経理事務の書類選考を突破する職務経歴書の書き方とアピール戦略
経理事務の職務経歴書は正確性とサポート力の両立が評価の鍵になります
経理事務の求人は、専門的な知識と事務処理能力の両方が求められるため、実務経験者が優遇される傾向にあります。しかし、単に「経理事務を経験しました」と書くだけでは、採用担当者にあなたの実力は伝わりません。経理事務と一口に言っても、伝票入力などのルーチンワークが中心なのか、月次決算の補助まで行っていたのかによって、求められるスキルレベルが大きく異なるからです。
採用担当者は職務経歴書を通じて、応募者がどの程度の業務量を、どれだけのスピードと正確さでこなしてきたかを知りたいと考えています。また、経理部門を支えるサポート役として、周囲と円滑に連携できるコミュニケーション能力があるかどうかも重要な判断基準です。書類選考を通過するためには、日々の業務の中に潜む高度なスキルを棚卸しし、客観的な数値や具体的なエピソードを用いて可視化することが重要です。ここでは、経理事務ならではの職務経歴書の書き方と、採用担当者の目に留まるアピールポイントについて解説します。
処理件数やミス率を数値化して事務処理能力の高さを証明する
経理事務の最大の武器は、膨大なデータを正確かつ迅速に処理する能力です。この能力を職務経歴書で証明するためには、具体的な数字を用いることが最も効果的です。例えば、仕訳入力や経費精算業務であれば、1日または月間あたりの平均処理件数を記載します。「月間約300件の経費精算処理を担当し、在籍3年間で入力ミスゼロを継続」といった記述があれば、採用担当者はあなたの仕事に対する集中力と責任感の高さを疑う余地なく評価できます。
また、スピードだけでなく、正確性を維持するための工夫も併せて記載すると説得力が増します。ダブルチェック体制の徹底や、独自のチェックリスト作成によるミス防止策など、能動的に業務品質を高める取り組みを行っていた場合は、必ずアピールしてください。事務職は成果が見えにくいと思われがちですが、ミス率の低さや処理スピードの速さは、立派な成果として誇れるものです。
担当していた業務範囲と使用ソフトを詳細に記載して即戦力を示す
経理事務の業務範囲は多岐にわたります。現金出納、預金管理、売掛金・買掛金管理、請求書発行、伝票起票、月次決算補助など、自身がどこまでの業務を担当していたかを詳細に記載することで、専門知識の深さをアピールします。特に、月次決算や年次決算の補助業務経験がある場合は、経理の流れ全体を理解している人材として高く評価されます。
また、使用していた会計ソフト(勘定奉行、弥生会計、freeeなど)や、Excelのスキルレベルも明記する必要があります。応募先の企業と同じソフトを使用した経験があれば、操作研修の手間が省けるため即戦力として歓迎されます。Excelについては、VLOOKUP関数やピボットテーブルの使用経験、マクロの修正経験などを記載し、効率的なデータ集計が可能であることを伝えます。簿記などの資格を持っている場合は、資格欄に書くだけでなく、実務でどのように知識を活かしたかを職務経歴の記述に盛り込むことで、知識と実務が結びついていることを証明できます。
経理部門の円滑な運営を支えるコミュニケーション能力を強調する
経理事務はデスクワークが中心ですが、他部署の社員との連携や、取引先との電話対応など、コミュニケーション能力が求められる場面も多くあります。例えば、経費精算の不備について社員に修正を依頼したり、請求書の内容について取引先に確認したりする業務です。こうした場面で、相手の立場に配慮しながら正確に情報を伝え、円滑に業務を進めることができる力は、経理事務として非常に重要な資質です。
職務経歴書では、社内問い合わせへの丁寧な対応を心がけたことや、他部署と連携して業務フローの改善に取り組んだエピソードなどを記述します。数字を扱う厳格さと、周囲への気配りを両立できる人材であることをアピールすることで、組織の潤滑油として活躍できる期待感を採用担当者に持たせることができます。
未経験から経理事務を目指す場合のポータブルスキルの活かし方
異業種から未経験で経理事務を目指す場合、実務経験がないことを不安に思うかもしれません。しかし、前職で培ったポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)を経理事務向けに翻訳して伝えることで、十分にアピールすることが可能です。例えば、営業事務や一般事務の経験があれば、正確なデータ入力スキルや書類作成能力、納期管理能力が経理事務の実務に直結します。接客業の経験があれば、金銭授受における責任感や、臨機応変な対応力が評価されます。
また、未経験であるからこそ、現在日商簿記検定の取得に向けて勉強中であることや、職業訓練校で会計ソフトの操作を学んでいることなどを具体的に記載し、学習意欲の高さを伝えることが重要です。前職での経験が経理事務としてどのように活きるかを論理的に説明し、早期に戦力になれるポテンシャルがあることを職務経歴書全体で表現してください。
読みやすく整ったレイアウトで事務処理能力そのものを証明する
最後に、職務経歴書自体の見た目にもこだわることが重要です。経理事務は、数字や文字を正確に扱い、整った書類を作成することが求められる職種です。そのため、職務経歴書に誤字脱字があったり、レイアウトが崩れていたり、数字の桁が間違っていたりすると、実務能力そのものに疑問を持たれてしまう可能性があります。
読みやすいフォントや行間を意識し、情報を整理してA4用紙2枚程度にまとめます。表形式を活用して担当業務と実績を見やすく整理するなどの工夫も有効です。細部まで配慮が行き届いた美しい職務経歴書を作成すること自体が、経理事務としての適性と、仕事への丁寧さを証明する最大のプレゼンテーションになります。自信を持って提出できる、完成度の高い書類を目指してください。





