法人営業の職務経歴書は「数字」と「プロセス」で売れ。採用担当者が唸るフォーマットと書き方の鉄則
法人営業(BtoBセールス)の転職活動において、職務経歴書は単なる経歴の記録ではありません。あなた自身という商品を企業に売り込むための「提案書」そのものです。
営業職の採用担当者は、応募書類から「自社の商材を売れる力があるか」「目標数字にコミットできるか」をシビアに見定めています。一般的なフォーマットをただ埋めるだけでは、あなたの営業力は伝わりません。ここでは、法人営業の実力を最大限にアピールし、書類選考を確実に突破するための最適なフォーマットの選び方と、書き方の鉄則について解説します。
法人営業に最適なのは「逆編年体式」のフォーマット
法人営業の職務経歴書では、直近の経歴から過去に遡って記載する**「逆編年体式」**のフォーマットを選ぶのが鉄則です。
営業の世界は実力主義であり、採用担当者が最も知りたいのは「直近でどのような成果を上げているか」です。最新の実績とスキルセットが冒頭に来るこの形式を選ぶことで、即戦力性を強力にアピールできます。
作成はWord(ワード)で行うのが基本です。表計算が得意だからといってExcelで作る人もいますが、営業職は「言語化能力」や「論理構成力」も評価されるため、文章と表をバランスよく配置できるWordの方が適しています。
採用担当者が必ずチェックする4つの「営業スペック」
「営業をしていました」だけでは何も伝わりません。営業の難易度やスタイルは企業によって千差万別だからです。以下の4つの項目(スペック)を明確に記載し、採用担当者があなたの営業スタイルを具体的にイメージできるようにしてください。
1. 営業スタイル(新規か既存か)
最も重要な区分です。「完全新規開拓(テレアポ・飛び込み)」「反響営業(インバウンド)」「既存顧客深耕(ルートセールス)」の比率を記載します。
- 例:新規開拓 70%:既存深耕 30%
2. 顧客層(ターゲット)
「誰に」売っていたかによって、商談の難易度が変わります。
- 業種:製造業、IT企業、官公庁など
- 規模:上場企業(エンタープライズ)、中小企業(SMB)、個人事業主
- カウンターパート:経営層、部長クラス、現場担当者
3. 取扱商材と単価
「何を」「いくらで」売っていたかは、営業手法に直結します。
- 商材:有形商材(メーカー・商社)か、無形商材(IT・広告・人材・コンサル)か
- 単価:数万円の売り切り型か、数千万円のプロジェクト型か
- リードタイム:即決か、受注まで半年かかるか
4. 実績(定量的成果)
ここが職務経歴書のハイライトです。「予算達成率」「昨対比」「社内順位」「受賞歴(MVPなど)」を必ず数字で記載します。
数字の説得力を高める「表組み」の活用
実績部分は文章で書くよりも、表組みにして視認性を高めるのが効果的です。以下のような項目で見やすく整理します。
| 年度 | 担当予算 | 実績額 | 達成率 | 社内順位 |
| 2023年度 | 5,000万円 | 6,000万円 | 120% | 3位 / 50名中 |
| 2022年度 | 4,000万円 | 4,200万円 | 105% | 8位 / 50名中 |
このように推移を見せることで、「まぐれ」ではなく「継続的に成果を出せる人材」であることを証明できます。また、コロナ禍や市場環境の悪化などで未達成の年がある場合は、備考欄で「市場縮小率が80%の中、シェア拡大によりマイナス幅を最小限に留めた」といった補足を入れ、防御力の高さをアピールします。
「プロセス」で再現性をアピールする
数字は「結果」ですが、採用担当者が本当に知りたいのは、その数字を叩き出した「プロセス(再現性)」です。なぜ売れたのか、その工夫を具体的に記述します。
課題解決型(ソリューション)営業の場合
「顧客の潜在的な課題をヒアリングで引き出し、他部署と連携してカスタマイズ提案を行ったことで、競合他社からのリプレイスに成功した」というように、提案の深さを強調します。
行動量重視の営業の場合
「KPIを逆算して行動計画を立て、1日平均50件の架電と3件の商談を徹底した。失注案件に対しても定期的なナーチャリング(育成)を行い、半年後の再アプローチで受注につなげた」というように、行動管理能力と粘り強さを強調します。
異業界への転職で意識すべき変換テクニック
同じ法人営業でも、業界が変われば評価ポイントも変わります。
有形商材(メーカー等)→ 無形商材(IT・人材等)へ
「製品スペックの説明」ではなく、「顧客の課題解決」に焦点を当てます。形のないものを売るためには、顧客の悩みを聞き出すヒアリング能力が必要だからです。「御用聞き」ではなく「コンサルティング営業」ができることをアピールします。
無形商材 → 有形商材へ
「納期管理」や「関係構築」を強調します。メーカーや商社では、納品までのスケジュール管理や、長く取引を続けるための信頼関係構築が重視されます。
自己PRは「マインド」と「戦略」の両輪で
フォーマットの最後にある自己PR欄では、営業としてのスタンスを伝えます。
- 戦略性「感覚で営業するのではなく、市場分析とターゲティングに基づいた戦略的なアプローチができる」
- 関係構築力「決裁者だけでなく、現場担当者とも信頼関係を築き、組織全体を巻き込んで合意形成を図ることができる」
- 達成意欲「目標数字は何が何でも達成するという強いコミットメントがある」
法人営業の職務経歴書は、あなた自身の「営業資料」です。読み手(顧客=採用担当者)のニーズを把握し、数字という「根拠」とプロセスという「ストーリー」で構成された最適なフォーマットで、あなたという人材を売り込んでください。





