広報職の転職を成功させる職務経歴書の書き方と実践的サンプル

企業の顔として情報を発信しブランドイメージを構築する広報職は非常に人気が高い職種ですが採用枠は少なく狭き門となることが一般的です。そのため書類選考を突破するには単に業務内容を羅列するだけでなく広報としての企画力やメディアとの関係構築力そして具体的な数値成果を戦略的にアピールする必要があります。採用担当者は応募者が自社の広報活動をどのように発展させてくれるかまた危機管理などの守りの広報にも対応できるかを見極めようとしています。本記事では広報職への転職を目指す方に向け採用担当者の視点を踏まえた職務経歴書の書き方と具体的な記述サンプルについて解説します。

広報の採用担当者が職務経歴書で重視する実績の数値化

広報の仕事は成果が見えにくいと思われがちですが職務経歴書においては可能な限り定量的な数値を用いて実績を証明することが重要です。採用担当者は感覚的なアピールよりも客観的なデータを信頼します。例えばプレスリリースの配信数やメディア掲載数および広告換算額といった指標を用います。また自社サイトへの流入数増加やＳＮＳのフォロワー増加数エンゲージメント率なども有効なアピール材料となります。これらの数字を示すことで広報活動が事業貢献にどのように繋がったかを論理的に説明できる能力があることを伝えます。数字で表せない定性的な成果についてはメディアリレーションの構築数や社内広報による従業員満足度の向上などを具体的なエピソードと共に記述します。

職務要約で伝えるべき広報スキルと守備範囲

職務経歴書の冒頭に位置する職務要約はあなたの広報キャリアのダイジェスト版であり多忙な採用担当者に興味を持ってもらうための重要なセクションです。ここでは広報としての経験年数と担当していた領域の広さを簡潔な文章でまとめます。例えばＩＴベンチャー企業にて5年間広報業務に従事しプレスリリース作成からメディアキャラバンなどの社外広報だけでなく社内報の作成やイベント運営などの社内広報まで幅広く担当しましたと記述します。これに加えて危機管理広報の経験やＩＰＯ準備期間におけるＩＲ広報の経験があれば記述し経営に近いポジションで重要な役割を担っていたことをアピールします。守備範囲の広さと深さを伝えることで即戦力としての期待感を高めます。

社外広報およびメディア担当者の職務経歴書サンプル

プレスリリース配信やメディア対応を主に行う社外広報の場合メディアリレーションの強さと掲載獲得力が評価の軸となります。業務内容の詳細記述においては担当業務として月平均2本のプレスリリース作成と配信を行い主要経済紙やＷｅｂメディアへの掲載獲得に向けたメディアキャラバンを実施しましたと記述します。実績については具体的な数字を用いて説得力を高めます。記述例としては新サービスのローンチに合わせて戦略的なＰＲ活動を展開しテレビ東京の経済番組を含む15媒体での掲載を獲得しましたその結果広告換算額で約3000万円の成果を上げサイトへのアクセス数を昨対比200パーセントに増加させましたと書きます。また記者との個人的なネットワークを持っていることや取材対応における円滑な調整能力についても触れると良いでしょう。

社内広報およびSNS運用担当者の職務経歴書サンプル

組織の活性化を目的とする社内広報や企業のファン作りを担うＳＮＳ運用担当者の場合はエンゲージメントを高めるための企画力と運用スキルを強調します。社内広報の記述例としては経営理念の浸透を目的としたＷｅｂ社内報の編集長を務め企画立案から取材執筆までを一貫して担当しましたと役割を定義します。その上で社員インタビュー企画を連載し社内報のＰＶ数を月間5000ＰＶから1万ＰＶへ倍増させましたといった成果を記述します。ＳＮＳ運用の記述例としては公式ＸおよびＩｎｓｔａｇｒａｍの運用を担当しユーザー参加型のハッシュタグキャンペーンを企画しましたと施策を書きます。成果としてフォロワー数を1年間で1万人増加させエンゲージメント率を平均3パーセントから5パーセントへ改善しましたと具体的な指標で成功体験を伝えます。

未経験から広報へ転職する場合のアピール戦略

営業職やマーケティング職など異業種から未経験で広報を目指す場合は前職で培ったポータブルスキルを広報業務に変換して伝えることが重要です。営業職であれば顧客との信頼関係構築能力や自社商材の魅力を伝えるプレゼンテーション能力がメディアリレーションや取材対応に活かせるとアピールします。マーケティング職であれば市場分析に基づいた企画立案能力やＳＮＳ運用での数値分析能力が広報戦略の策定に役立つと伝えます。事務職であっても正確な文書作成能力や社内外の関係者との調整能力は広報の実務において必須のスキルです。職務経歴書では未経験であることを言い訳にせずこれまでの経験が広報活動のどの部分で貢献できるかを論理的に説明し熱意と適性を示すことが大切です。

文章力と企画力を証明する自己PRの書き方

広報職にとって書く力は最も基本的かつ重要なスキルです。そのため職務経歴書や自己ＰＲの文章そのものがライティング能力の証明となります。自己ＰＲでは単に文章力がありますと書くのではなくターゲットに合わせたメッセージの切り口を考案し複雑な情報を分かりやすく言語化することが得意ですといった具体的な表現を用います。また企画力についても記述します。ゼロから新しいＰＲ企画を立ち上げた経験や予算を使わずにアイデアでメディア露出を獲得した経験などをエピソードとして紹介します。さらに広報は社内の情報を吸い上げるために多くの社員と関わる必要があるため周囲を巻き込むコミュニケーション能力やフットワークの軽さもアピールポイントとなります。

書類選考通過に向けたレイアウトと最終チェック

職務経歴書が完成したら提出前にプロの広報担当者としての視点で厳しく推敲を行います。広報は企業の公式文書を作成する立場であるため誤字脱字やてにをはの間違いは致命的なミスとなり実務能力を疑われる原因となります。一字一句を入念にチェックし正しい日本語が使われているかを確認します。またレイアウトについては見出しを活用して情報を整理し読み手が知りたい情報にすぐにたどり着けるように工夫します。広報の仕事は見せ方が重要であるため余白のバランスやフォントの統一感など視覚的な美しさにも配慮します。洗練された職務経歴書を作成することはあなたが高い広報スキルを持っていることの何よりの証明となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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