職務経歴書作成における誠実性の重要性

転職活動において、職務経歴書はご自身のこれまでのキャリアと能力を、応募先企業に伝えるための最も重要な書類です。少しでもご自身を良く見せたい、選考を有利に進めたいという気持ちが働くのは自然なことかもしれません。しかし、その結果として事実と異なる内容や、過度に誇張した情報を記載することは、ご自身の信頼を著しく損なう行為に繋がります。

採用担当者が見ている点

採用担当者は、日々多くの応募書類に目を通しており、豊富な経験を持っています。職務経歴書の内容に一貫性がない場合や、実績があまりにも現実離れしている場合、面接での質問を通じてその不自然さに気づくことが多々あります。重要なのは、ご自身の経験を誠実に、かつ効果的に伝えることです。

虚偽の記載が発覚する経緯

「少しの誇張ならわからないだろう」と考えるかもしれませんが、事実と異なる記載は、選考プロセスや入社後の様々な場面で発覚する可能性があります。例えば、面接での深掘りされた質問に対し、具体的なエピソードや背景を答えられなければ、内容の信憑性が疑われます。また、リファレンスチェック（前職への照会）や、入社手続き時に提出する雇用保険被保険者証、源泉徴収票などの公的書類によって、在籍期間や職務内容の相違が判明することもあります。

虚偽記載がもたらす深刻な影響

もし職務経歴書に事実と異なる内容を記載し、それが発覚した場合、その代償は非常に大きくなります。選考の途中であれば不採用となり、たとえ内定が出ていたとしても、内定取り消しの正当な理由となります。更に入社後であった場合、経歴詐称として懲戒解雇の対象となる可能性も否定できません。何よりも、築き上げようとしていた企業との信頼関係を根本から失うことになります。

「嘘」ではなく「表現の工夫」で魅力を伝える

ご自身の経験を魅力的に見せたい場合、取るべき手段は虚偽の記載ではありません。事実に基づいた上で、「表現を工夫する」ことです。例えば、数値的な実績（売上など）は正確に記載し、その成果を達成するためにご自身がどのような工夫をしたのか、どのようなプロセスで貢献したのかを具体的に補足します。また、アピールできるスキルがないと感じる場合でも、日常業務の中で培った課題解決能力や調整力など、汎用的な能力を見つけ出し、それを言語化することが重要です。

誠実な書類が面接での自信に繋がる

事実に基づいた誠実な職務経歴書を作成することは、面接でのご自身の自信にも繋がります。書類に書かれていることと、ご自身の言葉に一貫性があるため、どのような質問に対しても堂々と答えることができます。ご自身のキャリアを偽りなく、かつ魅力的に伝える努力こそが、採用担当者からの信頼を獲得し、転職成功への確実な道となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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