大学事務の職務経歴書で採用を勝ち取る自己PRの書き方と部門別例文集

大学職員（大学事務）は安定した雇用環境や教育研究に貢献できる社会的な意義から転職市場において圧倒的な人気を誇る職種です。しかし募集人数に対して応募者が殺到するため倍率は数十倍から数百倍になることも珍しくありません。このような狭き門を突破するためには職務経歴書の自己PRにおいて単なる事務処理能力だけでなく大学という特殊な組織に適応できる調整力や誠実さをアピールする必要があります。採用担当者は応募者が「教員と職員の役割分担を理解しているか」や「学生や保護者といった多様なステークホルダーと円滑に関われるか」を厳しく見ています。ここでは大学事務への転職を目指す方が書類選考を通過するために知っておくべき自己PRの書き方のポイントと経験や配置想定部署に合わせた具体的な例文を紹介します。

大学事務の採用担当者が自己PRで重視する4つの実務能力

大学事務の採用選考において人事担当者が応募者に求めている資質は大きく分けて四つあります。一つ目は正確性とスピードです。学籍管理や成績処理そして経理業務などミスが許されない膨大なルーチンワークを効率よくこなす能力が求められます。二つ目は多様な関係者との調整力です。大学には教員・学生・保護者・卒業生・地域住民など立場や年齢が異なる多くの人々が関わっており相手に合わせた柔軟な対応力が不可欠です。三つ目はPCスキルと情報リテラシーです。履修登録システムや学内ポータルの運用などDX化が進む教育現場に対応できるITスキルが評価されます。四つ目は企画・提案力です。少子化による学生獲得競争が激化する中でオープンキャンパスの企画や学生支援策などを提案できる人材のニーズが高まっています。

一般企業での経験を大学職員のスキルに変換する書き方

自己PRを作成する際は前職での経験を大学現場で求められるスキルに変換して伝えることが大切です。営業職の経験であれば顧客との折衝能力は「入試広報での高校訪問や企業とのキャリア支援連携」に活かせますし数値目標を達成した実績は「学生募集活動への貢献」としてアピールできます。一般事務の経験であれば正確なデータ管理能力は「教務課での履修登録や証明書発行業務」での即戦力性として説得力を持ちます。また接客業の経験であればクレーム対応やホスピタリティは「学生課や窓口対応における安心感の提供」として強力な武器になります。

【一般事務・営業事務から】正確性と教員支援をアピールする例文

教務課や研究支援課などを想定し膨大なデータを正確に処理する能力や教員が研究・教育に専念できる環境を整えるサポート力をアピールします。

私は膨大なデータをミスなく処理する事務遂行能力と教員や周囲のスタッフと円滑に連携する調整力を持っています。前職のメーカー営業事務では30名の営業担当者をサポートしながら月間500件以上の受発注データを処理してまいりました。繁忙期には複数のタスクが重なりましたが優先順位を明確にし独自のチェックリストを活用することで3年間事務ミスゼロを継続しました。また多忙な営業担当者がコア業務に集中できるよう資料作成やスケジュール調整を先回りして行うことを心がけました。大学事務においても履修登録や成績管理など正確性が求められる業務が多いと認識しています。持ち前の正確性とサポート力を活かし先生方が教育研究活動に専念できるよう縁の下の力持ちとして貢献したいと考えています。

【営業・販売職から】調整力と学生・保護者対応をアピールする例文

入試広報課や就職支援課（キャリアセンター）などを想定し対人折衝力や企画力そして学生の相談に乗る傾聴力をアピールします。

私は相手のニーズを汲み取る傾聴力と目標達成に向けた企画・提案力を持っています。前職の人材サービス営業においては求職者一人ひとりのキャリアプランに寄り添い最適な企業を提案することで年間100名の就職支援に成功しました。また学生向けの合同説明会の企画運営にも携わりSNSを活用した広報活動で来場者数を前年比120パーセントに伸ばした実績があります。大学においても学生募集やキャリア支援は経営を支える重要な業務であると理解しています。私の強みである対人スキルと企画力を活かし貴学の魅力発信と学生の満足度向上に貢献したいと考えています。

【契約・派遣職員から】即戦力性と業務改善をアピールする例文

すでに大学や教育機関での勤務経験がある場合は即戦力であることを前提に正職員としてどのような付加価値（業務改善など）を提供できるかをアピールします。

私は大学事務としての実務経験に基づいた即戦力性と業務フローを見直し効率化を図る改善力に自信があります。現職では私立大学の教務課にて3年間窓口対応や証明書発行業務に従事してまいりました。業務においては学生への丁寧な対応を心がけるとともに紙ベースで申請されていた手続の電子化を提案しマニュアル作成を主導しました。その結果窓口の待ち時間を平均10分短縮し学生サービスの向上と職員の業務負担軽減を実現しました。契約職員という立場ではありましたが「より良い大学運営のために何ができるか」を常に考え行動してきました。貴学においてはこれまでの経験を活かしつつ正職員として長期的視点に立った組織運営や改革にも携わりたいと考えています。

自己PRを書く際の注意点と「安定志向」の払拭

大学事務の自己PRを書く際によくある失敗として「大学職員は安定していそうだから」「ノルマがなさそうだから」といった消極的な志望動機が透けて見えてしまうことが挙げられます。大学経営は少子化の影響を受け変革期にあり「安定」にあぐらをかく人材は敬遠されます。「教育環境を支えたい」「学生の成長に貢献したい」という貢献の視点を強調することが重要です。またアカデミックな場にふさわしい品位も求められるため誤字脱字や言葉遣いには細心の注意を払い誠実で丁寧な人物であることを書類全体から伝えてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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