転職回数が多い人は「キャリア式」で勝負。職務経歴書の選び方とネガティブを払拭する書き方
転職回数が多いと、職務経歴書を作成する際に「経歴欄が長くなりすぎて読みづらい」「飽きっぽい性格だと思われないか」といった不安を感じるものです。しかし、転職回数の多さは、見せ方次第で「豊富な経験」や「適応能力の高さ」という武器に変えることができます。そのための最大の鍵となるのが「フォーマット(書式)」の選び方です。
一般的な時系列のフォーマットを使うと、どうしても転職の回数ばかりが目立ってしまいます。ここでは、転職回数が多い人が書類選考を通過するために選ぶべき最適なフォーマットと、マイナス印象をプラスに転換する書き方のテクニックについて解説します。
転職回数が多い人に最適なのは「キャリア式」フォーマット
職務経歴書のフォーマットには大きく分けて「編年体式(時系列)」と「キャリア式(職能別)」の2種類があります。転職回数が多い方に強くおすすめするのは**「キャリア式」**のフォーマットです。
キャリア式(職能別)とは
「いつ、どの会社にいたか」という時系列ではなく、「どのような業務(職務分野)を経験したか」というカテゴリーごとに経歴をまとめる形式です。
なぜキャリア式が有効なのか
- スキルを強調できる「営業経験」「企画経験」「マネジメント経験」のように項目を立てて記載するため、在籍していた会社の数や期間よりも、保有しているスキルの深さに採用担当者の目を向けさせることができます。
- 一貫性を演出できる複数の会社を渡り歩いていても、「営業職」という軸でまとめて書くことで、キャリアに一貫性があることをアピールできます。
- 短期間の離職を目立たなくする在籍期間が短い会社があっても、業務内容のブロックの中に統合されるため、視覚的に「またすぐに辞めた」という印象を薄める効果があります。
キャリア式フォーマットの具体的な構成案
キャリア式で作成する場合、以下の流れで構成すると読みやすく、説得力のある書類になります。
1. 職務要約(重要)
冒頭でキャリアの全体像を伝えます。「合計〇社で経験を積んできましたが、一貫して〇〇業界の営業職に従事し、多様な商材を扱えることが強みです」といったように、回数の多さを「幅広さ」としてポジティブに要約します。
2. 職務経歴(スキル別ブロック)
ここがメインパートです。会社ごとではなく、業務内容ごとに見出しを作ります。
- 【法人営業経験】A社、B社、C社で培った法人営業の経験をまとめて記載。具体的な実績(売上、達成率)や工夫した点を記述します。
- 【マネジメント経験】D社でのリーダー経験や、E社での新人教育担当としての実績をまとめて記載します。
3. 略歴表(時系列リスト)
キャリア式の場合、「いつどこにいたのか」が分かりにくくなる欠点があります。それを補うために、社名、在籍期間、雇用形態だけを記したシンプルな「略歴リスト」を設けます。これにより、経歴詐称を疑われることなく、情報の透明性を担保できます。
「逆編年体式」を使う場合の工夫
どうしても指定がある場合や、直近の経歴を強くアピールしたい場合は、時系列の「逆編年体式」を使うことになります。その際、転職回数を目立たせないための工夫が必要です。
社名の見出しを小さくする
社名を大見出しにするのではなく、「業務内容」を見出しにして、社名はカッコ書きやサブ情報として記載します。視線が「会社が変わったこと」よりも「仕事の中身」に行くようにレイアウトを調整します。
在籍期間が短い会社は簡潔に
全ての会社を同じ分量で書く必要はありません。試用期間で退職した会社や、アピールポイントが少ない会社は、数行で事実のみを記載し、メインとなる経験をした会社の記述を厚くします。このメリハリをつけることで、A4用紙2枚程度に収まるように調整してください。
ネガティブを払拭する「退職理由」と「自己PR」
転職回数が多いことへの最大の懸念は「定着性」です。これを払拭するために、自己PR欄や備考欄を活用します。
ポジティブな一貫性を主張する
「飽きて辞めた」のではなく、「より専門的なスキルを身につけるため」「会社のフェーズに合わせて自分の役割を変えてきたため」といった、目的意識のある転職であったことを伝えます。「環境適応能力が高く、新しい職場でも即戦力として馴染むことができる」という点は、転職回数が多い人ならではの強力な自己PRになります。
「最後の転職にしたい」という意思表示
採用担当者を安心させるキラーフレーズとして、「これまでの経験を総動員し、貴社で腰を据えて長く貢献したいと考えています」という意思を明確に記載します。
転職回数の多さは、見方を変えれば「多くの環境を知っている」という財産です。キャリア式のフォーマットを使いこなし、回数(点)ではなく、経験(面)で勝負することで、書類選考の突破率は確実に上がります。





