派遣社員の職務経歴書は「見せ方」が9割。派遣先が多い人でも評価されるフォーマットと書き方
派遣社員として働いてきた方が転職活動を行う際、職務経歴書の作成で最も悩むのが「派遣先ごとの経歴をどうまとめるか」という点です。複数の派遣先を経験していると、時系列で書くだけでは枚数が膨大になり、キャリアに一貫性がないように見えてしまうリスクがあります。
しかし、派遣社員ならではの「豊富な現場経験」や「環境適応能力」は、適切なフォーマットを選べば強力な武器に変わります。ここでは、派遣の経験を魅力的に伝え、正社員転職やキャリアアップを成功させるための最適なフォーマットと書き方のルールについて解説します。
派遣社員に最適なのは「キャリア式」または「派遣元ベース」のフォーマット
派遣社員の職務経歴書において、最も避けるべきは「派遣先が変わるたびに入社・退社を繰り返しているように見える書き方」です。これを防ぐために、以下の2つのフォーマットから自分に合うものを選んでください。
1. キャリア式(職能別)フォーマット
派遣先が多く、様々な業務を経験してきた人に最適です。時系列ではなく「業務内容」ごとに経歴をまとめます。
- 書き方例:【一般事務経験】【営業事務経験】【コールセンター業務】といった見出しを立て、その下に経験した派遣先や具体的な業務内容を記載します。
- メリット:派遣先の数や期間の短さが目立たず、「何ができるか(スキル)」を強調できます。
2. 派遣元ベースの編年体式フォーマット
派遣元(登録している派遣会社)が少なく、一つの派遣先での勤務期間が長い人に適しています。
- 書き方例:「〇〇スタッフ株式会社(派遣元)」を入社として書き、その下に「【派遣先1】株式会社△△」「【派遣先2】××株式会社」とぶら下げる形で記載します。
- メリット:雇用主が変わっていないことを示せるため、キャリアの継続性をアピールできます。
「派遣元」と「派遣先」の正しい書き方
採用担当者が混乱しないよう、雇用形態と勤務先の関係を明確に記載するのが鉄則です。
- 基本ルール「派遣元(雇用主)」に入社し、「派遣先(勤務地)」へ配属されたという書き方をします。
- 記載例20xx年4月 入社:株式会社〇〇(派遣元)20xx年4月~20xx年3月 配属:大手通信機器メーカー(派遣先)[業務内容]営業事務として受発注業務を担当
- 守秘義務への配慮派遣先企業によっては、社名を公表できない(契約上の守秘義務がある)場合があります。その際は「大手自動車メーカー」「官公庁関連」のように業界や規模でぼかして記載します。知名度のある企業で働いていた場合は、実名が出せると「大手での就業ルールやシステムに慣れている」というアピールになります。
派遣から正社員を目指すためのアピールポイント
派遣社員から正社員への転職を目指す場合、採用担当者は「指示待ち人間ではないか」「すぐに辞めないか」という点を懸念します。これを払拭するために、以下の要素を盛り込んでください。
1. 「環境適応能力」と「即戦力性」
新しい派遣先に行くたびに、異なる人間関係、独自ルール、専用システムに適応してきた経験は、派遣ならではの強みです。「着任後1週間で業務フローを習得し、単独での処理を開始しました」といったエピソードで、キャッチアップの早さを証明します。
2. 業務改善への「能動的な姿勢」
「派遣だから言われたことだけやる」のではなく、「マニュアルの不備を修正した」「ファイリング方法を見直して検索時間を短縮した」など、自ら気づいて改善した実績を必ず記載します。これが「正社員としての素養」をアピールする最大の鍵です。
3. 退職理由は「期間満了」が基本
派遣契約が終了して次の仕事に移った場合、退職理由は「自己都合」や「会社都合」ではなく**「派遣契約期間満了につき退職」**と記載します。これにより、ネガティブな理由での退職ではないこと、契約を全うした責任感があることを伝えられます。
PCスキルの記載は具体的に
派遣の事務職やオペレーター職では、PCスキルが商品価値そのものです。
「Word、Excelができる」だけでなく、「Excel:VLOOKUP関数、ピボットテーブルを用いた集計業務(使用歴3年)」のように、具体的な関数名や機能名、使用年数を記載してください。また、AccessやPowerPoint、あるいはZoomやTeamsなどのチャットツールの使用経験も、リモートワークが普及した現在では立派な加点要素になります。
まとめ
派遣社員の職務経歴書は、「多様な経験」を「散漫」に見せない工夫が必要です。
自分のキャリアに合ったフォーマット(キャリア式など)を選び、派遣先ごとの経験をスキルとして整理することで、採用担当者に「この人なら、どんな環境でも即戦力として活躍してくれる」と確信させる書類を作成してください。





