総務職の職務経歴書は「守備範囲の広さ」と「改善実績」で決まります。採用担当者が評価するフォーマットと書き方の鉄則
総務職は企業によって業務範囲が大きく異なるため、転職活動における職務経歴書の作成は非常に難易度が高いと言われています。単に「総務全般」と書くだけでは、何ができる人なのかが伝わらず、便利屋のような印象を与えてしまいかねません。採用担当者は応募者が「どの規模の組織で」「どのような業務を」「どれくらいの深さで」担当していたかを知りたがっています。ここでは総務職の実力を正しくアピールし、書類選考を通過するために最適なフォーマットの選び方と、評価される書き方のポイントについて解説します。
総務職に最適なのは「逆編年体式」のWordフォーマットです。
総務の業務は多岐にわたりますが、採用担当者が最も重視するのは直近の経験とスキルです。そのため、新しい経歴から過去に遡って記載する「逆編年体式」のフォーマットを選ぶことが基本となります。また、総務は社内文書の作成や規定の管理を行う部署であるため、文書作成能力そのものが評価対象となります。ExcelではなくWordを使用し、見出しやインデントを整えて読みやすくレイアウトされた書類を作成すること自体が、実務能力の証明になります。
採用担当者が必ずチェックする必須項目は3つあります。
1つ目は「企業の規模と業種」です。総務の仕事の難易度やボリュームは、従業員数に比例します。「従業員数50名」と「従業員数1,000名」では、備品管理の量も株主総会の規模も全く異なります。そのため、在籍企業の従業員数、拠点数、上場・非上場の区分は必ず記載し、自分が対応していた組織の規模感を客観的に伝えてください。
2つ目は「業務のカテゴライズ」です。総務の仕事を時系列で羅列すると、雑多な印象になりがちです。「ファシリティマネジメント(施設管理)」「法務・契約管理」「株主総会運営」「社内行事・福利厚生」「備品・消耗品管理」といった具合に、業務内容をカテゴリーごとに分類して記載します。これにより、あなたの得意分野や経験の幅が一目でわかるようになります。
3つ目は「定量的な改善実績」です。総務は売上などの数字が出にくい職種ですが、「コスト削減」と「業務効率化」は数字でアピールできます。「オフィスのレイアウト変更により賃料を月額10万円削減した」「消耗品の発注フローを見直し、在庫管理工数を20パーセント削減した」「ペーパーレス化を推進し、年間用紙代を30パーセントカットした」など、具体的な数字を伴う成果を盛り込むことで、経営視点を持った総務であることを証明できます。
PCスキルと使用ソフトの記載も重要です。
WordやExcel、PowerPointのスキルは必須ですが、総務職ではそれに加えて、特定の業務システムの利用経験が即戦力のアピールになります。契約書管理システムや備品管理クラウド、グループウェアなどの使用経験があれば、具体的なソフト名とともに記載してください。また、Excelであれば「VLOOKUP関数でのデータ管理」や「ピボットテーブルでの集計」など、具体的な操作レベルを書くことで、事務処理のスピード感を伝えることができます。
自己PRでは「調整力」と「能動的な姿勢」を伝えます。
フォーマットの最後にある自己PR欄では、スキル以外の強みを記述します。総務は他部署や経営層、外部業者など、多くの利害関係者との調整が必要なポジションです。「現場の意見を吸い上げつつ、会社の方針に合わせて着地点を見つける調整力」や、「言われたことをやるだけでなく、潜在的な課題を見つけて提案する能動的な姿勢」を具体的なエピソードと共に記載します。
未経験から総務を目指す場合のポイントについても触れておきます。
営業職や販売職から総務を目指す場合は、前職での「事務処理能力」と「コミュニケーション能力」を総務の業務に変換して伝えます。例えば「営業として顧客データを正確に管理した経験」は文書管理能力に、「顧客の要望を先回りして提案した経験」は社内顧客(従業員)へのホスピタリティに通じます。これらを「ポータブルスキル」として強調することで、未経験でも適性があることをアピールできます。
総務職の職務経歴書は、あなたの「事務処理能力」と「管理能力」をプレゼンテーションする企画書です。業務を整理し、数字で成果を示すことで、単なる裏方ではなく会社を支えるプロフェッショナルとしての信頼感を醸成してください。





