前々職の経験を最強の武器にする職務経歴書自己PRの書き方と活用テクニック
転職回数が2回以上ある方にとって職務経歴書の自己PRをどの時期の経験に基づいて書くかは大きな悩みどころです。直近の職歴(前職)をアピールするのが基本セオリーとされていますが、応募する企業の業務内容によっては「前々職(2つ前の職場)」の経験の方がマッチしている場合や、前職の在籍期間が短くアピール材料が乏しい場合もあります。結論から申し上げますと、自己PRの題材に前々職を選ぶことは全く問題ありません。むしろ戦略的に活用することで、キャリアに厚みを持たせ、他の候補者と差別化することが可能です。ここでは前々職のキャリアを効果的に自己PRに組み込み、書類選考を通過するための書き方のポイントと具体的な例文を紹介します。
前々職の経験を自己PRのメインに据えても良いケース
採用担当者が自己PRで見ているのは「いつの経験か」よりも「自社で再現できるスキルがあるか」という点です。したがって以下のケースにおいては、前職ではなく前々職の経験をメインに据えることが有効な戦略となります。
- 出戻り転職(キャリアの原点回帰)の場合営業職から事務職へ転職したが、やはり営業職に戻りたいというようなケースです。この場合、直近の事務経験よりも、その前の営業経験の方が即戦力としての証明になります。
- 前職の在籍期間が極端に短い場合前職が半年未満などで早期退職してしまった場合、そこでの実績を無理に膨らませるよりも、数年間勤めた前々職の実績をアピールした方が信頼性は高まります。
- キャリアの掛け算(ハイブリッド)を狙う場合「前々職のITスキル」×「前職の営業スキル」=「IT営業」のように、過去の経験と直近の経験を掛け合わせて独自の強みをアピールする場合です。
「過去の栄光」に見せないための書き方の鉄則
前々職のことを書く際に最も注意すべきなのは、「昔はすごかった」という過去の自慢話に見せないことです。採用担当者に「今の能力はどうなのか?」と不安を抱かせないために、以下の工夫が必要です。
- キャリアの一貫性を強調する「前々職で基礎を築き、前職で視野を広げ、今回貴社でその両方を活かしたい」というように、点ではなく線でキャリアを語ります。
- ブランクを感じさせない前々職のスキルが現在も通用すること、あるいは前職の期間中もそのスキルの維持・向上に努めていたことを伝えます。
- 直近の経験も無視しないメインのエピソードは前々職だとしても、前職の経験から得た学び(たとえそれが失敗経験であっても)を少し加えることで、直近の期間も無駄ではなかったことを示します。
前々職の経験をメインにした構成テクニック
自己PRを構成する際は、以下の流れを意識するとスムーズに伝わります。
- 結論(強み):私の強みは前々職で培った〇〇力と、前職で得た〇〇視点です。
- メインエピソード(前々職):前々職での具体的な実績や工夫を数字を用いて詳細に記述します。
- 補足エピソード(前職):前職の経験が、その強みにどうプラスの影響を与えたか、あるいはなぜ再びその強みを活かしたいと思ったかの動機を書きます。
- 貢献(未来):二つの経験を統合し、応募先企業でどう貢献するかを述べます。
ケース別:前々職を活かした自己PRの例文
ケース1:異職種を経て元の職種に戻る場合(営業→事務→営業)
一度現場を離れたからこそ見える視点や、事務処理能力が加わったことを強みとしてアピールします。
私は、前々職のメーカー営業で培った「泥臭い提案力」と、前職の事務職で身につけた「正確な計数管理能力」を掛け合わせた営業活動に自信があります。前々職では5年間、足を使った新規開拓に従事し、エリアトップの売上を達成しました。その後、バックオフィスの視点を養うために事務職を経験しましたが、そこで営業担当者の数字管理の甘さや事務負担の重さを痛感しました。この経験から、事務方に負担をかけない正確な書類作成と、採算性を意識した提案ができる営業マンとして成長しました。貴社においては、前々職の行動力に効率性を加え、組織全体の生産性を高める営業活動で貢献したいと考えています。
ケース2:前職が短期離職で、前々職の実績を強調したい場合
直近が短くても、その前の長期キャリアで培った基礎能力が高いことを証明し、安心感を与えます。
私の強みは、前々職の販売業で5年間にわたり磨き上げた「顧客との信頼関係構築力」です。前職では事務職に挑戦いたしましたが、やはり顧客と直接対話し、その反応をダイレクトに感じられる仕事にこそ私の情熱と適性があると再認識いたしました。前々職では、一度接客したお客様の顔と好みをノートに記録し、再来店時にパーソナルな提案を行うことで、指名客数を店舗内で1位にまで伸ばした実績があります。直近の経験は短いものでしたが、新しいPCスキルの習得など事務処理の基礎は身につけました。貴社の販売部門においては、持ち前の対人スキルと新たに得た効率性を活かし、即戦力として長く貢献したいと強く願っております。
ケース3:全く異なる二つの職歴を掛け合わせる場合(エンジニア→接客→テクニカルサポート)
一見関係ない職歴も、応募職種に合わせて編集することで唯一無二の強みになります。
私は、前々職での「システム開発の知見」と、前職での「ホスピタリティ溢れる接客スキル」を融合させ、顧客満足度の高いテクニカルサポートを提供できることが強みです。エンジニア時代はシステムの裏側やロジックを深く理解しておりましたが、お客様への説明スキルに課題を感じ、接客業へ転身して対人スキルを磨きました。そこでは専門用語を使わずに相手に伝える翻訳能力を習得しました。貴社のテクニカルサポート業務においては、システム構造を理解した的確なトラブルシューティングと、お客様の不安に寄り添う丁寧な対応を両立させ、顧客ロイヤリティの向上に貢献いたします。
まとめ
職務経歴書の自己PRにおいて、前々職のエピソードを使うことは決して不利ではありません。重要なのは「なぜ今、その経験をアピールするのか」という意図が明確であることです。過去の経験を単なる思い出話にするのではなく、現在のあなたを形成する重要な土台として語り、直近の経験とリンクさせることで、採用担当者に「経験豊富な即戦力」として印象づけることができます。自信を持ってこれまでの全てのキャリアを武器に変えてください。





