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整備士の職務経歴書は「扱った車種」と「整備範囲」が命。採用されるフォーマットと書き方の鉄則

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自動車整備士の転職市場は売り手市場と言われていますが、好条件のディーラーや大手整備工場、あるいはメーカー開発職への転職となると、書類選考のハードルは決して低くありません。採用担当者は資格を持っていることは大前提として、「即戦力としてどのレベルの整備ができるか」を厳しくチェックしています。

一般的な事務職向けの職務経歴書フォーマットでは、整備士特有の技術力や経験の深さが伝わりません。ここでは、整備士としての腕前を正しくアピールし、書類選考を確実に通過するための最適なフォーマット選びと、必須項目の書き方について解説します。

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整備士に最適なのは「キャリア式」のフォーマット

整備士の職務経歴書において、単に時系列で勤務先を並べるだけの「編年体式」は不向きです。整備士のスキルは、在籍期間の長さよりも「どのような車種を扱い、どのような整備を行ってきたか」によって判断されるからです。

そのため、携わった業務内容ごとに詳細を記述できる**「キャリア式(プロジェクト形式)」**のフォーマットを選ぶのが鉄則です。具体的には、職務経歴書のメイン部分を「主な整備実績」として表形式にし、そこに車種や作業内容を落とし込んでいくスタイルが最も評価されやすくなります。

採用担当者が必ずチェックする4つの技術要件

整備工場の工場長や採用担当者は、現場に入ってすぐに動ける人材かを判断するために、以下の4つの情報を必ずチェックします。これらを具体的な「名詞」と「数字」で記載することが重要です。

1. 扱っていた車種とメーカー

「国産車全般」と書くだけでは不十分です。技術的な対応幅を示すために、具体的に記載します。

  • メーカー:トヨタ、日産、輸入車(メルセデス、BMWなど)、トラック(いすゞ、日野など)
  • 車種タイプ:ハイブリッド車、EV車、ディーゼル車、大型トラック、建機、二輪車

特にハイブリッド車やEV車の整備経験、あるいは輸入車の専用テスター使用経験は、現在の市場で非常に高い評価を得られます。

2. 具体的な整備範囲(作業内容)

車検や点検だけでなく、どこまで重整備ができるかを明確にします。

  • 一般整備:オイル交換、タイヤ交換、ブレーキパッド交換
  • 重整備:エンジン載せ替え、ミッション脱着、クラッチ交換、タイミングベルト交換
  • 故障診断:スキャンツール(診断機)を用いたトラブルシューティング
  • 電装整備:ナビ・ドラレコ取付、エアコン修理

「1人で完結できる作業」と「補助が必要な作業」を区別して書くと、スキルレベルがより正確に伝わります。

3. 作業スピードと効率

整備士の仕事は時間との勝負です。

  • 「車検整備:1日平均〇台を担当」
  • 「法定点検:月間〇台を実施」
  • 「工賃売上:月間平均〇〇万円を達成」

このように作業量や売上貢献を数字で示すことで、手際の良さと経営視点を持っていることをアピールできます。

4. フロント業務の経験

整備だけを行っていたのか、お客様への説明(問診・提案)も行っていたのかは重要なポイントです。

  • 見積書作成
  • 予防整備の提案(タイヤ、バッテリーなどの追加提案実績)
  • クレーム対応

フロント業務ができる整備士は、顧客満足度を高められる人材として重宝されます。

資格欄は「整備士のパスポート」

整備業界において資格は実力の証明書であり、給与査定にも直結します。以下の資格を持っている場合は、必ず正式名称で記載してください。

  • 自動車整備士:1級(小型・大型)、2級(ガソリン・ジーゼル)、3級
  • 自動車検査員:これがあるだけで採用率が跳ね上がります。
  • 特殊整備士:自動車電気装置整備士、車体整備士
  • その他:低圧電気取扱特別教育(HV/EV整備に必須)、アーク溶接、ガス溶接、危険物取扱者

現在、上位資格(1級や検査員)の取得を目指している場合は、「〇〇資格取得に向けて勉強中(〇月受験予定)」と記載することで向上心をアピールできます。

自己PRで伝えるべき「現場でのスタンス」

フォーマットの最後にある自己PR欄では、技術面以外での貢献度を伝えます。

  • 後輩指導・マネジメント工場長代理やリーダーとして、新人の教育カリキュラムを作成したり、作業工程の管理を行ったりした経験。
  • 再修理(リコール)防止への取り組み確認作業の徹底や、ミス防止のためのダブルチェック体制の構築など、品質管理に対する意識の高さ。
  • コミュニケーション能力専門用語を使わずに、お客様に車の状態を分かりやすく説明し、信頼を獲得したエピソード。

手書きではなくPC作成が有利な理由

かつては手書きの履歴書が主流でしたが、現在は整備士であってもパソコン(Word)で作成した職務経歴書が好まれます。

理由は、最近の自動車整備が電子化されており、診断機をPCに接続してレポートを作成したり、整備記録簿をシステム入力したりする業務が増えているためです。きれいにレイアウトされた職務経歴書を提出すること自体が、「PCや専用システムへの抵抗感がない」という証明になります。

整備士の職務経歴書は、あなたの「技術者としてのスペック表」です。扱ってきた車種と作業内容を具体的に記述できるフォーマットを選び、プロフェッショナルとしての実力をアピールしてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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