Webディレクターの書類選考を突破する職務経歴書の書き方とアピール戦略
Webディレクターの職務経歴書はプロジェクトの具体性と成果の数値化が鍵となります
Webディレクターの転職活動において、職務経歴書は自身のディレクション能力とプロジェクトマネジメント能力を証明するための最も重要なプレゼンテーション資料です。Webディレクターといっても、制作進行管理が中心のポジションから、企画立案やマーケティングまで担うプロデューサーに近いポジションまで、その役割は多岐にわたります。そのため、単にWebディレクターとして勤務と記載するだけでは、採用担当者にあなたの実力や得意分野は伝わりません。
書類選考を確実に通過するためには、自身が携わってきたプロジェクトの規模や種類、担当したフェーズを詳細に記述し、どのような成果を上げたのかを客観的な数値で示す必要があります。また、制作スタッフやクライアントをまとめるコミュニケーション能力や、トラブル対応力といったヒューマンスキルも重要な評価対象となります。ここでは、Webディレクターならではの職務経歴書の書き方と、採用担当者の目に留まるアピールポイントについて解説します。
担当プロジェクトの概要と自身の役割を詳細に記述してスキルを可視化する
Webディレクターの実力を判断する上で、どのようなWebサイトやサービスを作ってきたかという実績は最も重要な情報です。職務経歴書の職歴詳細欄には、プロジェクトごとに具体的な情報を盛り込むことが求められます。まずはサイトの種類を明記します。コーポレートサイト、ECサイト、ランディングページ(LP)、オウンドメディア、キャンペーンサイトなど、何を作ったのかを明確にします。
次に、そのプロジェクトにおける自身の役割と担当範囲を記述します。クライアントへのヒアリングや要件定義といった上流工程から携わったのか、ワイヤーフレームの作成やデザイン・コーディングの進行管理がメインだったのか、あるいはリリース後の運用更新や効果測定まで担当したのかを詳しく書きます。さらに、プロジェクトの規模感を示すために、制作期間、ページ数、関わったスタッフの人数(デザイナー、エンジニア、ライターなど)を記載します。これにより、採用担当者はあなたがどの程度の規模の案件を回せるスキルを持っているかを具体的にイメージできるようになります。
PV数やCVR改善率などの数値を盛り込みビジネスへの貢献度を示す
Webディレクターの仕事は、単にサイトを完成させることだけではありません。そのサイトを通じてクライアントのビジネス課題を解決することが求められます。そのため、職務経歴書には制作したサイトがどのような成果を生み出したかという実績を、具体的な数値を用いて記載することが非常に効果的です。
例えば、リニューアルによってページビュー(PV)数が前年比150パーセントに増加した、エントリーフォームのUI改善によりコンバージョン率(CVR)が1.2倍になった、SEO対策により検索順位が圏外から3位に上昇したといった記述です。具体的な数値が開示できない場合でも、クライアントからの評価や、問い合わせ数の増加傾向などを定性的に記述することで、結果にコミットする姿勢を示すことができます。デザインの良し悪しだけでなく、数字という共通言語で成果を語れるディレクターは、ビジネス視点を持っている人材として高く評価されます。
使用ツールと技術理解度を記載して現場との連携力をアピールする
Web制作の現場では多種多様なツールが使用されており、それらを使いこなすスキルもディレクターには求められます。職務経歴書には、使用可能なツールや言語、環境を網羅的に記載します。アクセス解析ツール(Google Analyticsなど)、デザインツール(Figma、Adobe XD、Photoshopなど)、プロジェクト管理ツール(Jira、Backlogなど)、コミュニケーションツール(Slack、Chatworkなど)の名称と使用歴を記述します。
また、自身でコーディングやデザインを行わない場合でも、HTML、CSS、JavaScript、PHPなどの技術に関する理解度を示しておくことは重要です。エンジニアやデザイナーと円滑にコミュニケーションを取り、適切な指示出しや工数見積もりを行うためには、技術的な基礎知識が不可欠だからです。技術的な知見があることを記載することで、制作チームとのハブ役として機能できる信頼感を採用担当者に与えることができます。
調整力や折衝能力などのヒューマンスキルをエピソードで補強する
Webディレクターの業務の大半は、人とのコミュニケーションと言っても過言ではありません。クライアントの要望を汲み取るヒアリング能力、制作スタッフのモチベーションを高めるリーダーシップ、納期遅延などのトラブル発生時に各所と調整を行う折衝能力などは、立派なスキルとしてアピールできます。
職務経歴書の自己PR欄や業務内容の補足として、困難なプロジェクトをどのように乗り越えたかというエピソードを記述します。例えば、仕様変更が多発する案件において、クライアントと粘り強く交渉し追加予算を獲得した経験や、炎上案件の火消し役としてアサインされ、スケジュールを再構築して無事リリースに導いた経験などです。こうした泥臭い調整業務の経験は、現場を知る採用担当者にとって非常に頼もしく映ります。
未経験からWebディレクターを目指す場合のポータブルスキルの活かし方
異業種から未経験でWebディレクターを目指す場合、Web制作の実績がないため、前職で培ったポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)をWebディレクターの業務に変換してアピールします。営業職の経験があれば、顧客の課題を引き出すヒアリング能力や提案力が、要件定義や企画提案に活かせます。事務職の経験があれば、正確なスケジュール管理能力や文書作成能力が、進行管理や仕様書作成に役立ちます。
また、未経験であっても、職業訓練校やスクールで学んだ内容、独学で制作した架空のサイトのポートフォリオなどを提示することで、基礎知識と熱意を証明できます。Web業界は変化が激しいため、新しい情報をキャッチアップする学習意欲の高さも重要なアピールポイントとなります。前職の経験と学習成果を組み合わせ、早期に戦力となれるポテンシャルがあることを伝えてください。
職務経歴書自体の構成力とデザインでディレクション能力を証明する
Webディレクターにとって、職務経歴書は自身のディレクション能力を証明する最初の成果物でもあります。読み手(ユーザー)である採用担当者が、知りたい情報にストレスなくたどり着けるように情報を設計し、レイアウトを整えることは、Webサイトの設計思想と同じです。
見出しを適切に使い、情報をグルーピングし、適度な余白を設けて読みやすくする工夫を凝らしてください。誤字脱字がないことはもちろん、フォントの統一やインデントの調整など、細部まで配慮が行き届いた美しい書類を作成することは、品質管理能力の高さを示すことにつながります。WordやExcelで作成する場合でも、読みやすさにこだわったレイアウトにすることで、情報の整理整頓が得意なディレクターであるという印象を与えることができます。





