コンサル転職は職務経歴書で決まる。採用担当者を納得させるフォーマットと「論理的」な書き方
コンサルティングファームへの転職活動において、職務経歴書は単なる経歴紹介ではありません。コンサルタントとしての「基礎能力(ドキュメンテーション能力)」と「論理的思考力」を証明する、最初の成果物(デリバリブル)と見なされます。そのため、一般的な事業会社の事務職や営業職と同じフォーマットを使用すると、アピール不足どころか「コンサルの適性がない」と判断されかねません。ここでは、コンサル業界への転職を成功させるための最適なフォーマット選びと、採用担当者に響く書き方の鉄則について解説します。
コンサルに最適なのは「キャリア式(プロジェクト形式)」
コンサルタントの業務は、基本的にプロジェクト単位で動きます。そのため、職務経歴書も時系列で会社名を羅列する「編年体式」ではなく、関わったプロジェクトごとに詳細を記述できる「キャリア式(プロジェクト形式)」のフォーマットを選ぶのが鉄則です。
この形式を選ぶことで、在籍企業が変わっても、一貫してどのような課題解決に取り組んできたかを示しやすくなります。Wordで作成するのが標準ですが、表組みをきれいに見せたい場合は、Excelを活用して論理構成を整えるのも有効な手段です。
採用担当者がチェックする「プロジェクト詳細」の4要素
コンサルティングファームの採用担当者(現役コンサルタントやパートナー)は、あなたが「どのような難易度の課題」に対し、「どのように思考し行動したか」を見ています。各プロジェクトの記述には、以下の4つの要素を必ず盛り込む必要があります。
- クライアントの属性とプロジェクト概要守秘義務があるため社名は伏せますが、「売上1,000億円規模の製造業」「大手通信キャリア」など、クライアントの規模と業種を明記します。プロジェクト概要は「全社DX推進」「中期経営計画策定」など、テーマを簡潔に記します。
- 現状の課題(Issue)そのプロジェクトが始まる前、クライアントがどのような問題を抱えていたかを記載します。「売上が低迷していた」だけでなく、「若年層の顧客離れにより、シェアが3年連続で低下していた」のように、課題の解像度を高く書くことが重要です。
- 施策と自身の役割(Action & Role)課題に対してどのような仮説を立て、どのような解決策を実行したかを書きます。重要なのは「チームとして何をしたか」ではなく「あなたが何をしたか」です。「プロジェクトマネージャーとして5名をリードし、要件定義を完遂」「市場調査データを分析し、新規参入シナリオを策定」など、自身の介在価値を具体的に記述します。
- 成果(Result)コンサルタントは成果にコミットする職業です。「クライアントに喜ばれた」という定性的な結果だけでなく、「コストを20パーセント削減」「新規事業により初年度売上5億円を達成」といった定量的な数字でインパクトを示します。
「読みやすさ」自体がスキルの証明になる
コンサルタントは、膨大な情報を整理し、クライアントに分かりやすく伝えるプロフェッショナルです。そのため、職務経歴書のレイアウトが見にくいと、その時点で「ドキュメント作成能力が低い」と判断されます。以下のポイントを意識して、美しいフォーマットに仕上げてください。
- 構造化と箇条書きダラダラとした長文は避け、情報を構造化して箇条書きにします。「概要」「役割」「実績」といった見出しをつけ、一目で内容が入ってくるように整理します。
- ファクトベース(事実)で書く感情的な表現や曖昧な形容詞は排除し、事実と数字を中心に構成します。論理の飛躍がないか、因果関係が明確かを常に見直します。
- MECE(漏れなくダブりなく)を意識する自身のスキルや経験を記述する際、情報の抜け漏れや重複がないように整理します。これができているだけで、論理的思考力の基礎があることをアピールできます。
未経験からコンサルを目指す場合の書き方
異業界(事業会社)からコンサルタントを目指す場合、現職での経験を「コンサル的な動き」に変換して伝える必要があります。
例えば、営業職であれば「売上達成」という結果だけでなく、「なぜ売れないのか」という課題分析から入り、「営業プロセスを見直す」という仕組み化を行った経験を強調します。エンジニアであれば、単なる開発経験だけでなく、「顧客の業務要件を整理し、システムに落とし込んだ」という上流工程や折衝経験を厚く記述します。
「課題発見」→「仮説構築」→「検証・実行」→「解決」というプロセスを回した経験は、どの職種にも存在します。このプロセスを抽出して言語化できるかどうかが、未経験からのコンサル転職の成否を分けます。
まとめ
コンサルティングファーム向けの職務経歴書は、あなたのキャリアを記した履歴書であると同時に、あなたの論理的思考力とドキュメンテーション能力を示すプレゼンテーション資料でもあります。プロジェクト形式のフォーマットを使用し、課題解決のプロセスを論理的に記述することで、採用担当者に「この人ならクライアントの前に出せる」と思わせる書類を作成してください。





