職務経歴書の自己PRを使い回して効率よく書類選考を突破するための賢い作成テクニック

複数の企業に応募する転職活動において毎回ゼロから職務経歴書の自己PRを作成するのは非常に骨の折れる作業です。多くの求職者が自己PRを使い回しても良いものか悩みます。結論から申し上げますと自己PRの核となる強みやエピソードは使い回しても問題ありません。しかし一言一句同じ文章をすべての企業に送ることはリスクが高く書類選考の通過率を下げる原因となります。採用担当者はその自己PRが自社に向けて書かれたものかあるいは汎用的に作られたものかを敏感に感じ取るからです。ここでは効率的に転職活動を進めるために自己PRのどの部分を固定しどの部分を企業ごとにカスタマイズすべきかという実践的なテクニックについて解説します。

自己PRの使い回しがバレる理由と汎用的な文章の落とし穴

採用担当者が応募書類を見た瞬間に使い回しだと判断する最大の理由は内容がどの会社にも当てはまる抽象的なものになっているからです。例えばコミュニケーション能力がありますや粘り強く努力できますといった表現だけで終わっている場合読み手は自社で活躍するイメージを持つことができません。企業ごとに求めている人物像や重視するスキルは異なります。スピード感を重視するベンチャー企業と正確性を重視する老舗企業に対して全く同じアピールをしてしまってはミスマッチと判断されるのは当然です。使い回しをすること自体が悪いのではなく応募先企業への配慮やリサーチが不足していると感じさせてしまうことが問題なのです。

自己PRをパーツに分解して効率化するモジュール型作成法

効率よく質の高い自己PRを作成するためには文章を三つのパーツに分解して考えることが有効です。一つ目は自分の強みを宣言する結論部分です。二つ目はその強みを裏付ける具体的なエピソードや実績部分です。そして三つ目はその強みを活かして応募先企業でどのように貢献したいかという抱負部分です。このうち一つ目の結論と二つ目のエピソードはあなたの過去の事実に基づいているため企業ごとに変える必要はなく使い回しが可能な共通パーツとなります。一方で三つ目の貢献部分こそが企業ごとにカスタマイズすべき可変パーツです。この構成を意識することでベースとなる文章を維持しつつ企業ごとに最適化された自己PRを短時間で作成することが可能になります。

応募企業のニーズに合わせて結びの言葉をカスタマイズする

自己PRの締めくくりである貢献部分は採用担当者へのラブレターの役割を果たします。ここで応募企業の事業内容や課題そして求めている人物像に触れながら自分の強みがどう役立つかを具体的に語ることで志望度の高さをアピールできます。例えば同じ営業力という強みであっても新規開拓を重視する企業に対してはフットワークの軽さと行動力を活かしてシェア拡大に貢献しますと伝えます。一方で既存顧客の深耕を重視する企業に対しては信頼関係構築力を活かして顧客単価の向上に貢献しますと書き換えます。このように結びの言葉を微調整するだけで同じ強みであっても相手企業に刺さるメッセージへと変化させることができます。

複数の強みを用意して企業ごとに使い分ける戦略

使い回しをより効果的に行うためにはベースとなる自己PRのパターンをいくつか用意しておくことをお勧めします。一人の人間が持つ強みは一つだけではありません。行動力や課題解決力そして協調性など異なる角度からのアピールポイントを予め文章化しておきます。そして応募する企業の求人票を分析しその企業がどのような人材を求めているかに合わせて最も相性の良い強みを選択して提出します。例えばリーダーシップを求めている企業にはマネジメント経験を中心とした自己PRを選びサポート役を求めている企業には調整力をアピールする自己PRを選ぶといった具合です。手持ちのカードを増やしておくことでどのような企業にも柔軟に対応できるようになります。

使い回しをする際に絶対にやってはいけないミスと最終確認

自己PRを使い回す際に最も注意すべきなのは修正漏れによるミスです。前の応募先企業名が残っていたり特定の業界でしか通じない専門用語が含まれていたりすると志望度が低いと判断され即座に不採用となるリスクがあります。また志望動機の内容と自己PRの内容に矛盾が生じていないかも確認が必要です。志望動機では新しいことに挑戦したいと書いているのに自己PRでは保守的な業務経験ばかりを強調していては一貫性がありません。効率化のために使い回しをするからこそ提出前の確認作業には細心の注意を払い細部まで配慮が行き届いた書類に仕上げることが重要です。

まとめ

職務経歴書の自己PRは賢く使い回すことで転職活動の効率を上げつつ書類選考の通過率を高めることができます。自分の強みと実績という変わらない事実は固定し企業への貢献意欲という相手に合わせた部分は柔軟に変えるというハイブリッドな作成方法を取り入れてください。企業ごとにゼロから書く必要はありませんが企業ごとに想いを乗せる手間を惜しまないことが採用担当者の心を動かす秘訣です。ベースとなる質の高い自己PRを作成しそれを武器に自信を持って応募してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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