職歴が少ない人こそ「職務経歴書」で差がつく。スカスカに見せないフォーマット選びと書き方
社会人経験が浅い第二新卒の方や、一社での勤務期間が短い方にとって、職務経歴書の作成は大きな悩みです。「書くことがなくて空白が目立ってしまう」「実績と呼べるような成果がない」と不安になることが多いからです。しかし、職歴が少ないことは決してマイナスではありません。採用担当者は、若手人材に対して即戦力としての実績よりも「ポテンシャル(伸びしろ)」や「仕事への取り組み方」を求めているからです。ここでは、職歴が少ない方が選ぶべき最適なフォーマットと、空白を埋めるだけでなく「中身が濃い」と思わせる書き方のテクニックについて解説します。
職歴が少ない人に最適なのは「編年体式」一択
職歴が少ない場合、フォーマット選びで迷う必要はありません。**「編年体式(時系列)」**を選んでください。
編年体式とは、新卒入社時から現在までを時系列順に記載する最もオーソドックスな形式です。この形式が推奨される理由は、短い期間の中での「成長のプロセス」をストーリーとして伝えやすいからです。「入社時に何を学び、実務でどう躓き、それをどう乗り越えたか」という流れは、時系列でなければ表現できません。
一方で、業務内容ごとにまとめる「キャリア式」は避けるべきです。経験が浅い段階でこれを使うと、各項目の内容が薄くなり、かえって経験不足が強調されてしまうリスクがあります。
「A4用紙1枚」でも問題ないか
通常、職務経歴書はA4用紙2枚が目安とされていますが、職歴が極端に少ない場合(経験3年未満や1社のみの場合)は、無理に引き伸ばして2枚にする必要はありません。「A4用紙1枚」に情報を凝縮してまとめる方が好印象です。
内容が薄いのに余白だらけで2枚になっている書類は、「まとめる力がない」と判断されます。1枚にビッシリと熱意や工夫が書き込まれている方が、密度の高い書類として評価されます。もし2枚にする場合は、後述する「詳細化テクニック」を使って、十分な情報量を確保してください。
「スカスカ」に見せないための3つの詳細化テクニック
書く実績が少ないと感じる場合でも、視点を変えることで記載できる内容は大幅に増えます。採用担当者が見たいのは「大きな成果」だけではありません。「日々の業務をどうこなしているか」という詳細こそが評価対象です。
1. 「新人研修」や「習得業務」を詳しく書く
ベテランであれば省略するような研修内容も、若手にとっては立派な経歴です。
- どのような研修を受けたか(ビジネスマナー、電話応対、名刺交換、OJTなど)
- 習得した業務フロー(受発注処理、請求書作成など)これらの基礎スキルが身についていることを記載すれば、企業側は「教育コストがかからない人材」として評価します。
2. 「成果」ではなく「プロセス(工夫)」を書く
数値的な実績がなくても、仕事に取り組む姿勢は書けます。
- Before:営業事務として電話対応を担当。
- After:営業担当が外出中でも顧客を待たせないよう、ヒアリングシートを自作して一次対応を標準化。担当者への引き継ぎ時間を平均10分短縮しました。
このように「小さな工夫」や「心がけ」を具体的なエピソードとして膨らませることで、行数を稼ぐと同時に、仕事への熱意をアピールできます。
3. 自己PRと職務要約の比重を増やす
職務経歴(事実)が少ない分、定性的な情報である「職務要約」と「自己PR」のスペースを広く取ります。
職務要約では、単なる経歴だけでなく「どのような思いで仕事に取り組んできたか」というマインド面を記述します。自己PRでは、学生時代の経験やアルバイト経験まで遡って、自身の強み(継続力、コミュニケーション能力など)の根拠を補強しても構いません。
レイアウトで「読みやすさ」と「ボリューム感」を演出する
文章量だけでなく、レイアウトの工夫でも見た目の印象は変わります。
- 余白を少し広めに設定する標準的な余白(20ミリ程度)よりも少し広め(25ミリ程度)にとることで、上品で読みやすい印象になります。
- 行間を広げる文字が詰まっていると読みにくいため、行間を適度に(1.1倍から1.2倍程度)空けます。これにより、文章量が少なくても紙面が整って見えます。
- 見出しや罫線を活用する項目ごとに太字の見出しをつけたり、区切り線を入れたりすることで、視覚的な情報量を増やし、整理された印象を与えます。
職歴が少ない人がやってはいけないこと
「特になし」という記載
資格欄や備考欄に「特になし」と書くのは、意欲の低さとみなされます。資格がなくても「現在、〇〇資格の取得に向けて学習中(〇月受験予定)」と書く、あるいは趣味の欄で人柄を伝えるなど、全ての項目を埋める姿勢が必要です。
過度なアピール(背伸び)
経験が浅いにもかかわらず、「プロジェクトを統括した」「マネジメントを行った」といった大げさな表現を使うと、面接で深掘りされた際に答えられず、不信感を買います。等身大の言葉で、誠実に「学びと成長」を伝えることが、採用への一番の近道です。
職歴が少ないことは、裏を返せば「特定の企業の色に染まっていない」というメリットでもあります。編年体式のフォーマットを使い、基礎スキルとポテンシャルを丁寧に言語化することで、経験不足を補って余りある魅力的な職務経歴書を作成してください。





