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デザイナーの職務経歴書ガイド ポートフォリオとセットで魅せる書き方戦略

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デザイナーの転職活動において、最も重視されるのは制作物をまとめた「ポートフォリオ」であることは間違いありません。しかし、ポートフォリオが優れていれば職務経歴書は適当で良いかというと、それは大きな間違いです。

採用担当者は、ポートフォリオで「デザインのスキル(画力やセンス)」を確認し、職務経歴書で「ビジネスマンとしての働き方(プロセスやコミュニケーション)」を確認しています。この二つが揃って初めて、採用への扉が開かれます。ここでは、クリエイターとしての魅力を補完し、採用決定打となる職務経歴書の書き方を解説します。

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ポートフォリオでは伝わらない情報を補完する

職務経歴書の役割は、ポートフォリオの作品が「どのような制約の中で」「どのような意図を持って」「どれくらいのスピードで」作られたかを言語化することです。美しいビジュアルの裏側にある、泥臭い努力や調整能力こそが、企業が求めている実務能力だからです。

ポートフォリオには「最終的なアウトプット」を掲載し、職務経歴書にはそこに至るまでの「制作フロー」「担当範囲」「思考プロセス」を記述するという役割分担を意識して作成します。両者が相互に補完し合うことで、あなたのデザイナーとしての解像度が高まります。

採用担当者が必ずチェックするスキル要件の記載

デザイナーの採用現場では、即戦力として開発環境に馴染めるかが重要視されます。以下のテクニカルな情報は、職務経歴書の冒頭やスキル欄に漏れなく、かつ具体的に記載する必要があります。

使用ツールとバージョン

Illustrator、Photoshop、Xd、Figma、Premiere Pro、After Effectsなどの使用ツールを羅列するだけでなく、使用歴(年数)と習熟度を記載します。「基本操作のみ」「スクリプトによる自動化が可能」「後輩指導レベル」など、言葉でレベル感を補足すると親切です。また、コーディングスキル(HTML、CSS、JavaScript、WordPressなど)がある場合は、デザイナーとしての市場価値を大きく高めるため、必ず記載します。

作業環境とOS

Mac環境かWindows環境かは、意外と見られているポイントです。両方のOSに対応できる場合はその旨を記載します。また、リモートワークが普及している現在では、自宅の作業環境(回線速度やモニタサイズなど)を記載することがプラスに働く場合もあります。

制作実績は「プロジェクト単位」で見やすく整理する

デザイナーの経歴は、多種多様な制作物が混在しがちです。時系列(編年体)で羅列すると、Webサイト、バナー、チラシ、ロゴなどが入り乱れ、得意分野が伝わりにくくなることがあります。

そのため、デザイナーの職務経歴書は「キャリア式(プロジェクト形式)」で構成することをおすすめします。「Webデザイン案件」「DTP・グラフィック案件」「ディレクション案件」といったカテゴリごとに実績をまとめ、その中で代表的なプロジェクトをピックアップして詳細を記述します。これにより、読み手はあなたの強みとなる領域を一目で把握できます。

デザインの成果を「数字」と「ビジネス視点」で語る

「かっこいいデザインを作りました」という主観的な評価ではなく、そのデザインがビジネスにどのような貢献をしたかを客観的な数字で示します。

Web・UI/UXデザイナーの場合

Webデザインは数字での効果測定がしやすい領域です。「LPのリニューアルによりCVR(コンバージョン率)が1.5倍に向上した」「バナーのABテストを繰り返し、CTR(クリック率)を改善した」「サイトの表示速度を改善し、離脱率を低下させた」など、マーケティング視点を持ったデザインができることをアピールします。

グラフィック・DTPデザイナーの場合

紙媒体や販促物は数字が見えにくい場合がありますが、工夫次第で数値化は可能です。「チラシ経由の来店客数が前年比120%になった」「カタログのページレイアウトを規格化し、制作時間を20%短縮した」「印刷会社との交渉により、印刷コストを10%削減した」など、集客効果や業務効率化、コスト削減の実績を記述します。

役割とコミュニケーション能力の明確化

一つの制作物が完成するまでには、ディレクター、エンジニア、ライター、クライアントなど多くの人が関わります。その中であなたが「どこからどこまでを担当したか」を明確にします。

担当工程の範囲

企画、ワイヤーフレーム作成、デザインカンプ作成、素材撮影、コーディング、入稿データ作成など、具体的な作業範囲を記載します。「デザインのみ担当」なのか「企画から納品まで一貫して担当」なのかで、評価は大きく異なります。

コミュニケーション能力のアピール

デザイナーは黙々と作業をする職種だと思われがちですが、実際には「ヒアリング能力」や「意図を伝える力」が不可欠です。「エンジニアと実装可能性について初期段階からすり合わせを行った」「クライアントの抽象的な要望を具体的なビジュアルイメージに落とし込み、提案資料を作成した」といったエピソードは、チームで働く上で安心感を与えます。

自己PRで伝えるべきクリエイターとしてのスタンス

最後に、自己PR欄ではスキル以外の「マインド」や「将来の展望」を伝えます。

ユーザビリティと目的達成へのこだわり

「独りよがりのデザインではなく、ユーザーにとって使いやすく、クライアントの目的を達成するデザインを心がけています」という姿勢は、ビジネスデザイナーとして最も重要な素養です。

継続的なインプットと成長意欲

デザインのトレンドや技術は日々進化しています。「日常的にデザイン系ニュースサイトをチェックしている」「新しいツールのチュートリアルを自主的に実践している」といった学習習慣をアピールし、常にアップデートし続けるクリエイターであることを伝えてください。

デザイナーの職務経歴書は、ポートフォリオへの案内図のようなものです。読み手が「実際の作品を見てみたい」とワクワクするような、論理的かつ魅力的な書類を作成してください。また、職務経歴書自体のレイアウトやフォント選び(読みやすさへの配慮)も、デザイナーとしてのセンスを測られる要素であることを忘れずに、細部までこだわりを持って仕上げることが大切です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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