SEの職務経歴書は「プロジェクト経歴」が命。技術力が伝わるフォーマットと書き方の鉄則
システムエンジニア(SE)やプログラマーの転職活動において、職務経歴書は自身の技術力と実績を証明する「仕様書」のような存在です。一般的なビジネス職向けのフォーマットでは、エンジニアの能力を測るために不可欠な「開発環境」や「担当フェーズ」といった情報を網羅できず、書類選考で不利になる可能性があります。ここでは、SEとしての市場価値を最大化するためのフォーマット選びと、採用担当者が重視する記載項目について解説します。
SEに最適なのは「キャリア式(プロジェクト形式)」
SEの職務経歴書では、時系列で会社名を並べるだけの「編年体式」は不向きです。エンジニアのスキルは、どの会社にいたかよりも「どのようなシステムを、どの技術を使って、どの工程まで担当したか」によって判断されるからです。
そのため、携わった案件ごとに詳細を記載できる**「キャリア式(プロジェクト形式)」**のフォーマットを選ぶのが鉄則です。具体的には、職務経歴書のメイン部分を「開発経歴書」として表形式にし、そこにプロジェクトごとのスペックや役割を落とし込んでいくスタイルが最も評価されやすくなります。
採用担当者が必ずチェックする4つの技術要件
Slerや自社開発企業の採用担当者(現場のPMやCTO)は、即戦力かどうかを判断するために、以下の4つの情報を必ずチェックします。これらが欠けているとスキルの判定ができず、ミスマッチと判断されるリスクが高まります。
1. 開発環境(テクニカルスキル)
そのプロジェクトで使用した技術スタックを詳細に記載します。
- 言語:Java、Python、Go、JavaScript、TypeScriptなど
- フレームワーク:Spring Boot、Django、React、Vue.jsなど
- DB:Oracle、MySQL、PostgreSQL、DynamoDBなど
- OS・インフラ:Linux、AWS、Azure、GCP、Docker、Kubernetes
単に名称を書くだけでなく、可能な限り「バージョン」も記載することで、技術の鮮度やキャッチアップ能力を伝えることができます。
2. 具体的な担当工程(フェーズ)
「開発担当」とひとくくりにするのではなく、どの工程を担当したかを細分化します。
- 要件定義
- 基本設計・詳細設計
- 製造(コーディング)
- テスト(単体・結合・総合)
- 運用保守
上流工程から携わっているのか、実装メインなのかによって、提示される年収やポジションが大きく変わります。
3. チーム体制と役割
「プロジェクトリーダー(PL)」として進捗管理を行ったのか、「メンバー」として実装に専念したのかを明確にします。また、プロジェクト全体の人数と、自チームの人数を記載することで、マネジメントの規模感が伝わります。
4. プロジェクトの規模と期間
「開発期間:20xx年4月~20xx年3月(1年)」のように期間を明記し、「人月」や「ユーザー数」「データ量」などで規模感を示します。大規模システムの経験があるか、アジャイルでスピード感を持って開発したかなど、開発スタイルとの相性を見極める材料になります。
「活かせるスキル」は一覧表でまとめる
プロジェクト経歴とは別に、職務経歴書の冒頭か末尾に「テクニカルスキル一覧表」を作成することをおすすめします。
言語、OS、DB、ツールごとに、「経験年数」と「自己評価(独力で開発可能、指導可能など)」をマトリクス形式でまとめます。これにより、採用担当者はあなたの技術セットの全体像を瞬時に把握することができます。
SEの職務経歴書はExcelかWordか
SEの場合、表形式の記述が多くなるためExcelでの作成を好む方もいますが、基本的にはWord(ワード)での作成をおすすめします。
理由は、職務要約や自己PR、プロジェクトごとの「工夫した点」などの文章記述において、Wordの方が可読性が高いためです。Excelは印刷範囲の設定が難しく、採用担当者が紙に出力した際にレイアウトが崩れるリスクがあります。ただし、Excel方眼紙のような体裁ではなく、あくまで文書として整ったものであればExcelでも許容されます。
いずれの場合も、提出時は必ずPDF形式に変換してください。自身のPC環境(フォントやOS)に依存せず、レイアウトを固定して提出することは、エンジニアとしての最低限のリテラシーとみなされます。
自己PRで伝えるべき「技術への向き合い方」
フォーマットの最後にある自己PR欄では、コードだけでは伝わらない「エンジニアとしてのスタンス」を記述します。
- 技術選定の根拠なぜその技術を採用したのかという、ビジネス要件と技術要件をすり合わせる思考プロセス。
- 業務改善と効率化CI/CD導入によるデプロイ自動化や、ドキュメント整備による属人化の解消など、チーム全体の生産性を向上させた実績。
- 自己研鑽業務外でのキャッチアップ(QiitaやZennへの投稿、GitHubでの活動、資格取得)の状況。
SEの職務経歴書は、あなたの技術力を客観的に証明するポートフォリオの一種です。プロジェクトごとに詳細な環境と実績を記述できるフォーマットを選び、技術者としての解像度の高さをアピールしてください。





