診療放射線技師の職務経歴書は「モダリティ×メーカー」で決まる。採用されるフォーマットと書き方の鉄則
診療放射線技師の転職活動において、職務経歴書はあなたの「技術者としてのスペック表」です。
一般的な事務職や営業職とは異なり、放射線技師の採用担当者(技師長や現場責任者)が見ているポイントは極めて明確です。「どの検査(モダリティ)ができるか」「どのメーカーの装置を使えるか」「どれくらいの件数をこなしてきたか」。この3点が瞬時に伝わらないフォーマットでは、どれほど熱意があっても書類選考を通過するのは難しくなります。
ここでは、診療放射線技師の実力を正しく伝え、希望する病院やクリニックへの採用を勝ち取るための最適なフォーマット選びと、必須項目の書き方について解説します。
放射線技師に最適なのは「逆編年体式 + 機器一覧表」
診療放射線技師の職務経歴書では、直近の勤務先から順に記載する**「逆編年体式」**のフォーマットを使用するのが基本です。医療技術は日々進歩しており、直近でどのような検査に携わっていたかが即戦力性の判断基準になるからです。
しかし、単に病院名と在籍期間を書くだけでは不十分です。このフォーマットの中に、必ず**「経験業務(モダリティ)一覧表」**を組み込む必要があります。
文章でダラダラと説明するのではなく、表形式で「検査種別」「使用装置(メーカー・型番)」「経験年数」「撮影件数」を整理して見せるスタイルが、最も採用担当者に好まれます。
作成はWord(ワード)で行うのが一般的です。電子カルテやPACS(医用画像管理システム)、RIS(放射線科情報システム)の操作スキルも評価対象となるため、PCで整った書類を作成すること自体が実務能力の証明になります。
採用担当者が必ずチェックする4つの技術要件
採用担当者は、現場の欠員補充や体制強化のために、具体的なスキルを持った人材を探しています。以下の4つの情報を具体的に記載し、ミスマッチがないことを証明してください。
1. 経験したモダリティの種類
一般撮影(X線)、CT、MRI、血管造影(アンギオ)、乳房撮影(マンモグラフィ)、透視(TV)、骨密度、RI(核医学)、放射線治療など、経験のある検査を網羅します。
特にCTやMRIなどの高度医療機器については、「頭部」「胸腹部」「心臓」「整形領域」など、撮影可能な部位や造影検査の経験有無まで詳細に書くと評価が上がります。
2. 使用装置のメーカーと型番
同じCTでも、GE、Siemens、Canon(旧東芝)、Philipsなど、メーカーによってインターフェースや操作感は異なります。
「Canon製 80列CT(Aquilion Prime)」のように、メーカー名と列数(スペック)、可能であれば型番まで記載します。応募先の装置と同じメーカーの使用経験があれば、教育コストがかからない即戦力として非常に有利になります。
3. 撮影件数とスピード
施設の規模感を伝えるために、1日あたり、または月あたりの撮影件数を数字で示します。
- 「一般撮影:1日平均80件」
- 「MRI:1日平均15件(当直帯含む)」これにより、繁忙期における処理能力や、当直対応の可否を判断する材料を提供します。
4. 関連システムの使用経験
PACSやRISのメーカー名も記載します。また、3Dワークステーション(AZE、ZIOSTATIONなど)を使用した画像処理(VR、MPR作成など)のスキルがあれば、医師への読影支援能力として強力なアピールになります。
プラスアルファの評価を得る「認定資格」と「専門性」
診療放射線技師免許以外に、学会や職能団体が認定する資格を持っている場合は、必ず正式名称で記載してください。
- X線CT認定技師
- 磁気共鳴(MR)専門技術者
- 検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
- 血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師
- 第1種・第2種放射線取扱主任者
また、認定資格がなくても「救急救命センターでの外傷撮影経験」や「整形外科クリニックでのポジショニング指導経験」、「特定行為研修の修了」などは、現場ニーズの高いアピールポイントです。
未経験やブランクがある場合の書き方
新卒や未経験、あるいはブランクがある場合でも、書き方次第でポテンシャルを伝えることは可能です。
- 実習経験を詳細に(新卒・未経験)臨床実習で回ったモダリティや、バイザーから受けた指導内容、レポート作成で学んだ症例などを具体的に記述します。
- 基礎知識の確認(ブランクあり)「現在は復職に向けて最新のモダリティ情報の収集を行っている」「被ばく低減に関するガイドラインを再学習している」など、知識のアップデートを行っている姿勢を示します。
自己PRで伝えるべき「チーム医療」と「患者接遇」
フォーマットの最後にある自己PR欄では、機械操作以外の人間力を伝えます。
- 患者様への接遇・配慮「不安を抱える患者様に声掛けを行い、安心して検査を受けていただけるよう努めた」「苦痛の少ないポジショニングを工夫した」といったホスピタリティ。
- 医師・他職種との連携「医師に対して鮮明な画像を提供するために、撮影条件の提案を行った」「看護師と連携して安全な移乗介助を行った」といったチーム医療への貢献。
- 医療安全・機器管理「ヒヤリハット報告を積極的に行い、事故防止に努めた」「日常点検を徹底し、装置の不具合を未然に防いだ」といったリスク管理能力。
診療放射線技師の職務経歴書は、あなたの「技術」と「経験」を可視化するカタログです。
モダリティごとの詳細なスペックを整理されたフォーマットで提示し、採用担当者に「この人なら安心して検査を任せられる」と思わせる書類を作成してください。





