職歴が多い人こそ「キャリア式」で勝負。転職回数を武器に変える職務経歴書のフォーマットと書き方
転職回数が多いと、職務経歴書を作成する際に「経歴欄が長くなりすぎて読みづらい」「飽きっぽい性格だと思われないか」といった不安を感じるものです。しかし職歴の多さは、見せ方次第で「豊富な経験」や「高い適応能力」という強力な武器に変えることができます。そのための最大の鍵となるのがフォーマットの選び方です。
一般的な時系列のフォーマットをそのまま使うと、どうしても転職の回数ばかりが目立ってしまいます。ここでは職歴が多い人が書類選考を通過するために選ぶべき最適なフォーマットと、マイナス印象をプラスに転換する書き方のテクニックについて解説します。
職歴が多い人に最適なのは「キャリア式」フォーマット
職務経歴書のフォーマットには大きく分けて「編年体式(時系列)」と「キャリア式(職能別)」の2種類があります。職歴が多い方に強くおすすめするのは**「キャリア式」**のフォーマットです。
キャリア式(職能別)とは
いつどの会社にいたかという時系列ではなく、どのような業務や職務分野を経験したかというカテゴリーごとに経歴をまとめる形式です。
なぜキャリア式が有効なのか
- スキルを強調できる「法人営業経験」「プロジェクトマネジメント経験」「新規事業立ち上げ」のように項目を立てて記載するため、在籍していた会社の数や期間よりも、保有しているスキルの深さに採用担当者の目を向けさせることができます。
- キャリアの一貫性を演出できる複数の会社を渡り歩いていても、特定の職種やスキル軸でまとめて書くことで、キャリアに一貫性があることをアピールできます。
- 短期間の離職を目立たなくする在籍期間が短い会社があっても、業務内容のブロックの中に統合されるため、視覚的に「またすぐに辞めた」という印象を薄める効果があります。
キャリア式フォーマットの具体的な構成案
キャリア式で作成する場合、以下の流れで構成すると読みやすく説得力のある書類になります。
1.職務要約(重要)
冒頭でキャリアの全体像を伝えます。「合計5社で経験を積んできましたが、一貫してIT業界の営業職に従事し、スタートアップから大手企業まで多様なフェーズでの拡販経験があることが強みです」といったように、回数の多さを「幅広さ」や「対応力」としてポジティブに要約します。
2.職務経歴(スキル別ブロック)
ここがメインパートです。会社ごとではなく業務内容ごとに見出しを作ります。
- 【法人営業経験】A社、B社、C社で培った法人営業の経験をまとめて記載。具体的な実績(売上、達成率)や工夫した点を記述します。
- 【マネジメント経験】D社でのリーダー経験や、E社での新人教育担当としての実績をまとめて記載します。
3.略歴表(時系列リスト)
キャリア式の場合、いつどこにいたのかが分かりにくくなる欠点があります。それを補うために、社名、在籍期間、雇用形態だけを記したシンプルな「略歴リスト」を設けます。これにより経歴詐称を疑われることなく、情報の透明性を担保できます。
「逆編年体式」を使う場合のメリハリ術
どうしても指定がある場合や直近の経歴を強くアピールしたい場合は、時系列の「逆編年体式」を使うことになります。その際、職歴の多さをカバーするための工夫が必要です。
直近の経歴を厚く、過去は薄く
全ての会社を同じ分量で書く必要はありません。直近の会社や応募先と関連性の高い経験をした会社については詳細に書き、古い経歴や関連の薄い経歴は数行で簡潔にまとめます。このメリハリをつけることで、A4用紙2枚から3枚程度に収まるように調整してください。
社名の見出しを目立たせすぎない
社名を大見出しにするのではなく、「業務内容」を見出しにして、社名はカッコ書きやサブ情報として記載します。視線が「会社が変わったこと」よりも「仕事の中身」に行くようにレイアウトを調整します。
ネガティブを払拭する「退職理由」と「自己PR」
職歴が多いことへの最大の懸念は「定着性」です。これを払拭するために自己PR欄や備考欄を活用します。
ポジティブな一貫性を主張する
「飽きて辞めた」のではなく、「より専門的なスキルを身につけるため」「会社のフェーズに合わせて自分の役割を変えてきたため」といった、目的意識のある転職であったことを伝えます。「環境適応能力が高く、新しい職場でも即戦力として馴染むことができる」という点は、職歴が多い人ならではの強力な自己PRになります。
「最後の転職にしたい」という意思表示
採用担当者を安心させるキラーフレーズとして、「これまでの経験を総動員し、貴社で腰を据えて長く貢献したいと考えています」という意思を明確に記載します。
職歴の多さは、見方を変えれば「多くの環境ややり方を知っている」という貴重な財産です。キャリア式のフォーマットを使いこなし、回数(点)ではなく経験(面)で勝負することで、書類選考の突破率は確実に上がります。





