職務経歴書の「営業実績」書き方完全ガイド!採用担当者を唸らせる例文と数字の見せ方
営業職の転職活動において、職務経歴書の中で最も重要視される項目が「営業実績」です。採用担当者は、ここに記載された数字とプロセスを見て、「自社でも同じように売れる人材か(再現性)」を判断します。
しかし、単に売上金額を羅列するだけでは、あなたの本当の実力は伝わりません。目標に対する達成率や、その数字を生み出すためにどのような工夫をしたかというプロセスをセットで伝える必要があります。
この記事では、書類選考を確実に通過するために必要な「営業実績」の書き方のルールと、状況別の具体的な例文を解説します。
採用担当者が「営業実績」で見ている3つのポイント
具体的な書き方に入る前に、評価される基準を押さえておきましょう。採用担当者は以下の3点をチェックしています。
1. 「目標」に対する「達成率」
単に「売上1億円」と書かれても、目標が5,000万円だったのか2億円だったのかで評価は180度変わります。「予算(目標)」と「実績」を併記し、「達成率(%)」を必ず記載してください。
2. 数字の背景にある「プロセス」
「たまたま景気が良かったから売れた」のではなく、「狙って売った」ことを証明する必要があります。「ターゲット選定を見直した」「提案資料を刷新した」など、**なぜその数字を達成できたのか(要因・工夫)**を言語化します。
3. 客観的な「立ち位置」
社内でどの程度の実力者なのかを示します。「営業部員50名中3位」「社内MVP受賞」「昨対比120%」といった相対的な評価指標を入れることで、実績の説得力が増します。
【基本】営業実績は見やすい「表形式」で書く
文章でダラダラと書くよりも、パッと見て数字が飛び込んでくる「表形式」がおすすめです。
【記載例:基本フォーマット】
| 年度 | 担当商材 | 目標金額 | 実績金額 | 達成率 | 順位 |
| 2022年度 | 法人向け複合機 | 3,000万円 | 3,300万円 | 110% | 5/30位 |
| 2023年度 | 法人向け複合機 | 4,000万円 | 5,200万円 | 130% | 2/30位 |
【取り組み・プロセス】
- 既存顧客へのアップセル強化:契約更新のタイミングをリスト化し、3ヶ月前からの提案を徹底。解約率を5%低減させると同時に、上位機種への切り替え提案により単価を15%向上させました。
- 新規開拓の効率化:ターゲット業界を「物流・倉庫業」に絞り込み、業界特化型の提案資料を作成。テレアポのアポイント率を1.5%から3.0%へ改善しました。
【状況別】そのまま使える営業実績の例文
ここからは、営業スタイルやポジション別の具体的な書き方を紹介します。ご自身の状況に合わせてアレンジしてください。
1. 法人営業(新規開拓メイン)の場合
新規開拓では「行動量」「開拓件数」「リードタイム短縮」などのプロセスが評価されます。
【営業実績】
- 2023年度 新規獲得社数:年間24社(目標12社/達成率200%)
- 2023年度 新規売上金額:4,800万円(目標4,000万円/達成率120%)
- 社内表彰:2023年度 上期 新規開拓賞 受賞
【成功要因・プロセス】
- ターゲットの再定義とリスト作成:過去の受注データを分析し、受注確度の高い「従業員数50〜100名の製造業」にターゲットを集中。自作のターゲットリスト(500社)に対し集中的にアプローチを行いました。
- 決裁者アプローチの徹底:リードタイム短縮のため、初回訪問時から決裁者(社長・部長クラス)の同席を依頼するトークスクリプトに変更。受注までの期間を平均3ヶ月から1.5ヶ月へ短縮しました。
2. ルート営業(既存顧客深耕)の場合
ルート営業では「関係構築力」「防衛(解約阻止)」「クロスセル(別商材提案)」が評価されます。
【営業実績】
- 担当社数:大手量販店を中心に約30社
- 2023年度 担当エリア売上:前年比115%達成
- 契約継続率:100%(3年間解約ゼロを維持)
【成功要因・プロセス】
- 提案型営業への転換:単なる御用聞き(受注業務)に留まらず、各店舗のPOSデータを分析し、季節やトレンドに合わせた棚割りを提案。店舗ごとの売上向上に貢献し、発注シェアを競合他社から奪取しました。
- 潜在ニーズの発掘によるクロスセル:担当者との雑談から「バックヤード業務の負担」という課題をヒアリングし、業務効率化につながる新商品を提案。メイン商材以外の受注に成功し、顧客単価を向上させました。
3. 個人営業(不動産・保険・販売など)の場合
個人営業では「信頼獲得」「即決力」「紹介数」などが評価されます。
【営業実績】
- 2023年度 仲介手数料売上:3,500万円(目標3,000万円/達成率116%)
- 成約件数:年間45件(店舗平均30件)
- 顧客紹介獲得数:年間10件(部内トップ)
【成功要因・プロセス】
- 徹底したヒアリングとライフプラン提案:物件の条件だけでなく、「購入後の生活」や「将来の家族構成」まで深くヒアリング。お客様自身も気づいていない潜在ニーズを満たす提案を行い、初回接客からの成約率を向上させました。
- レスポンスの速さとアフターフォロー:問い合わせには原則30分以内に一次回答を行い、顧客の不安を払拭。成約後も定期的な連絡を行い、信頼関係を維持することで、知人・友人の紹介受注に繋げました。
4. マネジメント経験(リーダー・管理職)の場合
チーム全体の数字と、組織課題に対する解決策(育成・仕組み化)を記述します。
【営業実績】
- 役職:営業課長(部下8名のマネジメント)
- 2023年度 チーム予算達成率:105%(予算2億円/実績2.1億円)
- メンバー目標達成率:8名中7名が個人目標達成
【マネジメント・組織強化の取り組み】
- 営業プロセスの標準化(型化):属人化していたトップセールスの商談手法を言語化し、トークスクリプトと提案資料のテンプレートを作成。チーム全体に展開することで、新人メンバーの早期戦力化(初受注まで3ヶ月→1ヶ月)を実現しました。
- KPI管理の徹底と行動改善:「結果」だけでなく「プロセス(訪問数・提案数)」をKPIとして管理。週次ミーティングで進捗を確認し、行動量が不足しているメンバーには同行営業を行うなど、きめ細やかな指導を行いました。
実績が書きにくい場合のQ&A
Q. 目標未達の月が多く、誇れる数字がありません。
A. 「プロセス」や「一部の成功」に焦点を当てましょう。
通期で未達でも、「下期は達成した」「新規開拓数だけは目標を超えた」「昨対比ではプラスだった」など、ポジティブな要素を探します。また、「なぜ未達だったのか」の分析と、「次はどう改善しようとしたか」というPDCAのプロセスを詳しく書くことで、課題解決能力をアピールできます。
Q. 守秘義務があり、具体的な社名や金額が出せません。
A. 「規模感」や「比率」で表現しましょう。
社名は「東証プライム上場の大手製造業」「従業員数1,000名規模のIT企業」のように属性で記載します。金額が出せない場合は、「達成率120%」「昨対比150%成長」「数千万円規模のプロジェクト」といった表現を使い、規模感と成長性が伝わるように工夫してください。
Q. チーム営業のため、個人の実績が分かりにくいです。
A. 「チーム内での役割」と「貢献度」を書きましょう。
チーム全体の目標と実績を書いた上で、「自分はその中で何を担当したか」を明確にします。「リーダーの補佐として資料作成を一手に引き受けた」「チーム内で最も多くアポを獲得し、案件創出に貢献した」など、組織への貢献を具体的な行動で示してください。
まとめ:数字とプロセスで「再現性」を証明しよう
営業職の職務経歴書において、実績は最大の武器です。
しかし、採用担当者が見ているのは数字の大きさだけではありません。「どのような環境で」「どのような課題に対し」「どう考え行動した結果」その数字が出たのかというストーリーを見ています。
「数字(Result)」+「プロセス(Process)」=「信頼(Trust)」
この公式を意識して職務経歴書を作成すれば、あなたの営業力は書類選考の段階で高く評価され、面接への切符を掴み取ることができるはずです。





