レストランの職歴を魅力的に伝える職務経歴書の書き方とアピール術

レストランでの勤務経験は数値と役割で評価が変わります

レストランなどの飲食業界での勤務経験は、体力や対人スキルだけでなく、店舗運営に関わる計数管理能力やマネジメント能力を証明する貴重なキャリアです。しかし、職務経歴書に単にレストランスタッフとして勤務と書くだけでは、その価値は十分に伝わりません。採用担当者は、応募者がどのような業態（ファインダイニング、カジュアル、ファストフードなど）で、どの程度の規模の店舗を任され、どのような役割を果たしてきたかを知りたいと考えています。

書類選考を通過するためには、職歴を単なる在籍記録として終わらせるのではなく、自身の実務能力を証明するプレゼンテーションの場として活用する必要があります。客単価や席数、管理していたスタッフの人数などを具体的に記載することで、忙しい現場を回すオペレーション能力や、売上に貢献するビジネス感覚を持っていることをアピールできます。ここでは、レストラン勤務ならではの職歴の書き方と、採用担当者に響くアピールポイントについて解説します。

運営会社名と店舗名およびブランド名を正確に記載するマナー

レストランの職歴を書く際、最初に行うべきは所属組織の正確な記述です。多くの場合、お店の看板に書かれているブランド名と、給与が支払われている運営会社名（法人名）は異なります。職務経歴書には必ず正式な運営会社名を記載し、その横や次の行に配属されていた店舗名を記載するのがマナーです。

具体的な書き方としては、株式会社〇〇フードサービス入社とし、続けてイタリアンレストラン△△渋谷店に配属といった形です。個人経営のレストランの場合は屋号をそのまま記載しても構いませんが、その際は個人事業主〇〇（屋号）入社といった書き方をすると丁寧です。さらに、店舗の規模感（席数や客単価）を補足情報として書き添えることで、採用担当者はあなたがどのような客層に、どのような質のサービスを提供していたかを具体的にイメージできるようになります。

ホールスタッフは接客スキルと店舗運営への貢献を記す

ホール（サービス）担当の場合、単に接客と書くのではなく、具体的な業務範囲と接客の質をアピールします。テーブルマナーに基づいたフルサービスだったのか、効率重視のオペレーションだったのかによって、評価されるスキルは異なります。リーダーとしてホール全体のコントロールおよびクレーム対応を担当したことや、ソムリエとしてワインの選定や提案を行い、ドリンク売上昨対比を向上させたことなどを記述します。

また、予約管理システムの導入を提案し回転率の向上を実現したといった業務改善の経験も有効です。このように、接客に加えて売上管理、予約管理、新人教育などの付帯業務を行っていた場合は、必ず記載してください。これらは、営業職や事務職など異業種への転職においても高く評価されるポータブルスキルとなります。

キッチンスタッフは調理技術と原価管理能力をアピールする

キッチン（調理）担当の場合、調理技術はもちろんのこと、コスト意識の高さが重要なアピールポイントになります。担当していたポジション（ストーブ、ガルドマンジェ、パティシエなど）や、扱える食材、調理法を記載するとともに、数字への意識を示します。副料理長としてメニュー開発および原価計算を担当し原価率を適正範囲に維持したことや、食材の発注や在庫管理を行い廃棄ロスを削減したことなどを記述します。

また、衛生管理責任者としてHACCPに基づいた衛生管理を徹底した経験も重要です。単に美味しい料理を作るだけでなく、利益を出すための管理業務や、安全な店舗運営に貢献していた実績を示すことで、ビジネスパーソンとしての信頼性を高めることができます。

アルバイトリーダーや店長代行の経験はマネジメント力として書く

飲食業界では、アルバイトやパートであっても、社員同様の責任あるポジションを任されることがよくあります。雇用形態がアルバイトであったとしても、リーダーや時間帯責任者（シフトリーダー）を務めていた場合は、その経験を強調して記載すべきです。時間帯責任者としてスタッフ5名のシフト管理および金銭管理を担当といった具体的な記述をします。

このように記載することで、雇用形態に関わらず高い当事者意識を持って働いていたことや、人を動かすマネジメント能力があることを証明できます。これは正社員登用を目指す場合や、他社への転職活動において非常に強力な武器となります。

店舗異動やヘルプが多い場合のスマートなまとめ方

チェーン展開しているレストランなどでは、頻繁な店舗異動やヘルプ勤務が発生することがあります。これらを全て1行ずつ書いていると、職歴欄が足りなくなったり、転職回数が多いように見えてしまったりするリスクがあります。そのような場合は、主要な異動のみを記載し、細かいヘルプはまとめて記載するテクニックを使います。

入社後、都内エリア3店舗にて店長業務に従事といったようにまとめたり、新店舗立ち上げメンバーとして計5店舗のオープン業務を支援したと記述したりします。このようにまとめることで、経験の豊富さや会社からの信頼の厚さをアピールしつつ、職務経歴書をすっきりと見やすく整理することができます。レストランでの経験は、対人スキル、技術、そして経営感覚を養う素晴らしいキャリアです。自信を持ってその中身を言語化し、書類選考を突破してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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