職務経歴書の自己PRと面接での回答は同じ内容にするべきか判断するための基準と話し方のコツ

転職活動が進み書類選考を通過していよいよ面接となると多くの応募者が直面する疑問があります。それは職務経歴書に書いた自己PRと面接で話す自己PRは同じ内容で良いのかそれとも変えるべきなのかという点です。せっかく書類選考を通過したのだから書いた内容をそのまま伝えれば良いと考える方もいれば同じことを言ってもつまらないと思われるのではないかと不安になる方もいます。結論から申し上げますとアピールする強みや軸となるテーマは同じにする必要がありますが伝え方や情報量は変えるのが正解です。ここでは書類と面接における自己PRの役割の違いを理解し採用担当者に好印象を与えるための適切な使い分けと話し方のテクニックについて解説します。

職務経歴書と面接でアピールする強みの軸は統一させる

まず大前提として職務経歴書に記載した自己PRの核となる強みと面接で話す強みは一致していなければなりません。なぜなら採用担当者は職務経歴書に書かれたあなたの強みや経験に魅力を感じて書類選考を通過させているからです。例えば書類では粘り強い営業力をアピールしていたのに面接では協調性とサポート力を中心に話してしまうと面接官は応募者の人物像がつかめなくなり一貫性がないというマイナスの評価を下す可能性があります。書類選考はあくまで面接への切符を手に入れるためのプロセスであり面接はその内容が真実であるかを確かめる場でもあります。したがってアピールする軸をぶらさずに書類の内容をベースとして話すことが信頼獲得への第一歩となります。

書類は要約であり面接は詳細を伝える場であるという違い

アピールする軸は同じであっても職務経歴書の内容を一字一句そのまま暗記して話すことは避けるべきです。職務経歴書などの応募書類は採用担当者が短時間で要点を把握できるように情報を凝縮し簡潔にまとめた要約のようなものです。一方で面接は対面でのコミュニケーションを通じてあなたの熱意や人柄そして思考プロセスを深く知るための場です。書類に書かれている文章をそのまま読み上げるような回答では面接官は新たな情報を得ることができず物足りなさを感じてしまいます。書類はあくまで予告編であり面接こそが本編であるという意識を持ち書類には書ききれなかった背景や感情を加えて話を膨らませることが重要です。

具体的なエピソードや感情を加えて話を深掘りするテクニック

面接で同じテーマの自己PRを話す際にはエピソードの解像度を上げることがポイントです。職務経歴書では文字数の制限があり事実と結果を中心に記載することが多いですが面接ではその結果に至るまでのプロセスに焦点を当てて話します。具体的にはその時どのような課題がありなぜその行動をとったのか苦労した点はどこでそれをどう乗り越えたのかといった当時の思考や感情を言葉にします。例えば書類に業務改善により残業を削減したと書いたのであれば面接では周囲の反対をどのように説得したかや導入時の苦労話などを交えて話すことであなたの人柄や仕事への向き合い方がより鮮明に伝わります。また身振り手振りを交えたり声のトーンに抑揚をつけたりすることで文章だけでは伝わらない熱意をアピールすることも可能です。

面接官の反応を見ながら話す長さを調整する柔軟性

職務経歴書は一方的に情報を提示するものですが面接は双方向のコミュニケーションです。そのため自己PRを話す際には面接官の反応を見ながら内容や長さを調整する柔軟性が求められます。自己PRをお願いしますと言われた場合は1分から2分程度で簡潔にまとめるのが基本ですが面接官が興味を持って聞いている様子であればエピソードを詳しく話したり逆にあまり時間がなさそうであれば結論を急いだりとその場の空気を読むことが大切です。また職務経歴書に書いてあることですがと前置きをした上で補足説明をするスタンスで話すと丁寧な印象を与えつつ書類の内容を再確認させることができます。丸暗記した台本を再生するのではなく相手との会話を楽しむつもりで自分の言葉で語りかけるように心がけてください。

複数の強みがある場合の優先順位と使い分け

もし職務経歴書に複数の自己PRを記載している場合は面接の時間や流れに合わせて話す内容を取捨選択することも有効な戦略です。基本的には最も自信があり応募企業の業務に直結する強みをメインに話しますが面接官からの質問内容によってはサブの強みを引き合いに出してアピールすることもできます。例えばチームワークに関する質問が出た場合は書類の2つ目に書いた協調性のエピソードを詳しく話すといった具合です。ただしあれもこれもと欲張って話すと結局何が一番の強みなのかが伝わらなくなってしまいます。あくまで書類に書いた軸足は崩さず状況に応じて引き出しを開け閉めするイメージを持つとうまくいきます。

まとめ

職務経歴書の自己PRと面接での回答は全く別物にする必要はなくむしろ軸を統一することで説得力が増します。重要なのは書類をなぞるだけのリピートにならず書類の内容を補完し立体的に自分を見せることです。書類は論理的に要点を伝えるためのツールであり面接は感情と詳細を伝えて共感を得るための場です。この役割の違いを理解し職務経歴書に書かれた内容にあなた自身の生の声と熱意を吹き込むことで採用担当者に一緒に働きたいと思わせる魅力的な自己PRを完成させてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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