総務職の書類選考を突破する職務経歴書の書き方とアピール戦略
総務の職務経歴書は守備範囲の広さと改善実績の具体化が重要です
総務職の転職活動において職務経歴書は、自身の多岐にわたる業務経験を整理し、実務能力の高さを証明するための最も重要な書類です。総務の仕事はファシリティマネジメントから備品管理、社内行事の運営、法務や労務のサポートまで非常に幅広いため、単に総務業務全般と記載するだけでは、採用担当者にあなたの強みや専門性が伝わりません。採用担当者は応募者がどの程度の規模の組織で、どのような業務を担当し、どのように組織の生産性向上に貢献してきたかを知りたいと考えています。
書類選考を確実に通過するためには、ご自身が担当していた業務範囲を明確に棚卸しし、ルーチンワークの中にある工夫や改善実績を言語化する必要があります。何でも屋として受動的に動くのではなく、会社全体の課題を見つけ出し、能動的に解決に取り組める人材であることをアピールすることが重要です。ここでは総務職ならではの職務経歴書の書き方と、評価を高めるためのテクニックについて解説します。
担当業務の規模と範囲を数字で記載して実務能力を証明する
総務の実務能力を客観的に判断してもらうためには、担当していた業務の規模感を数字で示すことが不可欠です。職務経歴書の冒頭や業務詳細の欄には、在籍企業の従業員数や拠点数、資本金などの基本情報を必ず記載します。従業員数が多いほど、対応すべき問い合わせ件数や管理すべき備品の量が増えるため、それだけで業務処理能力の証明になります。
さらに具体的な業務内容についても数値化を意識します。例えば社用車の管理台数、社宅や寮の管理戸数、株主総会の出席者数、複合機のリース契約見直しによる削減金額などを数字で記述します。また、電話応対や来客対応の頻度、郵便物の処理件数なども、事務処理のスピード感を伝える材料になります。定性的になりがちな総務の仕事を定量的なデータとして提示することで、採用担当者はあなたが自社で活躍するイメージを具体的に描くことができるようになります。
コスト削減や業務効率化への取り組みを実績としてアピールする
総務部は直接的に売上を生み出す部門ではありませんが、経費削減や業務効率化を通じて会社の利益に貢献できる重要なポジションです。そのため職務経歴書では、コスト意識を持って業務に取り組んだ実績を強調することが非常に効果的です。日々の業務の中で無駄を見つけ、それをどのように改善したかをエピソードとして記述します。
具体的には、消耗品の発注先を見直して年間で数パーセントのコストダウンを実現した経験や、ペーパーレス化を推進して会議資料の印刷コストと準備時間を削減した実績などが挙げられます。また、アナログだった申請業務をワークフローシステムに移行させ、承認スピードを向上させたといったIT活用による改善事例も高く評価されます。単なる事務処理だけでなく、経営的な視点を持って組織の最適化に貢献できる人材であることをアピールしてください。
社内調整力とコミュニケーション能力をエピソードで補強する
総務職は社内のあらゆる部署と関わり、円滑な組織運営をサポートする潤滑油のような役割を担っています。そのため、高いコミュニケーション能力や調整力は必須のスキルとなります。職務経歴書の自己PR欄や業務内容の補足として、他部署と連携してプロジェクトを進めた経験や、突発的なトラブルに対応したエピソードを記述します。
例えば、オフィスの移転プロジェクトにおいて各部署の要望をヒアリングし、業者との折衝を行いながらスケジュール通りに移転を完了させた経験や、社内イベントの企画運営において社員の参加率を向上させるために行った工夫などは、調整力の高さを示す強力な証拠となります。また、社員からの問い合わせに対してホスピタリティを持って対応し、満足度向上に努めた姿勢なども、総務担当者としての資質をアピールする要素となります。
専門知識や保有資格を記載してプロフェッショナル性を示す
総務の業務は多岐にわたる一方で、労働安全衛生法や会社法、防火管理などの専門知識が必要となる場面も多くあります。そのため、業務に関連する資格を持っている場合は、職務経歴書でしっかりとアピールすべきです。第一種衛生管理者、防火管理者、日商簿記検定、社会保険労務士、ビジネス実務法務検定などの資格は、実務能力を裏付ける客観的な指標となります。
資格を持っていなくても、株主総会の運営事務局を務めた経験や、プライバシーマークの更新業務に携わった経験、契約書のリーガルチェック補助などの専門的な実務経験がある場合は、それを詳細に記載します。専門分野の知識があることを示すことで、単なる庶務係ではなく、専門性を持ったバックオフィスのプロフェッショナルとして評価されます。
未経験から総務を目指す場合のポータブルスキルの活かし方
異業種から未経験で総務職を目指す場合、実務経験がないことを不安に思うかもしれません。しかし、前職で培ったポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)を総務向けに翻訳して伝えることで、十分にアピールすることが可能です。営業職の経験があれば、社内外との折衝能力や提案力が活かせますし、販売職の経験があれば、社員に対するホスピタリティや臨機応変な対応力が評価されます。
事務職の経験がある場合は、正確な文書作成能力やPCスキル、スケジュール管理能力がそのまま即戦力として通用します。職務経歴書では、前職での経験がいかに総務の業務に役立つかを論理的に説明し、未経験であっても早期に貢献できるポテンシャルがあることを伝えます。また、現在資格取得に向けて勉強中であることなどを書き添え、学習意欲の高さを示すことも有効な戦略です。
読みやすさにこだわったレイアウトで事務処理能力の高さを伝える
最後に、職務経歴書自体の完成度にもこだわってください。総務職は社内外の文書を作成・管理する立場にあるため、提出された職務経歴書が美しく整っているかどうかが、そのまま実務能力のテストとなります。誤字脱字がないことは大前提として、フォントや文字サイズの統一、適切な改行や余白の設定など、読み手にとってストレスのないレイアウトを心がけます。
情報は詰め込みすぎず、見出しをつけて整理し、A4用紙2枚程度にまとめます。パッと見た瞬間に整然としていると感じさせる書類を作成することは、丁寧で正確な仕事ができる人だという第一印象を与えます。中身の充実とともに、形式面での完成度を高めることが、総務職の書類選考を突破するための最後の一押しとなります。自信を持って提出できる、プロフェッショナルな職務経歴書を作成してください。





