう改善したか」というエンジニアリングの質。
【職種別】エンジニアの職務経歴書 例文
ここでは、代表的な3つのポジション(Webアプリ開発、インフラ、PM)の例文を紹介します。ご自身の経験に合わせてカスタマイズして活用してください。
例文1:Webアプリケーションエンジニア(SE・PG)
【ポイント】
開発環境(言語・FW・ツール)を詳細に書き、技術的な工夫(パフォーマンス改善や自動化など)を実績として強調します。
■職務要約
大学卒業後、SIerにて5年間、Webアプリケーションエンジニアとして従事。JavaおよびPHPを用いたBtoB向け基幹システムの開発において、要件定義から設計、実装、テストまでの一連の工程を経験しました。直近のプロジェクトでは、サブリーダーとして5名のメンバーのコードレビューや進捗管理を担当し、品質向上と納期遵守に貢献しました。
■活かせる経験・知識・技術
- 言語:Java (5年), PHP (3年), JavaScript (Vue.js) (2年)
- FW:Spring Boot, Laravel
- DB:Oracle, MySQL
- インフラ:AWS (EC2, RDS, S3)
- その他:Git, Jenkins, Docker
■職務経歴詳細
期間: 20XX年4月 ~ 現在
プロジェクト名: 大手物流会社向け 配送管理システムリプレイス開発
規模: 全体20名(自チーム5名)/ 期間:1年6ヶ月
役割: サブリーダー(基本設計~結合テスト、メンバー指導)
【開発環境】
- OS:Linux (Amazon Linux 2)
- 言語:Java 11
- FW:Spring Boot
- DB:PostgreSQL
- ツール:Git, Backlog, Slack
【担当業務】
- 配送ルート自動算出機能の基本設計・詳細設計
- 主要機能のバックエンド実装および単体テスト
- 若手メンバー2名のコードレビュー
【実績・取り組み】
- パフォーマンス・チューニング検索処理のレスポンス遅延(平均3秒)に対し、SQLの実行計画を分析しインデックス最適化を実施。レスポンスを0.5秒以下へ短縮し、UX向上に貢献しました。
- 開発効率の向上API仕様書の作成にSwaggerを導入し、フロントエンドチームとの連携コストを削減。手動だったデプロイ作業をCI/CDパイプライン(AWS CodePipeline)で自動化し、リリース作業時間を90%削減しました。
例文2:インフラエンジニア(クラウド・サーバー)
【ポイント】
オンプレミスからクラウドへの移行経験や、IaC(Infrastructure as Code)による自動化、コスト削減の実績をアピールします。
■職務要約
インフラエンジニアとして6年間、サーバー設計・構築・運用を経験。Linuxサーバーの構築を中心に、直近ではオンプレミス環境からAWSへのクラウド移行プロジェクトを主導しました。Terraformを用いた構築自動化や、Datadogによる監視基盤の整備など、運用効率と可用性の向上に注力してきました。
■職務経歴詳細
期間: 20XX年10月 ~ 現在
プロジェクト名: 自社ECサイト インフラ基盤のAWS移行および運用保守
規模: 5名 / 役割:インフラ設計・構築担当
【環境】
- クラウド:AWS (EC2, RDS, ELB, CloudFront, Route53)
- OS:Amazon Linux 2
- 構成管理:Terraform, Ansible
- 監視:Datadog, PagerDuty
【実績・取り組み】
- インフラコストの最適化移行に伴い、リザーブドインスタンスの活用やオートスケーリングの導入、不要リソースの棚卸しを実施。月額インフラコストをオンプレミス時代と比較して約25%削減しました。
- 構築の自動化(IaC)Terraformを導入し、インフラ構成をコード化。環境複製にかかる時間を3日から半日へ短縮するとともに、手作業による設定ミス(オペレーションミス)を排除しました。
例文3:プロジェクトマネージャー(PM/PL)
【ポイント】
技術力だけでなく、予算規模、チーム人数、そして「QCD(品質・コスト・納期)」をどのように管理したかというマネジメント手腕を強調します。
■職務要約
ITコンサルティング企業にて、PMとして大規模システムの導入支援および開発管理に従事。金融・製造業界に対し、予算規模1億円以上、メンバー30名規模のプロジェクトを統括しました。ステークホルダーとの折衝、リスク管理を徹底し、担当した全プロジェクトを納期通りにカットオーバーさせました。
■職務経歴詳細
期間: 20XX年4月 ~ 20XX年3月
プロジェクト名: 金融機関向け 顧客管理システム刷新プロジェクト
規模: 予算1.5億円 / メンバー35名(協力会社含む)
役割: プロジェクトマネージャー
【担当業務】
- プロジェクト計画策定、WBS作成
- 要件定義、顧客折衝、ベンダーコントロール
- 進捗・課題・リスク管理、品質管理
【実績・取り組み】
- 要件変更への対応とスコープ管理開発中盤で発生した大幅な仕様変更要望に対し、顧客と粘り強く交渉。必須機能と追加機能をフェーズ分けしてリリースすることを提案し、当初の納期(カットオーバー)を厳守しました。
- チームビルディング多拠点(オフショア含む)開発において、毎朝のスタンドアップミーティングとチャットツールのルール化を徹底。コミュニケーションロスによる手戻りを防ぎ、生産性を維持しました。
エンジニアが「自己PR」で書くべきこと
技術的な詳細は「経歴詳細」や「スキルシート」で伝わるため、自己PRでは**エンジニアとしての「スタンス(姿勢)」**を記述します。
- 技術への探究心(学習意欲)「業務外でもQiitaで技術発信をしている」「GitHubで個人開発のコードを公開している」など、自走して学べる姿勢は高く評価されます。
- ビジネス視点「ただ作るだけでなく、ビジネスの成果(売上や効率化)を意識している」「ユーザー視点でのUI改善を提案した」など、技術を手段として捉えていることを示します。
- チームワーク・コミュニケーション「仕様調整のためにデザイナーと密に連携した」「非エンジニアにも専門用語を使わずわかりやすく説明した」など、組織で働くスキルをアピールします。
まとめ:見やすいレイアウトで「技術」と「実績」を語る
エンジニアの職務経歴書は、情報量が多くなりがちです。
採用担当者がパッと見て理解できるよう、以下のレイアウトの工夫を忘れないでください。
- 「技術スキル要約」を冒頭に置く(採用要件とマッチするか瞬時に判断させるため)。
- プロジェクトごとにブロック分けして書く(キャリア式)。
- 「環境」「規模」「役割」を箇条書きにする。
あなたの技術力と実績が正しく伝われば、書類選考の通過率は確実に上がります。自信を持って、これまでのエンジニアとしての歩みを記述してください。





