インフラエンジニアの転職を成功させる職務経歴書の書き方と工程別サンプル

企業のＩＴ基盤を支えるインフラエンジニアはデジタルトランスフォーメーションの加速とともに需要が急増していますが希望する条件の良い企業やモダンな技術環境を持つプロジェクトに参加するためには書類選考の段階で自身の技術力と実績を的確に伝える必要があります。採用担当者は応募者がオンプレミス環境とクラウド環境のどちらに精通しているかや設計構築から運用保守までのどの工程を担当できる即戦力であるかを見極めようとしています。そのため職務経歴書には扱えるＯＳやミドルウェアの種類だけでなくサーバーの台数やネットワークの規模感そして障害対応における具体的な解決プロセスを論理的に記述することが求められます。本記事ではインフラエンジニアが書類選考を通過するために押さえておくべき職務経歴書の作成ポイントと専門分野別の具体的な記述サンプルについて解説します。

採用担当者が重視するインフラ環境と担当工程の明確化

インフラエンジニアの採用において企業側が最も知りたい情報は経験してきたインフラ環境の具体性と担当していた工程の深さです。サーバーエンジニアであればＬｉｎｕｘなのかＷｉｎｄｏｗｓＳｅｒｖｅｒなのかネットワークエンジニアであればＣｉｓｃｏ製品メインなのかといった技術スタックの違いは配属先を決定する上で重要な要素となります。また要件定義や基本設計といった上流工程から携わっていたのかあるいは詳細設計に基づいた構築作業や稼働後の運用監視がメインだったのかによって評価は大きく異なります。職務経歴書を作成する際はプロジェクトごとにシステム環境構成図をイメージさせるような詳細な技術要素を記述し自身が手を動かした範囲を明確にすることが不可欠です。

職務要約で伝えるべき技術領域とプロジェクト規模

職務経歴書の冒頭に位置する職務要約は多忙な採用担当者にあなたのエンジニアとしての立ち位置を短時間で伝えるための重要なセクションです。ここでは経験年数とともに得意とする技術領域や経験した最大のプロジェクト規模を簡潔な文章でまとめます。例えば独立系ＳＩｅｒにて５年間インフラエンジニアとして従事し主に金融機関向けのオンプレミス環境におけるＬｉｎｕｘサーバーの設計構築を担当しましたと記述します。これに加えてクラウド経験の有無やマネジメント経験についても触れます。記述例としてはＡＷＳへの移行プロジェクトにおいて５名のチームリーダーとして進捗管理を行い物理サーバー１００台のクラウド移行を納期通りに完遂しましたと具体的な規模感と成果を要約して伝えることで即戦力としての期待感を高めます。

サーバーエンジニアの職務経歴書記述サンプル

サーバーの設計構築や運用を担当していた場合はＯＳやミドルウェアの知識と仮想化技術への対応力をアピールします。職務経歴書のプロジェクト詳細においては使用したＯＳのバージョンや仮想化ソフトの種類を明記します。記述例としてはＷｉｎｄｏｗｓＳｅｒｖｅｒ２０１９およびＲｅｄＨａｔＥｎｔｅｒｐｒｉｓｅＬｉｎｕｘ８を使用した仮想サーバー基盤の構築においてＶＭｗａｒｅｖＳｐｈｅｒｅを用いた設計と構築を担当しましたと技術環境を説明します。実績については安定稼働への貢献や自動化による効率化を記述します。例えばＡｎｓｉｂｌｅを使用して設定作業を自動化し構築工数を３０パーセント削減しましたや冗長化構成の導入によりサーバー稼働率９９点９９パーセントを維持しましたといった具体的な成果を盛り込みます。

ネットワークエンジニアの職務経歴書記述サンプル

ネットワークの設計構築や運用を担当していた場合は取り扱った機器のベンダー名とネットワークの規模感を強調します。記述例としては全国５０拠点を結ぶ大規模ＷＡＮネットワークの刷新プロジェクトにおいてＣｉｓｃｏ製のルーターおよびＬ２Ｌ３スイッチの設計構築を担当しましたと役割を定義します。ファイアウォールやロードバランサーなどの周辺機器の設定経験があればそれらも記述しセキュリティや負荷分散に関する知識があることを示します。トラブルシューティングの経験も重要です。記述例としてはネットワーク遅延の原因調査においてパケットキャプチャを用いてボトルネックを特定し帯域制御設定を見直すことで通信品質を改善しましたといったエピソードは実務能力の証明となります。

クラウドエンジニアおよびSREの職務経歴書記述サンプル

ＡＷＳやＡｚｕｒｅおよびＧＣＰなどのパブリッククラウドを利用したインフラ構築経験がある場合はクラウドネイティブなサービス活用とＩａＣによるコード管理の経験をアピールします。記述例としてはＡＷＳ環境においてＥＣ２やＲＤＳを用いた構成だけでなくＥＣＳやＦａｒｇａｔｅを活用したコンテナ環境の設計構築を行いましたと技術のモダンさを伝えます。またＴｅｒｒａｆｏｒｍやＣｌｏｕｄＦｏｒｍａｔｉｏｎを用いたインフラのコード化経験やＣＩＣＤパイプラインの構築経験があれば記述し運用負荷の軽減やデプロイの高速化に貢献できることを示します。ＳＲＥとしての経験がある場合はトイルの削減実績や可観測性の向上に向けた取り組みについても具体的に記述します。

運用保守から設計構築へキャリアアップするための書き方

運用保守の経験を活かして設計構築などの上流工程へキャリアアップを目指す場合は運用現場で培った障害対応能力や改善提案の経験をアピールします。設計構築の経験がなくても運用マニュアルの不備を修正したり障害発生時の一次切り分けフローを改善したりした経験はエンジニアとしての成長意欲を示す材料となります。記述例としては定型的な監視業務だけでなくアラート発生傾向を分析して閾値のチューニングを提案し誤検知を２０パーセント削減しましたと書きます。また独学で資格を取得していることや検証環境を構築して設計の学習をしていることを自己ＰＲに盛り込み設計業務への適性があることを熱意を持って伝えます。

資格とテクニカルスキルを効果的にアピールする方法

インフラエンジニアにおいて資格はスキルレベルを客観的に証明する強力な武器となります。ＩＰＡの情報処理技術者試験だけでなくベンダー資格であるＣＣＮＡやＬＰＩＣおよびＡＷＳ認定資格などを正式名称で取得年月とともに記述します。またテクニカルスキルの項目ではＯＳやＤＢネットワーク機器プログラミング言語ツール類などのカテゴリごとに経験年数とスキルレベルを記述します。シェルスクリプトやＰｙｔｈｏｎによる業務効率化ツールの作成経験があればプログラミングスキルとして記述しインフラ構築だけでなく運用自動化にも対応できる幅広さをアピールします。

書類選考通過に向けたレイアウトと最終チェック

職務経歴書が完成したら提出前に必ず全体の見直しを行います。インフラエンジニアはシステムの正確な設定が求められる職種であるため誤字脱字や技術用語のスペルミスは致命的なマイナス評価につながります。特に製品名やサービス名の表記が正しいかバージョン情報に誤りがないかを入念にチェックします。レイアウトについては見出しを活用して情報を整理しプロジェクトごとの環境と役割が一目で分かるように工夫します。システム構成図のような情報をテキストで分かりやすく表現する能力はドキュメント作成能力の高さとして評価されます。Ａ４サイズ２枚から３枚程度に情報を凝縮しあなたの技術力とプロジェクトへの貢献度が伝わる職務経歴書を作成することで採用担当者に好印象を与え書類選考の通過率を高めてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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