職務経歴書を手書きで作成する際の書き方とスムーズに進めるためのポイント

職務経歴書の手書き作成は丁寧な準備が効率化の鍵となります

転職活動において職務経歴書を作成する際、パソコンでの作成が主流となっている現代においても、あえて手書きを選択しようと考える方は少なくありません。文字から伝わる人柄や熱意をアピールしたい場合や、パソコンやプリンターが自宅になく手書きの方が手軽に感じる場合など、理由は様々でしょう。手書きで職務経歴書を作成することは、パソコン作成に比べて手間がかかると思われがちですが、事前に適切な準備と手順を踏むことで、迷うことなくスムーズに、そして簡単に仕上げることが可能です。

手書きの職務経歴書が好まれるケースとしては、歴史のある老舗企業や、文字を書く業務が多い職種、あるいは個人の人柄を重視する企業などが挙げられます。こうした企業に向けて手書きで作成する場合、最も重要なのは達筆であることよりも、読みやすく丁寧に書かれていることです。一文字ずつ心を込めて書かれた書類は、それだけで仕事に対する誠実さや丁寧な姿勢を証明する強力な武器となります。ここでは、手書きの職務経歴書を効率的に、かつ完成度高く作成するための具体的な手順と書き方のコツについて解説します。

手書き作成を簡単にするための筆記用具選びと環境作り

手書きで職務経歴書を作成するにあたり、最初にこだわるべきは道具選びです。書きやすい筆記用具を用意することは、作業のストレスを減らし、ミスを防ぐための第一歩となります。使用するペンは、黒色のゲルインクボールペンや水性ボールペンがおすすめです。油性ボールペンよりもインクの出が良く、軽い力で濃くはっきりとした文字が書けるため、長時間書いていても疲れにくく、見栄えの良い書類に仕上がります。太さは0.5ミリから0.7ミリ程度のものが、読みやすさと力強さを兼ね備えており適しています。

一方で、消せるボールペンの使用は厳禁です。履歴書や職務経歴書は公的なビジネス文書であり、熱や摩擦で消えてしまうインクは不適切とみなされます。また、書き損じを防ぐためには、文字のバランスを取りやすくする下敷きや、行が曲がらないようにするための定規も用意しておくと便利です。職務経歴書用紙については、市販されている手書き専用の罫線入りのものを選ぶか、あるいは無地の上質紙を使用する場合は、罫線が印刷された紙を下に敷いて透かして書くガイドシートを活用すると、真っ直ぐできれいなレイアウトを簡単に作ることができます。

いきなり書き始めずに下書きを用意することが最短ルートです

手書き作成を最も簡単かつ確実にする方法は、清書する前に必ず下書きや構成案を用意することです。いきなりボールペンで書き始めると、文章の構成に悩んで手が止まってしまったり、書き進めるうちに行数が足りなくなったりして、修正がきかなくなるリスクがあります。まずは別の紙やノート、あるいはスマートフォンのメモ機能などを使って、職歴の時系列やアピールしたい内容をすべて書き出してみます。

書くべき内容が固まったら、それを鉛筆で薄く用紙に下書きするか、あるいはパソコンなどで作成した見本を横に置き、それを書き写すだけの状態にしてから清書に入ります。書く内容を考える作業と、文字を丁寧に書く作業を分けることで、精神的な負担が大幅に軽減され、結果として短時間で質の高い書類を完成させることができます。構成としては、編年体式と呼ばれる時系列順に記載する形式が、手書きの場合は最もシンプルで書きやすく、読み手にとっても理解しやすいレイアウトとなります。

読みやすさを重視したレイアウトと文字の大きさの工夫

手書きの職務経歴書では、文字の大きさや余白の取り方が読みやすさを決定づけます。パソコンのように後からフォントサイズを変更できないため、書き始める前に全体のバランスをイメージすることが大切です。見出しとなる職務経歴や自己PRといった項目は、本文よりもひと回り大きな文字で書き、視認性を高めます。本文については、文字を詰め込みすぎず、適度な行間を空けることで、圧迫感のない読みやすい紙面になります。

具体的な職務内容を記載する際は、長い文章でダラダラと書くのではなく、箇条書きを活用することをお勧めします。業務内容や実績を箇条書きで短くまとめることで、手書きであってもスッキリとした印象を与えられます。また、強調したい実績や数字については、少し太めに書いたり、括弧を使って目立たせたりする工夫も有効です。字が上手か下手かということ以上に、相手が読む時のことを考えて丁寧に書かれているかどうかが、評価を分けるポイントとなります。

書き損じた場合の対処法と修正液使用の禁止ルール

手書き作成において最も注意しなければならないのが、書き損じへの対応です。どれほど丁寧に書いていても、誤字や脱字をしてしまうことはあります。しかし、ビジネス文書である職務経歴書においては、修正液や修正テープの使用はマナー違反とされています。修正跡がある書類は、見栄えが悪いだけでなく、志望度が低い、注意力が散漫であるといったネガティブな評価につながりかねません。

もし書き損じてしまった場合は、手間であっても新しい用紙に最初から書き直すのが基本ルールです。二重線と訂正印による修正も、公的書類では認められる場合がありますが、採用選考の書類としては避けた方が無難です。こうした書き直しのリスクを最小限にするためにも、前述した下書きの準備や、集中できる環境での作成が重要になります。一文字一文字を慎重に書き進めるプロセスそのものが、仕事に対する真摯な姿勢の表れとなります。

手書きならではの温かみと熱意をアピールにつなげる

現代の転職活動において、パソコン作成が主流の中で手書きの職務経歴書を提出することは、それだけで強いインパクトを与えることができます。特に、文字を書くことが好きな方や、丁寧さに自信がある方にとっては、他の応募者との差別化を図る大きなチャンスとなります。手書きの文字には、パソコンのフォントにはない温度感や個性が宿ります。

自己PRや志望動機の欄では、その熱意を文字に乗せて伝える意識を持ってください。丁寧な文字で綴られた思いは、採用担当者の心に強く響く可能性があります。効率性だけでなく、あえて手間をかけて自分を表現するという選択も、戦略の一つです。準備を整え、心を込めて作成した手書きの職務経歴書で、希望する企業への内定を勝ち取ってください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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