建設業の職務経歴書は「工事経歴」が命。採用されるフォーマットの選び方と必須項目
建設業(施工管理、設計、現場作業員など)の転職活動において、職務経歴書は合否を分ける極めて重要な書類です。一般的なビジネス職のフォーマットでは「会社名」や「在籍期間」が中心になりますが、建設業の採用担当者が最も見たいのは「どのような建物を、どのような立場で建ててきたか」という具体的な「工事経歴」です。ここでは、建設業界特有のアピールポイントを網羅し、書類選考を確実に突破するためのフォーマット選びと書き方について解説します。
建設業に最適なのは「キャリア式(工事経歴書形式)」
建設業の職務経歴書では、時系列で会社を並べるだけのフォーマットは不向きです。プロジェクトごとに工期や規模が異なるため、携わった案件ごとに詳細を記載できる「キャリア式(プロジェクト形式)」または「工事経歴書」を兼ねたフォーマットを選ぶのが鉄則です。
多くの建設会社では、入札時などに提出する「経営事項審査(経審)」において技術者の工事経歴が重要視されます。そのため、職務経歴書の段階で「工事経歴書」に近い形式で詳しく実績が書かれていると、採用担当者は自社で活躍するイメージを持ちやすくなります。Wordで作成するのが一般的ですが、多数の工事実績を表形式で整理したい場合はExcelを活用するのも有効です。
採用担当者が必ずチェックする5つの必須項目
建設業の職務経歴書では、曖昧な表現は評価されません。一つのプロジェクトにつき、以下の5つの情報を必ず「数字」や「専門用語」を用いて記載してください。
- 工事名称と用途「マンション新築工事」「商業施設改修工事」「ダム建設工事」など、工事の種類と建物の用途を明記します。
- 構造と規模(スペック)「RC造(鉄筋コンクリート造)」「S造(鉄骨造)」「木造」といった構造種別は必須です。さらに「地上10階・地下1階」「延床面積5,000平米」「総戸数100戸」といった規模感を数字で示します。土木工事の場合は「トンネル延長〇〇メートル」「盛土量〇〇立米」などが該当します。
- 請負金額(工事金額)プロジェクトの規模を最も客観的に示すのが金額です。「数億円規模」とぼかすのではなく、「約5億円」のように記載します。これにより、あなたが扱える現場のキャパシティが伝わります。
- 工期「2020年4月~2021年3月」のように着工から竣工までの期間、または自身が携わった期間を記載します。
- 担当業務と役割「所長(現場代理人)」「主任」「担当者」といった役職に加え、担当した業務(工程管理、品質管理、原価管理、安全管理、設計監理、施工図作成など)を具体的に書きます。
【職種別】評価を上げる書き方のポイント
建設業といっても職種によってアピールすべきポイントは異なります。
施工管理(現場監督)の場合
最も重視されるのは「安全管理」と「工程管理」の実績です。「無事故・無災害で完工した実績」は強力なアピールになります。また、近隣住民との折衝経験や、職人さんとの信頼関係構築、工期短縮のために行った工夫などを「自己PR」欄に盛り込みます。
設計・積算の場合
使用できるCADソフト(AutoCAD、Jw_cad、Revit、ArchiCADなど)の種類と習熟度は必須項目です。意匠設計、構造設計、設備設計のいずれが専門かを明確にし、ポートフォリオがある場合はその旨を記載します。
現場作業員(職人)の場合
具体的な作業内容に加え、保有している「技能講習」や「特別教育」の修了歴を漏らさず記載します。また、職長経験や後輩指導の経験があれば、リーダーシップがある人材として高く評価されます。
資格欄は「建設業のパスポート」
建設業界ほど資格が重視される業界はありません。以下の資格を持っている場合は、必ず正式名称で記載してください。
- 施工管理技士(1級・2級):建築、土木、電気工事、管工事など
- 建築士(1級・2級・木造)
- 技能士
- 消防設備士、電気工事士
現在勉強中の場合でも「1級建築施工管理技士 第一次検定合格(第二次検定 20xx年受検予定)」と書くことで、向上心と知識レベルをアピールできます。
パソコンスキルも重要な評価対象
かつては手書きが主流でしたが、現在は建設現場でも書類作成や写真管理のIT化が進んでいます。そのため、職務経歴書をExcelやWordで作成すること自体が、「現場の事務処理を任せられる」というPCスキルの証明になります。専用ソフト(施工管理アプリや写真管理ソフト)の使用経験があれば、それも「活かせるスキル」として記載しておきましょう。
建設業の職務経歴書は、あなたの「技術者としての履歴書」です。具体的なスペックと数字を並べることで、プロフェッショナルとしての信頼感を醸成し、希望する企業への内定を勝ち取ってください。





