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調理師の転職を成功させる職務経歴書の書き方とアピール術

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調理師の職務経歴書は店舗規模と担当業務の具体化が重要です

調理師や料理人の転職活動において、職務経歴書は自身の技術力と店舗運営能力を証明するための最も重要なプレゼンテーション資料です。履歴書の職歴欄に単に調理スタッフとして勤務やイタリアンレストランにて従事と書くだけでは、その経験の質や深さは伝わりません。採用担当者である料理長やオーナー、人事担当者が知りたいのは、応募者がどのような業態の店で、どの程度のスピード感で、どのような料理を作ってきたかという具体的な実務経験です。

書類選考を通過するためには、自身の経験を棚卸しし、客観的な数値や具体的な担当ポジションを用いて実力を可視化する必要があります。単に料理がおいしいかどうかは書類では伝わりませんので、数字で表せる実績や、効率的なオペレーション能力、衛生管理への意識の高さなどを言語化して伝えることが鍵となります。ここでは調理師ならではの専門性を正しく評価してもらうための書き方とテクニックについて解説します。

業態と客単価および席数を記載して繁盛店での経験を伝える

職務経歴書を作成する際、最初に行うべきは勤務していた店舗の概要を正確に伝えることです。同じ調理師の仕事であっても、客単価3万円の高級フレンチと、客単価3000円の回転率重視の居酒屋では、求められるスキルや動き方が全く異なります。そのため、法人名や店舗名を記載した後には、必ずその店の規模感を数字で補足します。

具体的には、業態(フレンチ、和食、中華、カフェ、給食など)、客単価(ランチ・ディナー)、席数、1日の平均来客数、厨房スタッフの人数などを記載します。例えば、客単価8000円、80席のイタリアンレストランにて、キッチンスタッフ5名体制のセカンドとして勤務といった記述です。これにより、採用担当者はあなたがどの程度のプレッシャーの中で、どのような質の料理を、どのくらいのスピードで提供していたかを具体的にイメージできるようになります。

調理技術だけでなく原価管理や衛生管理の数値を盛り込む

調理師の実力を測る上で、包丁技術や火入れのスキルはもちろん重要ですが、それ以上に評価されるのが計数管理能力と衛生管理意識です。職務経歴書の業務内容欄には、担当していたポジション(ストーブ、ガルドマンジェ、パティシエなど)に加え、コスト意識を持った業務遂行のエピソードを記述します。

例えば、食材の発注・在庫管理を担当し、原価率を30パーセント以内に維持した実績や、廃棄ロスを削減するために食材の使い切りメニューを考案した経験などを数値で示します。また、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理マニュアルの運用経験や、食品衛生責任者としての実務経験があれば、食の安全を守れる信頼できる人材として高く評価されます。美味しい料理を作る職人としての側面と、利益を確保するビジネスマンとしての側面の両方をアピールすることが重要です。

メニュー開発やフェア企画の実績は創造性と提案力の証明になります

これまでに新メニューの開発や、季節ごとのフェアメニューの企画に携わった経験がある場合は、職務経歴書のハイライトとして大きく記載します。単にメニューを作ったという事実だけでなく、そのメニューがどの程度売れたか、お客様の反応はどうだったかという結果まで書くことがポイントです。

季節の食材を使用した限定コースを企画し、昨対比110パーセントの売上達成に貢献や、看板メニューのリニューアルを提案し、オーダー率を向上させたといった記述は、創造性だけでなく、顧客ニーズを捉えるマーケティング感覚があることの証明になります。また、グランドメニューの改定作業や、原価計算シートの作成経験なども、店舗運営を支える重要なスキルとしてアピールできます。

チーフや料理長経験はマネジメント能力として高く評価されます

料理長(シェフ)や副料理長(スーシェフ)、あるいは部門シェフなどの役職経験がある場合は、調理技術以上にマネジメント能力を強調します。調理場はチームプレーで動くため、スタッフをまとめ上げ、円滑なオペレーションを構築するリーダーシップは非常に重宝されます。

職務経歴書には、マネジメントしていたスタッフの人数や、新人教育の内容、シフト作成、労務管理などの業務を詳細に記載します。例えば、スタッフ10名の調理指導およびモチベーション管理を担当し、離職率を低下させた経験や、オペレーションの見直しにより提供時間を短縮した実績などは、組織運営能力の高さを示す材料となります。役職についていなくても、後輩への技術指導や、洗い場スタッフとの連携強化に努めた経験があれば、リーダーシップの萌芽として記載してください。

給食や集団調理の場合は食数と対応食種を正確に記載する

病院、介護施設、学校、社員食堂などの給食調理(集団調理)に従事していた場合は、レストランとは異なるアピールポイントがあります。ここでは、大量調理を時間通りに安全に提供する段取り力と、喫食者の健康状態に合わせた対応力が重視されます。

職務経歴書には、1回あたりの提供食数(300食、1000食など)を必ず記載し、大量調理機材(回転釜、スチームコンベクションオーブンなど)の使用経験を明記します。また、病院や介護施設であれば、常食だけでなく、刻み食、ミキサー食、アレルギー対応食、治療食などの対応経験を具体的に記述します。さらに、栄養士と連携して献立作成に関わった経験や、行事食の企画実施経験などもあれば、サービスの質を高めるための努力として評価されます。

異業種へ転職する場合は段取り力と体力をビジネススキルに変換する

調理師から営業職や事務職など、全く異なる業界へ転職を目指す場合でも、調理現場での経験は強力な武器になります。この場合、調理専門用語を一般的なビジネススキルに翻訳して伝える意識が重要です。例えば、ピークタイムのオーダーをさばく力はマルチタスク処理能力や優先順位の判断力と言い換えることができます。

また、仕込みから仕上げまでの工程管理は段取り力やスケジュール管理能力として、厳しい修行に耐えた経験はストレス耐性や体力、継続力としてアピールできます。職務経歴書の自己PR欄などで、調理師として培った、常に先を読んで行動する力や、チームで一つのものを作り上げる協調性は、御社の業務においても必ず貢献できると確信していますといったように、過去の経験を未来の業務に接続させる表現を工夫します。調理師として培った現場力は、どのような仕事でも通じる基盤となります。自信を持ってその価値を言語化し、書類選考を突破してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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